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Lv.1 始まりの町の情事
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海外赴任の父に、母は迷わずついて行った。
俺たちがまだ手のかかる子どもだったなら、今もこの家には最低でも家族3人が暮らして居ただろう。
けれど俺たちはもう子どもじゃない。
子どもじゃないから、自らの意志で人に言えないことも出来てしまう。
「んっ……あ」
最初のきっかけは単純な話だった。
気持ちよく感じられるようになりたい。
その一言に誠実さを見せられ、救世主として君臨した俺はこの手と技術を貸すことにした。
「ひぁ……っ」
実際に使われるのは手と舌だけだが、なかなかにいい仕事をしていると自負している。
初めは上半身のふくらみを弄ぶくらいだった。
先端を擦られるのも痛がるほどで、気持ち良さに慣れていないどころか未開発で敏感すぎた。
けれど経験値はゲームと同じで積み重ねるもの。
何度も何度も繰り返していれば、痛み以外の反応を示すようになるものだ。
雰囲気に慣れ、環境に慣れ、身体が慣れる。
「あっんんっ……」
全ての女がそうかは知らないが麻央はそうだった。
何度も何度も繰り返し、少しずつ慣れさせていけばいつしか悦楽の声を漏らすようになった。
脚をくねらせ腰をよじり、次を欲しがった。
そう。最初は上部だけのつもりが、結局は麻央の方から下部への進行を求めたのだ。
この半年で悦ぶポイントは熟知したし、焦らないでやることが一番の攻略法ということも承知済み。
麻央の身体を一番理解しているのが俺だと言えるくらい、回数は重ねて来ている。
「……お願い、も……もぅ……」
ただ、俺は麻央と繋がることはしない。
麻央が望んだとしても、それは俺の考える手助けの範疇を超える。俺はただ快楽へ導き、気持ちよさを教えるだけ。
もちろん性欲はあるし、こんなことを何度も続けていたら俺だって溜まる。
「……っあダメ、ダメ……んんんっ!」
全身を震わせた麻央から力が抜け、酸素を欲しがったら今日の施しは終了だ。
「明日だよね」
「はあ、はあ……うん、明日」
「楽しみ?」
「すごく楽しみ。たっちゃんのおかげで、恐怖心が消えたんだもん。絶対気持ちよくなれる」
明日、半年ぶりに麻央の彼氏が帰国するらしい。
インスタンブールだかどこかの国で、簡単には会えない距離。よく遠距離を続けたもんだ。
「あの時は怖くて痛くて泣いちゃったけど、今回はちゃんと圭人を最後まで受け入れられそうだよ」
イスタンブール行きが決まった彼氏と半年会えないことが分かった途端、麻央は覚悟を決めベッドインした。
けれど初めての体験に恐ろしいほどの痛みを覚えたまま海外へ旅立つ彼氏を見送り、苦い思い出だけを持ち帰った。
好きなのに怖いなんてと泣く麻央に、俺は言った。
「慣れるまで、最初はみんな痛いらしいよ。俺、女じゃないから分かんないけど」
みんな痛いらしい の部分よりも、慣れるまで の方に照準を当てた麻央は懇願した。
「気持ちよく感じられるようになりたい。たっちゃん、気持ち良さを教えて」
何を言い出してんだよと俺はちゃんと止めた。
でも何度か言葉のキャッチボールをしているうちに、思った。
───麻央が良いなら良いんじゃね?
