【完結】女好きプロゲーマーが恋愛ごっこを卒業するまで

ソラ太郎

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 高山達也の部屋に入ると、機械的なものが多かった。
 采花はゲームなど全くしないで生きて来た。
 だからこの部屋にあるもの全てが珍しく、色んなものに興味を示した。

「このゲームはさ、裏テーマに家族愛があるんだよ。自分の犠牲も厭わないで、ただ愛することを選んだ人間がどれほど強いのかって」

 そこで手に取ったゲームはどうやら高山達也の1番のお気に入りらしく、寝ぼけているような顔で話し出すと止まらず熱弁された。

「マジでこれは名作すぎる。このゲームに出会ってなかったら、俺はたぶん誰のことも愛せず終わる人生だったかもなぁって真剣に考えるくらい」

 目は半開きでおでこに貼ってある冷えピタがカピカピに乾くほど熱があるらしいのに、その表情は満足そうだった。

 そこまで本気で勧めることができるものがあることが羨ましかった。
 采花はやったことのないゲームにも興味が湧いて来て、ついぞやってみたいと思わされたのだ。

「本当にゲームが好きなんだね」
「んー? ゲームだけじゃなくて女の子も好きよー。今はまだ、愛し方とかは分かんないけどー」
「高山くんモテそうなのに、彼女は居ないの?」
「彼女作ったら遊べなくなるじゃん」
「一緒にゲームして遊べばいいじゃない」
「そういう遊びじゃなくて……まあ彼女にするならゲームを理解する奴がいいとは思うけど」

 体調が悪いながらもこうして、自分の知らないゲームの世界を教えてくれる。
 彼女が居ないと聞いて、采花の中で何かが形になった瞬間だった。



 -----回想ここまで-----



 話を聞き終わる頃にはもう、火傷らしい違和感は全くなかった。
 水を止めてタオルで俺の手から水気を拭き取ってまでくれた。

「……それが、俺を好きな理由?」
「きっかけだね。高山くんを意識し始めたきっかけ。何で好きとかそんなのは、私にも分かんない」

 話の流れとしては、分かった。
 だけどそれって。

「それって、共感が生む同情じゃね?」

 俺が思ったことを口にすると、シロサイは首を横に振った。
 
「私、高山くんが麻央さんとえっちなことしてたって聞いても気持ち変わってないんだよ?」
「ん、そうかもだけど。結局同情じゃないの?」
「高山くんが悲壮感ある暮らしをしてたわけじゃなくて、それなりに楽しんでたんだって知って嬉しかったくらい」

 言わんとすることが見えそうで、見えない。
 俺はもっと分かりやすい説明を求め、首を傾げた。

「最初は共感と同情から気になり始めただけかもだけど、今はそんな気持ち全くなくて。
 ただ高山くんという人間、その存在が好き」

 真っ直ぐだ。
 シロサイの目は真っ直ぐで、その気持ちも真っ直ぐで、迷いのない口調も全部、疑うところが一切ない。

「真剣さは、伝わった」
「そ? 良かった」

 なるほど彼女にする相手は、こういう真剣さで向き合える人であるべきなのかもしれない。

「だから真面目に考えてね」
「分かった」

 シロサイの用意してくれたご飯を食べて、俺たちはまたペア練習を行なった。
 その間もシロサイの存在が前より近づいた気がしていて、話を聞くだけでも相手のことを理解していけることを知った。

 これまで適当に考えてたわけじゃなくて、たぶん俺は逃げてただけで考えてすらなかったんだと思う。

 まだ遊びたいとか1人に縛られたくないとか、面倒くさいとかの感情も確かにあったけど。
 なんかちょっと思ったのは自分だけが真剣に好きになるのが恥ずかしいとかそういう、かっこつけたい欲だったかもしれないってこと。

 もう少しだけ、真面目に向き合おうと思った。
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