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胡散臭くない王子2
カタカタと揺れてる、何だろう。馬車…?何してるんだろう、私は……!?
「っエドワードはどこっ!?」
「公爵のもとへ行った。」
「それは…いつの話?」
「3時間ほど前…」
「おろしてっ!止めてくるから!」
私のせいでこうなったんだわ。クール様と話している時、焚き付けたのは私よ!そうじゃなきゃ、こんな愚かな事はしないわ。
「もうすぐ国境だ。そこを通れば、ニーナはもう関係ない。」
関係ない…、けどさ…。
「ニーナ、深く考えるな。彼女が殿下を好きなだけかもしれない。」
…そうじゃないから迎えに来たんでしょう。遣いを死体にして返してくるなんて普通じゃない。どんな条件を突き付けられたかわからない。
「……本当に、もう関係ないわ。」
私に何1つ良い事はしてくれなかったし、酷い扱いしかうけてない。下手をすれば、ずっと牢獄だった。私の姿を見た事もなかったのよ。死んでるかもしれなかったわ。死なないけど。
陛下がいたら王太子がいなくても国はまわる。それに弟がいるもの。
何故話し合いをしろと言ってしまったの。
政治だってよく分からないくせに、仲良くしろだとか、本当に愚かだわ。
ごわごわする右ポケットに手を入れると、返していなかったイヤリングが入っていた。
「クール様、馬を1頭借りてもいい?」
「駄目だ。」
「…何故?」
「駄目なものは駄目だ。」
「彼女が本当にエドワードの事が好きなだけかも知しれないじゃない。結果を聞いてから帰ったって遅くない。…許して貰えるなら、この国で自由にすごすわ。」
「ニーナ…殿下の事が好きなのか?」
「別に…好きじゃないわ。」
「なら放っておけばいい。」
「…次、会えるのはいつになるの?」
「分からない。」
「カタサの族長だけが怒ってて、まだ他はそこまでじゃないの?」
「話し合いをしている。2国が固められてない時に、ガリシナがアルデーテに矛先をむけた。」
軍事国家じゃない…。逆らえば殺されるわ…。
「新聞にニーナの特徴がわかる娘をだした。俺達に手を引けという脅迫だ。わかるな…。気持ちの問題で動くような状態じゃない。」
「女も強くなくてはいけない。クール様からの教えよ。べつに彼を助けようだなんて大それた事は考えていないわ。でも、やれる事があるのにやらないのは嫌よ!クール様、一生のお願いよ、馬を貸して。この世で誰より1番馬鹿な我が儘を言ってるのはわかっているの。」
「みすみす殺させる訳がないだろう。」
「…ねぇ、もともと仲が良くない国だったの?アルデーテとガリシナは。」
「仲良くはないな。ここしばらく落ち着いていたが。」
「何故落ち着いていたの?」
「さぁ、誰もわからない。知っていても口にしようとはしない。」
「ならその理由を聞いてきてよ!その間はムチャはしないって約束する!」
「火の粉がとんでくる。」
「私はもうアルデーテのニーナなのよ…。ここに送られた時からね。」
「はぁ…。もしニーナが我が儘を言うならこれを渡せと。お祖父様から。」
「私に…?」
クール様は懐から手紙をとりだした。
ニーナ
10才の時、カールのふりをして勝手に
パーティーに付いてきたのは憶えているかい?