麻央は俺にとっては姉に当たる。
しかしそれは戸籍上の話。俺の父が結婚した相手である、母の連れ子なのだ。
麻央と俺に血の繋がりはない。
さらに言えば、家族になってまだ数年。
出会った頃にはもうお互いが自立した大人の男女だったわけで、兄弟なんて意識もほぼない。
まあ言えるのはあれだな。
父ちゃん、母ちゃん、ごめんよ。
本番だけはしないようにしてきたからさ。
調教……ではなく真面目な性教育は終わった。
半年間、よく頑張りました。
ベランダから見送る俺に笑顔で手を振って、麻央は半年ぶりに会う彼氏を迎えにタクシーに乗った。
俺たちがまだ手のかかる子どもだったなら、今もこの家には最低でも家族3人が暮らして居ただろう。
けれど俺たちはもう子どもじゃない。
子どもじゃないから、自らの意志で人に言えないことも出来てしまう。
「んっ……あ」
最初のきっかけは単純な話だった。
気持ちよく感じられるようになりたい。
その一言に誠実さを見せられ、救世主として君臨した俺はこの手と技術を貸すことにした。
「ひぁ……っ」
実際に使われるのは手と舌だけだが、なかなかにいい仕事をしていると自負している。
初めは上半身のふくらみを弄ぶくらいだった。
先端を擦られるのも痛がるほどで、気持ち良さに慣れていないどころか未開発で敏感すぎた。
けれど経験値はゲームと同じで積み重ねるもの。
何度も何度も繰り返していれば、痛み以外の反応を示すようになるものだ。
雰囲気に慣れ、環境に慣れ、身体が慣れる。
「あっんんっ……」
全ての女がそうかは知らないが麻央はそうだった。
何度も何度も繰り返し、少しずつ慣れさせていけばいつしか悦楽の声を漏らすようになった。
脚をくねらせ腰をよじり、次を欲しがった。
そう。最初は上部だけのつもりが、結局は麻央の方から下部への進行を求めたのだ。
この半年で悦ぶポイントは熟知したし、焦らないでやることが一番の攻略法ということも承知済み。
麻央の身体を一番理解しているのが俺だと言えるくらい、回数は重ねて来ている。
「……お願い、も……もぅ……」
ただ、俺は麻央と繋がることはしない。
麻央が望んだとしても、それは俺の考える手助けの範疇を超える。俺はただ快楽へ導き、気持ちよさを教えるだけ。
もちろん性欲はあるし、こんなことを何度も続けていたら俺だって溜まる。
「……っあダメ、ダメ……んんんっ!」
全身を震わせた麻央から力が抜け、酸素を欲しがったら今日の施しは終了だ。
「明日だよね」
「はあ、はあ……うん、明日」
「楽しみ?」
「すごく楽しみ。たっちゃんのおかげで、恐怖心が消えたんだもん。絶対気持ちよくなれる」
明日、半年ぶりに麻央の彼氏が帰国するらしい。
インスタンブールだかどこかの国で、簡単には会えない距離。よく遠距離を続けたもんだ。
「あの時は怖くて痛くて泣いちゃったけど、今回はちゃんと圭人を最後まで受け入れられそうだよ」
イスタンブール行きが決まった彼氏と半年会えないことが分かった途端、麻央は覚悟を決めベッドインした。
けれど初めての体験に恐ろしいほどの痛みを覚えたまま海外へ旅立つ彼氏を見送り、苦い思い出だけを持ち帰った。
好きなのに怖いなんてと泣く麻央に、俺は言った。
「慣れるまで、最初はみんな痛いらしいよ。俺、女じゃないから分かんないけど」
みんな痛いらしい の部分よりも、慣れるまで の方に照準を当てた麻央は懇願した。
「気持ちよく感じられるようになりたい。たっちゃん、気持ち良さを教えて」
何を言い出してんだよと俺はちゃんと止めた。
でも何度か言葉のキャッチボールをしているうちに、思った。
───麻央が良いなら良いんじゃね?
麻央は俺にとっては姉に当たる。
しかしそれは戸籍上の話。俺の父が結婚した相手である、母の連れ子なのだ。
麻央と俺に血の繋がりはない。
さらに言えば、家族になってまだ数年。
出会った頃にはもうお互いが自立した大人の男女だったわけで、兄弟なんて意識もほぼない。
まあ言えるのはあれだな。
父ちゃん、母ちゃん、ごめんよ。
本番だけはしないようにしてきたからさ。
調教……ではなく真面目な性教育は終わった。
半年間、よく頑張りました。
ベランダから見送る俺に笑顔で手を振って、麻央は半年ぶりに会う彼氏を迎えにタクシーに乗った。
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