【完結】女好きプロゲーマーが恋愛ごっこを卒業するまで

ソラ太郎

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Lv.18 勇者たるもの、悩み、迷え

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 急に電話が鳴って驚いた。
 いや、電話というのは急に鳴り出すものではあるが、相手の名前が珍しすぎた。

「もしもし?」
『高山? 久しぶり、覚えてる?』
「名前出たから分かるけど。どしたの急に」

 相手は高校の時の同級生だった。
 電話番号を交換した記憶もないくらい、長年連絡を取っていなかった相手である。

『いやさ、高山プロゲーマーやってんじゃん?
 でさ、一個お願いがあって』

 連絡を取ってなかった相手からいきなり電話がかかってくるとか、その時点で怪しかった。
 あんまりいい予感はしなかったがその直後、やはりの内容に俺の直感は正しかったと思わされた。

『シロサイって同じ事務所でしょ?
 ちょっと紹介して欲しくて』

 そういう話だとは思っていた。

 一般的には小さな小競り合いのようなものではあるが、ゲーマーたちの狭い世界では確かに話題になったのだ。
 元クラスメイトのこいつが意外にもゲームが好きでそういう話題を追いかけるタイプなのだとしたら、シロサイの存在を知っていてもおかしくはない。

 ただ単純にいやだなと思った。

「紹介はしない」
『実はリアルにシロサイと関係あるとか?』
「そういうんじゃなくて面倒くさい」

 こういうことは前にもあった。
 パプリカちゃんを紹介してくれと言って来た奴が居たが、その時も面倒くさいが故に断った記憶がある。

 もちろん俺が手をつけた女だからというのもあるが、紹介するにあたり間に入って仲介するというのがまず俺に向かない。

 だけど今回は面倒なだけじゃなくて、なんとなく、本当に嫌だった。

「ん? てか……」
『何? 紹介してくれんの?』
「いや、お前も知ってるじゃん」
『何が?』
「同じクラスだったじゃん。委員長の白井」
『え? 委員長?』

 シロサイが委員長だと気づかないのは無理もない。かくいう俺もそうだった。

 イメージが違う、というよりそもそも委員長のイメージが皆無だったのだが、シロサイを見て当時の委員長に連想づける奴はなかなか居ないと思う。

 だが、俺はどうやら選択を間違えたらしい。
 言わなきゃ良かったと思ったのは数日後だった。



 〝シロサイ整形疑惑〟
 これがゲーマー界隈で囁かれることになった。

 シロサイこと白井采花の高校時代の写真がネットを駆け回ったのだ。
 そういうのが出回るのは非常に速い。

「あぁ……たぶんあいつだ」

 そう思いそいつに連絡しようとしたが、例え犯人を特定したところで、シロサイの卒業写真がネット上から消えるわけはない。
 知っているのならと油断して、考えなしに喋ってしまったことを心底後悔した。

 しかし。

「気にしてないよ?」

 俺が元クラスメイトのあいつに話してしまったせいだと白状したところ、シロサイはそんな感じで全く気にしてなかった。

「でも昔の写真が出回って、整形とか言われて……俺のせいでシロサイが嫌な思いしてるし」
「私、自分に自信持てるようになろうと思ってダイエットもメイクも必死で頑張って来たんだもん。誰に何を言われても、整形したくらい可愛くなったって認められてると思って受け止めるよ!」

 申し訳なくて頭を下げたけれど、逆に「気を遣わせてごめん」と謝られる始末。
 シロサイ、なんでそんな器がでかいんだよ。



 でもこの問題は、ここで終わらなかった。むしろこれを発端とした傷害事件が起きてしまう。


 プルルッ

 俺は電話が苦手らしい。
 突然鳴り出した携帯に身構えるも、その画面に表示された名前が久しぶりで瞬時に緊張が走った。

「もしもし、和葉?」
『達也! ××病院に運ばれたの。急いできて!』
「え? 運ばれたって、誰が?」
『白井さんだよ!』

 俺は病院まで走った。
 原因とか状態とかも聞かず、シロサイが運ばれたと聞いて勝手に足が動いた。


「和葉」
「あ……達也」
「シロサイは?」
「今、治療室に居る」

 状況は読めないが、和葉がここに居ると言うことは一緒に居たのだろうか。

「何があった?」
「……私もちょっと混乱してるから上手く説明できるか自信ないけど。白井さん、歩道橋の階段で突き飛ばされて」
「誰に?」
「名前は分かんないけど、なんか、相手の人がムジンの名前出してて」

 ムジンの名前、イコール、俺の名前。

「騙してるとか、整形してるくせにとか、そういうこと叫んでた。女の人」
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