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【第五章】サイラス・フォン・ウォレンス
(2)悪役令息の誘導
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久しぶりに悪役令息らしく原作を遂行したが、この行為自体に対して俺は負い目を感じない。
なぜなら、サイラスはベッドの上では相手の扱いに慣れた人物であり、主人公であるリズを蝶よ花よと愛でる比較的ノーマルな性癖野郎なのだから。
フランツルートに比べると痴女プレイが目立つとしても、エリオットルートに比べて断然マシである。
むしろ、リズの今後を案じる俺としてはぜひフランツルートかサイラスルートのどちらかに向かって欲しい。
サイラスは一通り俺の説明を聞くと、ある程度は乗る気のようであった。
俺はテーブルの下で右手を握りしめてガッツポーズをする。
今日も今日とて悪役令息の義務を完了した。
その後は何事もなくお茶会は幕を閉じ…
「そういえばベリル様、文化祭の話は聞きましたか?」
サイラスが不意に話題を振った。
「文化祭の…何のことだ?」
「月と太陽の事です。今年の学年では、ベリル様は月として確定。太陽はフランツ殿下で確定という噂を耳にしたので、ここはベリル様ご本人の意見を聞いてみたいなぁと思いましてね」
「ああ、そういうことか」
月と太陽。
三ヶ月後に行われる文化祭の目玉行事だ。
貴族の名門学園で開催されるコンテストであり、太陽は男性、月は女性を表している。
女性…とはいうものの、無論ここは男子校だ。
平たく言えば、月は女装コンテストである。
月と太陽は文化祭の日までに投票で決まり、当日は特注の服を着て文化祭を歩くのが伝統だとかなんとか…
(確か原作のゲームでは、異例として月役はリズとベリルの二人が決定し、太陽役はフランツと攻略対象に決まったはずだ)
実はこの文化祭イベントは俺も楽しみだったりする。
なぜなら、ゲームの中で俺が唯一好きなベリル関連のスチルがあるからだ。
月役に決まったベリルは白色の手袋とレースのハイヒール、そしてフィッシュテールドレスで着飾るのだが、いつも威圧的な悪役令息がその日ばかりは幻想的な儚げ美少年にステータスを極振りしたような姿になっている。
さながらウエディングドレス姿の花嫁である。
この時のイベント中の立ち絵とスチルに関しては、さすがの俺も股間にグッときたのは一緒にプレイしていた姉にも内緒だった。
だってしょうがないだろ!?
お互い女装したベリルとリズがエッチな服を着て、ベリルがリズにあんなことやこんな事をする原作シーン。
その時のベリルが男とは思えない女装姿というのもあるが、いつもの険悪な支配者の空気もなく甘々エッチをするイベントがあるのだ。
本来なら攻略相手とのイベントなのだが、攻略対象のポイントが低ければ主人公リズの相手役をベリルがすることになる。
その時のエロイベントは禁断の花園のごとく、女装したお互いがお互いを甘やかしながら致すのだ。
恥辱奴隷学園という名のゲームなのにこのイベントだけはベリルがちょっと可愛く見えるのだった。
(とはいえ、自分であの服を着るのかと思うとそれはそれで複雑な心境ではあるが)
自分で自分に勃つ…なんて事にならなければいいなぁなんて下世話なことを考えてしまった。
…話を現実に戻そう。
サイラスは俺の話を聞きたそうに、テーブルから身を乗り出している。
転入して間もないから情報集めに余念がないのだろう。
「まぁ、月役に関しては他に候補がいなければ俺に決まるんじゃないのか?太陽役は大番狂わせがない限りフランツだろうな」
「なるほど!ベリル様の考えも同じということですね!」
ふむふむと頷き、サイラスは満足そうに笑顔を浮かべている。
…後で決まることになるのは知っているが、リズと攻略対象は例外なのだ。
ここでそれを指摘するわけにもいかず、俺は口を噤んだ。
「では、そろそろ俺は行くよ」
俺が席から立ち、去ろうとしたらサイラスは「またお茶をしましょうね!」と言いながらウインクをした。
「ああ、機会があればな」
サイラスと出会って一緒にお茶をしたが、彼はゲームの中のサイラスと変わらないようだった。
この学園に来て間もない…からなのか?
