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Lv.8 他人の情事に配慮のステルス
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事務所から出された指令、発売前のプレイ感想作成はあのあと何事もなく完了した。
正直すぎる俺のレポートにメーカーは頭を抱えたらしいが、他にも数人のゲーマーが挑戦したので上手いこと評判を上げて発表するだろう。
そんなこんなで俺は今、自己陶酔に浸っている。
よく晴れた空の下、自然を感じ柔らかい風を切るように健康的に走り駆ける。
───わけもなく、外気と遮断された自室に籠って硬いハンドルを握り、手慣れたコントロールで速度と角度と強弱を自由自在に操った。
ゲーム用の高画質な3台のモニター。
普段はその中で激しいバトルが繰り広げられるのだが、今はCGでもアニメ調でもないリアルな映像が映し出されている。
戦いとは無縁の、平和の象徴とも言える。
いや、これは本能なる戦いかもしれない。
女性の裸体が惜しげもなく披露され、その身体を遠慮なく舐めまわしその身を交わらせる男女の映像。
つまりはセクシー動画である。
「あーこの構図いい」
映像の中の情景に合わせてハンドルを操作すれば、美しい画質への没入感は凄まじい。
『遠慮しないでくださいっ』
『これ以上はダメっはぁあん』
『もっと欲しいんですよねこれが!』
『ちがっ……あぁあぁっ!』
いつもは厳しい女性上官を演じる女優も、そんな相手を〝ただの女〟にしてしまう筋肉質な男優も、その演技力を称賛する。
立場に抗いながらも身体は正直で、何度も迎える絶頂に自ら腰を振るなんて様相は男のロマンを叶えた願望の具現化だ。
「あーキタ」
下腹部に自然と力が入る。
握ったハンドルの速度を上げると奥の方から込み上げてくる感覚が襲ってきた。
そうして最高潮へと登り詰めようとしている瞬間に、急に現実感を押し付ける警笛が鳴らされた。
「たっちゃんお昼ご飯できたよー」
階下からの麻央の声である。
「んっ……分かったあ!」
待って。もうちょっとだから。
その間もハンドル操作は止めない。
「おうどんだから、あったかいうちに食べてー」
「っはぁ……うん、わかった!……っは」
「伸びちゃうよぉー?」
「すぐ、い、行くからっ……はぁっ」
「早く来てぇー?」
「もうイクからっ……っ…………ぁ」
『うおおぉぉお』
『いやあぁぁあ』
『フンンンヌッ!』
画面の中の男優と俺は、一心同体だった。
激しかった動きは急激な静止画像のように止まり、ドクン、ドクンと鼓動を打って最小限のみの反動を残した。
俺のハンドルさばきも終焉を迎えていた。
本日の自己スプラッシュは満足度が高かった。
やはり抜ければ何でも良いわけじゃないのだ。
こないだシロサイ相手に想像した一片が頭から離れなくて、ついつい探してしまったのが女性上司とのイケナイ関係シリーズだ。
実際は少しSっ気が強くなりがちで、難攻不落とも思える年上のお姉さんが相手でも俺は自由にやりすぎる節がある。
しかしこうして演技力の高い出演者によって関係性が明確とされた作品であれば、自分の想像力に拍車をかけてくれて非常に有用である。
昼間っからと思われるかも知れないが、人間の欲なんてものは時間やタイミングなど考えるべきではない。
しかし現実は余韻に浸らせてはくれない。
「ねぇたっちゃーーーん?」
「もうイッたから! じゃなくてもう行くから!」
ゴミ箱に投げ捨てたティッシュはちゃんと二重にした。麻央の前で発射したことはないのだ。一応配慮していることは、報告しておく。
正直すぎる俺のレポートにメーカーは頭を抱えたらしいが、他にも数人のゲーマーが挑戦したので上手いこと評判を上げて発表するだろう。
そんなこんなで俺は今、自己陶酔に浸っている。
よく晴れた空の下、自然を感じ柔らかい風を切るように健康的に走り駆ける。
───わけもなく、外気と遮断された自室に籠って硬いハンドルを握り、手慣れたコントロールで速度と角度と強弱を自由自在に操った。
ゲーム用の高画質な3台のモニター。
普段はその中で激しいバトルが繰り広げられるのだが、今はCGでもアニメ調でもないリアルな映像が映し出されている。
戦いとは無縁の、平和の象徴とも言える。
いや、これは本能なる戦いかもしれない。
女性の裸体が惜しげもなく披露され、その身体を遠慮なく舐めまわしその身を交わらせる男女の映像。
つまりはセクシー動画である。
「あーこの構図いい」
映像の中の情景に合わせてハンドルを操作すれば、美しい画質への没入感は凄まじい。
『遠慮しないでくださいっ』
『これ以上はダメっはぁあん』
『もっと欲しいんですよねこれが!』
『ちがっ……あぁあぁっ!』
いつもは厳しい女性上官を演じる女優も、そんな相手を〝ただの女〟にしてしまう筋肉質な男優も、その演技力を称賛する。
立場に抗いながらも身体は正直で、何度も迎える絶頂に自ら腰を振るなんて様相は男のロマンを叶えた願望の具現化だ。
「あーキタ」
下腹部に自然と力が入る。
握ったハンドルの速度を上げると奥の方から込み上げてくる感覚が襲ってきた。
そうして最高潮へと登り詰めようとしている瞬間に、急に現実感を押し付ける警笛が鳴らされた。
「たっちゃんお昼ご飯できたよー」
階下からの麻央の声である。
「んっ……分かったあ!」
待って。もうちょっとだから。
その間もハンドル操作は止めない。
「おうどんだから、あったかいうちに食べてー」
「っはぁ……うん、わかった!……っは」
「伸びちゃうよぉー?」
「すぐ、い、行くからっ……はぁっ」
「早く来てぇー?」
「もうイクからっ……っ…………ぁ」
『うおおぉぉお』
『いやあぁぁあ』
『フンンンヌッ!』
画面の中の男優と俺は、一心同体だった。
激しかった動きは急激な静止画像のように止まり、ドクン、ドクンと鼓動を打って最小限のみの反動を残した。
俺のハンドルさばきも終焉を迎えていた。
本日の自己スプラッシュは満足度が高かった。
やはり抜ければ何でも良いわけじゃないのだ。
こないだシロサイ相手に想像した一片が頭から離れなくて、ついつい探してしまったのが女性上司とのイケナイ関係シリーズだ。
実際は少しSっ気が強くなりがちで、難攻不落とも思える年上のお姉さんが相手でも俺は自由にやりすぎる節がある。
しかしこうして演技力の高い出演者によって関係性が明確とされた作品であれば、自分の想像力に拍車をかけてくれて非常に有用である。
昼間っからと思われるかも知れないが、人間の欲なんてものは時間やタイミングなど考えるべきではない。
しかし現実は余韻に浸らせてはくれない。
「ねぇたっちゃーーーん?」
「もうイッたから! じゃなくてもう行くから!」
ゴミ箱に投げ捨てたティッシュはちゃんと二重にした。麻央の前で発射したことはないのだ。一応配慮していることは、報告しておく。
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