The Eternity of Realms: Causal Nexus （永遠の領域: 因果の結節）

序章

3話 運命の導き

運命の導き

ライナスが目を覚ました翌朝、彼は昨夜の出来事がただの夢であったのか、それとも現実の一部であったのかを考え続けていた。手に残る感覚は、確かに何かを握りしめていたことを示しているが、その正体はつかめない。彼は自分が目にした影、そして運命の鎖の意味を考え、気がつくと無意識に手を握りしめていた。

「本当に……あれは何だったんだ……？」

朝の光がカーテンの隙間から差し込み、部屋を暖かく照らしている。しかし、ライナスの心には昨夜の闇と光の記憶がくっきりと残っていた。それをどう捉えるべきか、彼にはまだわからなかったが、ただ一つ、確かなことがあった。自分の中で何かが変わり始めているということだ。

学校への通学路を歩きながらも、彼の思考は昨夜の夢に支配され続けた。友人たちが話しかけても、上の空で返事をするだけだった。その姿に気づいた幼馴染のリサが、彼の隣に並んで声をかけた。

「ライナス、大丈夫？なんだか元気がないみたいだけど……」

リサの問いに、ライナスはハッと我に返った。彼は彼女に何と言えばいいのか分からず、ただ首を振って笑って見せた。

「ああ、なんでもないんだ。ただ、ちょっと不思議な夢を見ただけで……」

「どんな夢だったの？」

リサは興味津々に聞いてきたが、ライナスは曖昧に笑ってごまかすことにした。夢の内容を説明しても、彼女には理解されないだろうし、そもそも自分でもその夢の意味がわからなかった。

「ただの夢だよ。気にしないでくれ。」

リサはそれ以上追及することなく、学校までの道を静かに歩いた。しかし、ライナスの胸の中には、まだあの光の余韻が消えずに残っていた。

学校の授業中も、ライナスの心は現実に集中することができなかった。教師の声が遠くに感じられ、ノートに書かれた文字も彼の目には入ってこない。彼の頭の中には、運命の鎖と、それを託してきた影のことが渦巻いていた。

「運命を切り開く……僕が……？」

再びその言葉が脳裏に浮かび上がり、彼の心を掻き乱す。運命というものが、自分に託されるような存在だとは思っていなかった。普通の学生であるはずの自分が、そんな大それたものに関わるとは到底考えられなかったからだ。

授業が終わり、放課後になってもライナスは一人で考え込んでいた。友人たちが誘う遊びの誘いも断り、彼は街の外れにある小さな公園へと足を運んだ。そこは彼が一人になりたい時によく訪れる場所だった。

公園のベンチに腰を下ろし、彼はしばらくの間、ぼんやりと空を見上げていた。青空が広がり、鳥のさえずりが耳に心地よい。だが、その平和な風景の中でさえ、彼の心には不安が付きまとっていた。

「運命の鎖……」

ライナスは、自分の手をじっと見つめながら呟いた。あの光の感触が蘇り、再び心がざわつく。彼は、自分がこの先、何をすべきかを考えずにはいられなかった。

その時、彼の前に再び現れたのは、昨日の夢で見たあの影だった。今回は夢ではなく、確かな現実として、目の前に立っていた。

「君が選択する時が来た。」

影の声は冷静で、しかしその言葉には重みがあった。ライナスはその言葉に目を見開き、立ち上がった。

「今度は……現実なのか？」

影は静かに頷き、ライナスに近づいた。その存在は、現実のものとして彼の前に立ち、ライナスの心を試すような眼差しを向けていた。

「運命の鎖は、君の手の中にある。君がその運命をどうするかは、君次第だ。」

その言葉を残し、影はふっと消え去った。しかし、ライナスの手の中には、確かに何かが残されていた。

彼の手の中で輝く運命の鎖。それは、彼の選択を待っているかのように、静かに輝いていた。