【R18】今夜私は義弟に抱かれる〜不治の病に侵された夫は寝取られに目覚めてしまった模様です〜

栗花

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38 企み②〈コーネリアside〉

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 やっと部屋に着いたみたい。



「どうぞお入りください」



 護衛が扉を開けて中に入るようにとうながしている。

 ニコラスは少し眉をしかめたけど、それでもわたくしともなったまま中に入ってくれたわ。

 わたくしは計画通りニコラスが座ったのを待って、自ら隣の部屋のプレゼントを取りに行くため部屋を出る。

 応接間にはニコラスとやけに背の高い護衛が一人だけ。

 今部屋の中は魔香まこうかれていて、しばらくその場に居れば、確実に催淫さいいん効果が出てくるそうだ。

 大気より重いその煙は座っているニコラスには確実に効く。

 室内で立っている護衛はお香の影響はほとんど受けない。



 わたくしを求めてやまない、情熱的なニコラスってどんなかしら?

 普段は冷静で理性的だからこそ、とても楽しみだわ。



 * * * * *



 わたくし魔香まこうの影響で煽情的せんじょうてきになった、色気たっぷりのニコラスが見たかった。

 それなのに……。



「どうして? どうしてニコラスが居ないの?」



 激昂したわたくしが問えば、あの背の高い護衛の上司が平謝りしてきた。



「申し訳ございません殿下。ハミルトン卿はすぐに異変に気付いたようで、護衛を体術で昏倒させ、テラスから庭に降りられたようです」



 ニコラスに逃げられたという報告に、わたくしのイライラは限界を超えた。



「今すぐ探して! 絶対に逃したらダメよ!? 城門で通さないように言って! 必ずニコラスをわたくしの前に連れて来なさい!」

「御意!」



 わたくし金切かなきり声に危機感を感じたのか、みんな散り散りになって探しに行ったわ。

 これできっとニコラスは連れてきてもらえるわ。

 わたくしはこの部屋で待とうとソファーに腰掛けた。

 侍女にお茶を頼もうとしたけど、長年わたくしの侍女をやってるだけあって、もうすでに部屋から出て行っていなかった。

 部屋の中にはさっきとは別の見目良い護衛が控えていた。

 分かってるじゃない。

 こんなイライラする時にブサイクな護衛じゃあ、治る機嫌も治らなくなるでしょう?



「ちょっと。寒いからテラスの窓、閉めてくれるかしら?」

「はい」



 美青年護衛は素早く窓を閉め、言ってなくても部屋の扉も閉めてくれた。

 中々気が利くわね。

 そしてわたくしはお茶とニコラスを待つために、暇つぶしにとテーブルに置かれていた恋愛小説の本を読み始めたのだった。



 * * * * *



 何だろう。

 頭がぼーっとする。

 恋愛小説読の恋人同士のデートシーンを読んでいるからか、すごくドキドキして来た。

 顔も熱い。



「殿下?」

「コーネリア様!?」

「ちょっと、姫さまが……」




 何だか侍女や護衛が騒いでるわ。

 何を騒いでるのかしら?



「まだ魔香まこうが消えてないのでは?」

「そんなはずは……」

「まさか、寝室は?」



 バタバタと慌ただしく人が行き来しているようだった。

 廊下の扉は閉まっていても、寝室へ繋がる扉は細く開いているようなことを言っている。



「侍女殿、寝室の物が残っていました!」

「何ですって!? カ、カイウス殿を呼んでちょうだい!」

「とにかく換気を!」



 魔香まこうって?

 ニコラスに使ったお香よね?

 わたくしがこの香を使うのはいけなかったの?

 でも、寝室はニコラスと一緒に入るはずだったんだから、ダメじゃないと思うのだけど?



「なぜ寝室のほうにも?」

「破瓜の痛みが軽減されるとのことでしたので……」

「それはあとから点ける予定だった物では?」



 護衛たちが焦っているみたいだけど、どうしたのかしら?



「中和剤はありますの?」

「それが……ありません」

「いや、女性はほかの方法があるだろう」

「ですがそれは……」



 侍女が尋ねると男たちは何やら話し合っている。

 何かを言い淀み、言いにくそうにしている彼らに侍女のイライラが爆発した。



「あるんですか? ないんですか? どっちですの!?」

「あるにはありますが……」

「はっきりなさって!」



 侍女の剣幕に男たちは観念した。



「ハッキリ申し上げましょう! 体内で|《とせい》吐精すれば治るかと思われます」

「体内で吐精とせい……? えっ!? それでは……」

「それを実行できる者は、ここにいません」



 誰もが押し黙ってそれぞれのことを探っている。

 その緊迫した空気の中発言したのはカイウスだった。

 

「……ハミルトン卿を連れて来るのが、コーネリア殿下のご希望でしょう」

「しかし、この分では連れて来たとして、協力いただけるでしょうか?」

「とにかく、このままにして置いては持続時間の長い物なので、殿下に多大なご負担がかかります」



 男たちは困惑気味だ。



「……どんな手を使ってでも、探して来てくださいませ」




 侍女の厳かなる言葉が響き渡った。

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