【完結】女好きプロゲーマーが恋愛ごっこを卒業するまで

ソラ太郎

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 泣き声がこだまする。
 何も言い返せないんだが。

 誤魔化せるか?
 誤魔化せるなら、誤魔化してなかったことにしたい。和葉の記憶から抹消させたい。

「見間違えじゃない?」
「1回だけなら私もそう思った。でも2回目を見ちゃったら、もう疑いようがないよ……」

 麻央の教育実習をリビングでしたことはある。
 数えられる程度だが、何度か。

 外部から、特に玄関部分からは見えない構造になっているけど確かに庭の方に回れば、カーテンの調子によっては見える。

 つまりその何度かのうち、タイミングよく2回も目撃されたわけだ。

 中を覗き込む変態がここに居たとは。

「血も繋がってないし、一番近くに居たら好きになるのも仕方ないのかなって思ってた。麻央ちゃんも外国に行った彼氏の話をいつもしてくれるし、内緒の恋にしてるならって黙ってた」

 俺は黙って聞いた。

「でも、麻央ちゃんじゃないなら、一番近くに居たのは私じゃん。達也が麻央ちゃんを諦めた時、私に目を向けてくれるの待ってたんだよ」

 こんな風に泣かれるのは想定外だったが、今の話から察するに和葉の勘違いが大部分を占めている。

 訂正するのも面倒だが、勘違いされたままだと麻央に悪い。

「言っとくけど俺と麻央はヤッてないよ」
「うそ……見たもん」
「途中までね」

 途中までもどうかと思うが、ここは性教育の内容において重要なポイントである。

「俺は麻央に恋焦がれたりしてないし、麻央も彼氏だけに一途で居るよ」
「でも……」
「さっき好きだからしたいと思うって言ったけど、本当は俺は好きじゃなくても女を抱ける。
 でも麻央は姉ちゃんだから抱いてない。
 事情があっただけ」

 それがどうしたなのだが、和葉の本番疑惑だけは払拭したくて続けた。

 それに事情なんてあってないようなもので、その部分も詳細に説明するつもりもない。

「あと和葉。お前が知ってるってその話、麻央にも、麻央の彼氏にも絶対言うなよ」
「そんなの言えるわけ……」
「言うなよ。言ったら俺マジで許さねーから」

 さっきまで詰められていたのは俺の方なのに、主導権を握った気になれば威圧は簡単だった。
 和葉みたいな普段うるさいタイプこそ、いざという時には弱気になるらしい。

 和葉を落ち着かせるためにお茶を入れ直したが、俺自身クールダウンする時間になった。

「まあ飲めよ」

 麻央とのことにはもう触れない方が良さそうだ。
 ひつこく言われると反発したくなる気持ちが湧いてしまうのはよくある。
 母と子の、宿題しなさい論争だ。

「お前の気持ちは分かった。だからってそれを受け入れるかどうかは俺次第だろ?」
「……うん」

 和葉が爆発した原因は俺だが、だからと言って俺がその条件を飲む必要もない。
 恋愛の観点から言えば、ただ単に、和葉が俺に失恋しただけのこと。

「悪いけどお前とは付き合えない」
「……うん」

 意外と最初から結論を伝えてやってた方が良かったのかもしれない。
 面倒く下がって先延ばしにした結果、必要以上に傷つけてしまった。

 俺の性格と性欲のせいなのだから、せめてフォローくらいはしとくべきか。

「麻央はお前と話すの気に入ってるし、まあまた飯くらい呼ばれてやってよ」
「……分かった。ごめん、ありがと」
「おう」

 良いやつみたいな終わらせ方をしたけど、俺自身、俺みたいな奴は嫌われて然るべきとも思う。

 ただ顔が良くてセックスがうまいだけ。

 ……じゃあ和葉は俺のどこに惚れたんだ?
 顔か?

 謎は解けず、それも面倒くさくなってどうでもいいかと思い至った。
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