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6.お酒と本音
同僚の男女 -1
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鷹也がこれほど酔いつぶれるのは初めてだった。
栞里より遥かに強いはずなのだが、今日は仲の良い部署仲間たちと久しぶりの飲み会で、確実に飲みすぎた。
「た、鷹也。おうちについたよ?」
勝手に鷹也のカバンの中から鍵を取り出すと、玄関を開けて中に入った。
自分の脚で歩きながらも、栞里に支えられていないと倒れてしまうほど、酔いつぶれていた。
「それも私のせいなんだけど…」
あまりお酒が得意ではない栞里に、部署の先輩が無理やりお酒を進めるシーンが散見された。
まだ空いていないグラスに注ぎ続け、なかなか減らないのを見ると「飲め飲め」と勧めた。
栞里がお酒に強くないことを知っていた鷹也は、先輩の目を盗み栞里の酒を飲み続けてくれた。
つまり鷹也は、人の2倍以上のアルコールを煽り続けたことになる。
その攻防は2次会まで続き、普段酔った顔すら見せない鷹也のこんな姿は本当に珍しかった。
栞里は鷹也のさりげない優しさが嬉しく、そして申し訳ない気分になった。
自分がお酒が弱いばっかりに、好きな男に楽しいはずの飲み会で気を遣わせてこんな状態にさせてしまったのだから。
前にも鷹也の家に来たことがあったおかげでここまで送り届けることはできたけれど、タクシーを降りてからはその重みを支え耐えるしかなかった。
彼女は居ないと言っていたから、ここに送り届けるのもちょっとの勇気で済んだ部分はある。
好きだと言えないままこれまでずっと、同僚として過ごしてきたから信頼を得られたと考えた。前に来た時も他の同僚も一緒だったし、栞里は鷹也にとっての“特別”ではないことも分かって居るけれど…。
「うぅ~」
意識があるのかないのか、唸り声をあげるだけの鷹也が心配になる。
ベッドルームまではとにかく歩かせてベッドに横にさせたあと、キッチンでグラスに水を注いだ。
「鷹也、お水。飲める?」
栞里の声を頼りに、寝転んでいた鷹也はなんとか起き上がった。
ベッドに座ったまま、栞里が差し出したグラスを手に取ってごくごくと飲んだ。その間も目がうつろで、今にも倒れるか寝てしまうかの苦痛そうな表情だった。
「気持ちわりぃ」
「グラスもらうね」
栞里は鷹也から受け取ったそれをベッド脇の小さなテーブルに置くと、鷹也を再度寝かせて布団を掛けようとした。
けれど突然、鷹也の手が栞里の腕を掴んだ。
「鷹也?」
ぐいっと強い力に引き寄せられて、横になった鷹也の上に倒れ込んだ。
膝立ちでなんとか堪えるが崩れたバランスで栞里の体は鷹也の上に乗っかった。
「た、鷹也。ごめん痛かった?」
「うぅ…ん」
起き上がろうとすると鷹也は栞里の頭を掴んで、そのまま自分の方へと近づけた。
その途端、唇と唇がくっついた。
「っ……!」
鷹也の唇の感触に気付くと、栞里は離れようとした。
けれど頭を掴んだ鷹也の手はなかなかに強い力で離れられない。
それでも無理に引きはがし「ご、ごめん!」と栞里は叫ぶように謝った。
唸っていた鷹也は目がうつろなまま、今度は脚で栞里をぐりんとひっくり返した。ベッドの上で、上下が逆転した。
「えっ…?」
鷹也は馬乗りになりネクタイをぐいぐいと緩めると、ワイシャツと肌着まで脱いで上半身を露わにした。
ついでにベルトにまで手を掛けたのを見て本能的に、栞里はまずい、と思った。
「鷹也!何してるの!私、栞里だよ!」
何の返答もないまま、鷹也が外したベルトと下ろしたチャック。止まることなく全てを脱ぎ始めた。
栞里より遥かに強いはずなのだが、今日は仲の良い部署仲間たちと久しぶりの飲み会で、確実に飲みすぎた。
「た、鷹也。おうちについたよ?」
勝手に鷹也のカバンの中から鍵を取り出すと、玄関を開けて中に入った。
自分の脚で歩きながらも、栞里に支えられていないと倒れてしまうほど、酔いつぶれていた。
「それも私のせいなんだけど…」
あまりお酒が得意ではない栞里に、部署の先輩が無理やりお酒を進めるシーンが散見された。
まだ空いていないグラスに注ぎ続け、なかなか減らないのを見ると「飲め飲め」と勧めた。
栞里がお酒に強くないことを知っていた鷹也は、先輩の目を盗み栞里の酒を飲み続けてくれた。
つまり鷹也は、人の2倍以上のアルコールを煽り続けたことになる。
その攻防は2次会まで続き、普段酔った顔すら見せない鷹也のこんな姿は本当に珍しかった。
栞里は鷹也のさりげない優しさが嬉しく、そして申し訳ない気分になった。
自分がお酒が弱いばっかりに、好きな男に楽しいはずの飲み会で気を遣わせてこんな状態にさせてしまったのだから。
前にも鷹也の家に来たことがあったおかげでここまで送り届けることはできたけれど、タクシーを降りてからはその重みを支え耐えるしかなかった。
彼女は居ないと言っていたから、ここに送り届けるのもちょっとの勇気で済んだ部分はある。
好きだと言えないままこれまでずっと、同僚として過ごしてきたから信頼を得られたと考えた。前に来た時も他の同僚も一緒だったし、栞里は鷹也にとっての“特別”ではないことも分かって居るけれど…。
「うぅ~」
意識があるのかないのか、唸り声をあげるだけの鷹也が心配になる。
ベッドルームまではとにかく歩かせてベッドに横にさせたあと、キッチンでグラスに水を注いだ。
「鷹也、お水。飲める?」
栞里の声を頼りに、寝転んでいた鷹也はなんとか起き上がった。
ベッドに座ったまま、栞里が差し出したグラスを手に取ってごくごくと飲んだ。その間も目がうつろで、今にも倒れるか寝てしまうかの苦痛そうな表情だった。
「気持ちわりぃ」
「グラスもらうね」
栞里は鷹也から受け取ったそれをベッド脇の小さなテーブルに置くと、鷹也を再度寝かせて布団を掛けようとした。
けれど突然、鷹也の手が栞里の腕を掴んだ。
「鷹也?」
ぐいっと強い力に引き寄せられて、横になった鷹也の上に倒れ込んだ。
膝立ちでなんとか堪えるが崩れたバランスで栞里の体は鷹也の上に乗っかった。
「た、鷹也。ごめん痛かった?」
「うぅ…ん」
起き上がろうとすると鷹也は栞里の頭を掴んで、そのまま自分の方へと近づけた。
その途端、唇と唇がくっついた。
「っ……!」
鷹也の唇の感触に気付くと、栞里は離れようとした。
けれど頭を掴んだ鷹也の手はなかなかに強い力で離れられない。
それでも無理に引きはがし「ご、ごめん!」と栞里は叫ぶように謝った。
唸っていた鷹也は目がうつろなまま、今度は脚で栞里をぐりんとひっくり返した。ベッドの上で、上下が逆転した。
「えっ…?」
鷹也は馬乗りになりネクタイをぐいぐいと緩めると、ワイシャツと肌着まで脱いで上半身を露わにした。
ついでにベルトにまで手を掛けたのを見て本能的に、栞里はまずい、と思った。
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