表面もそうだが、言葉を交わした感覚もゲームの中のサイラスと変わらなかった。
最初は俺もエリオットに対して警戒していたが、今の所は従順だ。
サイラスもフランツの従者とはいえ、これからもゲームの中のキャラクターのままであって欲しい。
(よし。まずはこれでいい)
俺はその後、サイラスと別れて学園の廊下を歩きながら考える。
(さて…これからのプランだが…どうしたものか)
現在、俺が出会ったゲームの攻略対象はフランツ、エリオット、サイラスの三人。
攻略キャラは他にもいるのだが、俺が会う必要のないキャラには極力会いたくない。
(他の攻略対象は弊害にならない限り、無視してもいい)
問題はフランツ。
あいつは本当に何を考えているのかわからない。
(エリオットに調べてもらおうか…うーん…だからといって、エリオットに頼りすぎるわけにはいかないしなぁ…)
悪役令息である俺が攻略対象の一人に依存してしまうと、この世界のバランスを崩しかねない…
ただでさえ今後は何が起こるのかわからないのだ。
誰かに肩入れするのはよくない。
(よくないのだが…接触するのなら、リズがいいのかもしれない)
それに今日はサイラスを秘密倶楽部に招いたのだ。
放課後は秘密倶楽部に顔を出そうと決めた。
なぜなら、サイラスはベッドの上では相手の扱いに慣れた人物であり、主人公であるリズを蝶よ花よと愛でる比較的ノーマルな性癖野郎なのだから。
フランツルートに比べると痴女プレイが目立つとしても、エリオットルートに比べて断然マシである。
むしろ、リズの今後を案じる俺としてはぜひフランツルートかサイラスルートのどちらかに向かって欲しい。
サイラスは一通り俺の説明を聞くと、ある程度は乗る気のようであった。
俺はテーブルの下で右手を握りしめてガッツポーズをする。
今日も今日とて悪役令息の義務を完了した。
その後は何事もなくお茶会は幕を閉じ…
「そういえばベリル様、文化祭の話は聞きましたか?」
サイラスが不意に話題を振った。
「文化祭の…何のことだ?」
「月と太陽の事です。今年の学年では、ベリル様は月として確定。太陽はフランツ殿下で確定という噂を耳にしたので、ここはベリル様ご本人の意見を聞いてみたいなぁと思いましてね」
「ああ、そういうことか」
月と太陽。
三ヶ月後に行われる文化祭の目玉行事だ。
貴族の名門学園で開催されるコンテストであり、太陽は男性、月は女性を表している。
女性…とはいうものの、無論ここは男子校だ。
平たく言えば、月は女装コンテストである。
月と太陽は文化祭の日までに投票で決まり、当日は特注の服を着て文化祭を歩くのが伝統だとかなんとか…
(確か原作のゲームでは、異例として月役はリズとベリルの二人が決定し、太陽役はフランツと攻略対象に決まったはずだ)
実はこの文化祭イベントは俺も楽しみだったりする。
なぜなら、ゲームの中で俺が唯一好きなベリル関連のスチルがあるからだ。
月役に決まったベリルは白色の手袋とレースのハイヒール、そしてフィッシュテールドレスで着飾るのだが、いつも威圧的な悪役令息がその日ばかりは幻想的な儚げ美少年にステータスを極振りしたような姿になっている。
さながらウエディングドレス姿の花嫁である。
この時のイベント中の立ち絵とスチルに関しては、さすがの俺も股間にグッときたのは一緒にプレイしていた姉にも内緒だった。
だってしょうがないだろ!?
お互い女装したベリルとリズがエッチな服を着て、ベリルがリズにあんなことやこんな事をする原作シーン。
その時のベリルが男とは思えない女装姿というのもあるが、いつもの険悪な支配者の空気もなく甘々エッチをするイベントがあるのだ。
本来なら攻略相手とのイベントなのだが、攻略対象のポイントが低ければ主人公リズの相手役をベリルがすることになる。
その時のエロイベントは禁断の花園のごとく、女装したお互いがお互いを甘やかしながら致すのだ。
恥辱奴隷学園という名のゲームなのにこのイベントだけはベリルがちょっと可愛く見えるのだった。
(とはいえ、自分であの服を着るのかと思うとそれはそれで複雑な心境ではあるが)
自分で自分に勃つ…なんて事にならなければいいなぁなんて下世話なことを考えてしまった。
…話を現実に戻そう。
サイラスは俺の話を聞きたそうに、テーブルから身を乗り出している。
転入して間もないから情報集めに余念がないのだろう。
「まぁ、月役に関しては他に候補がいなければ俺に決まるんじゃないのか?太陽役は大番狂わせがない限りフランツだろうな」
「なるほど!ベリル様の考えも同じということですね!」
ふむふむと頷き、サイラスは満足そうに笑顔を浮かべている。
…後で決まることになるのは知っているが、リズと攻略対象は例外なのだ。
ここでそれを指摘するわけにもいかず、俺は口を噤んだ。
「では、そろそろ俺は行くよ」
俺が席から立ち、去ろうとしたらサイラスは「またお茶をしましょうね!」と言いながらウインクをした。
「ああ、機会があればな」
サイラスと出会って一緒にお茶をしたが、彼はゲームの中のサイラスと変わらないようだった。
この学園に来て間もない…からなのか?
表面もそうだが、言葉を交わした感覚もゲームの中のサイラスと変わらなかった。
最初は俺もエリオットに対して警戒していたが、今の所は従順だ。
サイラスもフランツの従者とはいえ、これからもゲームの中のキャラクターのままであって欲しい。
(よし。まずはこれでいい)
俺はその後、サイラスと別れて学園の廊下を歩きながら考える。
(さて…これからのプランだが…どうしたものか)
現在、俺が出会ったゲームの攻略対象はフランツ、エリオット、サイラスの三人。
攻略キャラは他にもいるのだが、俺が会う必要のないキャラには極力会いたくない。
(他の攻略対象は弊害にならない限り、無視してもいい)
問題はフランツ。
あいつは本当に何を考えているのかわからない。
(エリオットに調べてもらおうか…うーん…だからといって、エリオットに頼りすぎるわけにはいかないしなぁ…)
悪役令息である俺が攻略対象の一人に依存してしまうと、この世界のバランスを崩しかねない…
ただでさえ今後は何が起こるのかわからないのだ。
誰かに肩入れするのはよくない。
(よくないのだが…接触するのなら、リズがいいのかもしれない)
それに今日はサイラスを秘密倶楽部に招いたのだ。
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