その時、君はガリシナの長子を殴った。反撃できる立場にないエドワード殿下が一方的に殴られていたの見て、『卑怯者』と言ってね。
その時は、わしの孫という事で何とか乗り越えたが…。
「ニーナ、知らない所でどえらい事を…」
「…」
ノワール陛下が『息子は殺されていたかもしれない。直接男の子に会ってお礼がしたい』と何度も何度も言ってきたが、全て断っていた。最近それがサナス家の長女だと両国に気がつかれた。
ニーナがガリシナに捕まる可能性を考えて、それならうちの息子の婚約者になる方がましだ…と。王族であれば簡単には連れていかれないだろう…そう言って陛下は頭を下げに来た。これを知ってるのは、わしとサナス伯爵くらいだ。
ニーナ、卑怯者をどうするか、君が決めなさい。君の持つ全て、『命』と『心』は君のものだ。
「卑怯者を私が殴ったからこうなったの?」
「卑怯者を殴ったから、10年近く何もなかったのかもしれない。」
「子供の喧嘩よ。」
「いや、その辺の子供を殴ったのとはレベルが…。」
「カーネル様は応援してくれるという事かしら?」
「そうだな。俺だってこうなったら反対出来ない。」
「クール様、この馬をかりるわ。」
「あてはあるのか。」
「ええ。」
「っエドワードはどこっ!?」
「公爵のもとへ行った。」
「それは…いつの話?」
「3時間ほど前…」
「おろしてっ!止めてくるから!」
私のせいでこうなったんだわ。クール様と話している時、焚き付けたのは私よ!そうじゃなきゃ、こんな愚かな事はしないわ。
「もうすぐ国境だ。そこを通れば、ニーナはもう関係ない。」
関係ない…、けどさ…。
「ニーナ、深く考えるな。彼女が殿下を好きなだけかもしれない。」
…そうじゃないから迎えに来たんでしょう。遣いを死体にして返してくるなんて普通じゃない。どんな条件を突き付けられたかわからない。
「……本当に、もう関係ないわ。」
私に何1つ良い事はしてくれなかったし、酷い扱いしかうけてない。下手をすれば、ずっと牢獄だった。私の姿を見た事もなかったのよ。死んでるかもしれなかったわ。死なないけど。
陛下がいたら王太子がいなくても国はまわる。それに弟がいるもの。
何故話し合いをしろと言ってしまったの。
政治だってよく分からないくせに、仲良くしろだとか、本当に愚かだわ。
ごわごわする右ポケットに手を入れると、返していなかったイヤリングが入っていた。
「クール様、馬を1頭借りてもいい?」
「駄目だ。」
「…何故?」
「駄目なものは駄目だ。」
「彼女が本当にエドワードの事が好きなだけかも知しれないじゃない。結果を聞いてから帰ったって遅くない。…許して貰えるなら、この国で自由にすごすわ。」
「ニーナ…殿下の事が好きなのか?」
「別に…好きじゃないわ。」
「なら放っておけばいい。」
「…次、会えるのはいつになるの?」
「分からない。」
「カタサの族長だけが怒ってて、まだ他はそこまでじゃないの?」
「話し合いをしている。2国が固められてない時に、ガリシナがアルデーテに矛先をむけた。」
軍事国家じゃない…。逆らえば殺されるわ…。
「新聞にニーナの特徴がわかる娘をだした。俺達に手を引けという脅迫だ。わかるな…。気持ちの問題で動くような状態じゃない。」
「女も強くなくてはいけない。クール様からの教えよ。べつに彼を助けようだなんて大それた事は考えていないわ。でも、やれる事があるのにやらないのは嫌よ!クール様、一生のお願いよ、馬を貸して。この世で誰より1番馬鹿な我が儘を言ってるのはわかっているの。」
「みすみす殺させる訳がないだろう。」
「…ねぇ、もともと仲が良くない国だったの?アルデーテとガリシナは。」
「仲良くはないな。ここしばらく落ち着いていたが。」
「何故落ち着いていたの?」
「さぁ、誰もわからない。知っていても口にしようとはしない。」
「ならその理由を聞いてきてよ!その間はムチャはしないって約束する!」
「火の粉がとんでくる。」
「私はもうアルデーテのニーナなのよ…。ここに送られた時からね。」
「はぁ…。もしニーナが我が儘を言うならこれを渡せと。お祖父様から。」
「私に…?」
クール様は懐から手紙をとりだした。
ニーナ
10才の時、カールのふりをして勝手に
パーティーに付いてきたのは憶えているかい?
その時、君はガリシナの長子を殴った。反撃できる立場にないエドワード殿下が一方的に殴られていたの見て、『卑怯者』と言ってね。
その時は、わしの孫という事で何とか乗り越えたが…。
「ニーナ、知らない所でどえらい事を…」
「…」
ノワール陛下が『息子は殺されていたかもしれない。直接男の子に会ってお礼がしたい』と何度も何度も言ってきたが、全て断っていた。最近それがサナス家の長女だと両国に気がつかれた。
ニーナがガリシナに捕まる可能性を考えて、それならうちの息子の婚約者になる方がましだ…と。王族であれば簡単には連れていかれないだろう…そう言って陛下は頭を下げに来た。これを知ってるのは、わしとサナス伯爵くらいだ。
ニーナ、卑怯者をどうするか、君が決めなさい。君の持つ全て、『命』と『心』は君のものだ。
「卑怯者を私が殴ったからこうなったの?」
「卑怯者を殴ったから、10年近く何もなかったのかもしれない。」
「子供の喧嘩よ。」
「いや、その辺の子供を殴ったのとはレベルが…。」
「カーネル様は応援してくれるという事かしら?」
「そうだな。俺だってこうなったら反対出来ない。」
「クール様、この馬をかりるわ。」
「あてはあるのか。」
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