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Lv.19 半同棲、否、もはや同棲
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クロサイは俺の配信にも顔を見せなくなった。
単にあの威嚇が効いていればいいが、嵐の前の静けさなんてことがないようにそれだけは頼む。
脚に入ったヒビは数週間の安静が必要である。
「でも折れたのが脚で良かった。もし手の方だったらコントローラー握れないもんね」
シロサイの前向きさには脱帽である。
容疑者の女との話し合いは事務所主導で行われ、金銭的な話も出ているそうだが、シロサイが怪我をしたことは詳細開示を避けるため非公開にされた。
傷害罪が適用されるところ、初犯で反省の色を見せ始めたらしく、シロサイが強く罰を求めなかったこともあって女は手錠を免れた。
そんな仏のシロサイではあったが実際のところ、実生活においては不便この上ない。
「俺ん家で過ごせば?」
一人暮らしのシロサイを放っておくことも出来ず、松葉杖が取れるまでの間うちに居候させることになった。
「2人がいいなら何も言わないけどさ……」
和葉はかなり嫌な顔をした。それでも渋々ながらではあったが、シロサイの環境を知って居たため協力すると申し出た。
意外すぎる反応ではあったが、シロサイと話す機会があって和葉の中でも何かケジメのようなものがついたのだと思う。
俺への執着が見えなくなってホッとした。
毎日のように食事を作りに来て、誰よりもボリューム多く盛ったご飯を一緒に食べる。
時間に余裕がある時はシロサイを連れて一緒にお風呂にまで入って、自分の着替えまでうちに置いて行く始末。
通い妻のような存在と化していった。
さすが、和葉である。
そんな俺たちも、和葉が居ない間はとにかく練習をしようと意気込んだ。
ペア練習のために運び込んだシロサイのPCが俺の部屋に設置され、同じ空間で別の筐体を使った実践練習が叶うことになったのだ。
だが操作がうまくいかない場面が多々あった。
「手首も捻ったんだろ? 無理すんな」
「うん……ごめん。左手がさ、スティック動かすだけでちょっと痛いかも」
大会まではあと少し。
シロサイの足の怪我は確実に間に合わないが、手首の痛みは安静にしてれば落ち着くはず。今は無理をさせない方が良さそうだ。
「手首が治るまで、俺の操作見ながら連携のイメトレでもするか」
「そうだね。ここでこんな援護欲しいとか言ってくれたら、治った時にそれできるか試せるし」
シロサイは怪我をしている。
骨を痛めた脚と、肘も打って擦りむいて、手首も捻った。
分かっては居るのだ。
だけどな、毎日一緒に居るとだな。
一式床に敷いた布団があってもだな。
同じベッドで寝ることも増えるとだな。
「ムラムラするんだよ」
「えっ?」
そりゃあうっかり口にも出してしまうだろう。
「ごめん今、普通に出た」
「う、うん。普通に言ったね」
「俺かなり長い間、してないしさ」
「う、うん。そうなんだ? 良かったよ」
連絡すれば多分、俺に呼び出されてくれる女の子は居るんだが、そういうんじゃないんだよな。
「んむ~~~っ」
敵を撃破し勝利が決まった直後唸り声を上げた。
耐えるのだ、俺。
今はシロサイの怪我を優先すべきところだ。
「よし今のステージもっかいやろう」
雑念を払い、俺もシロサイもまだ苦手なステージを繰り返し練習していく。
シロサイも俺の操作する画面を覗きながらイメトレに集中しているし、俺たちは優勝できる可能性を高めて行くだけである。
耐えるのだ、俺よ。
耐えるのだ、俺のマグナムよ。
耐えるのだ、耐えるのだ───!
単にあの威嚇が効いていればいいが、嵐の前の静けさなんてことがないようにそれだけは頼む。
脚に入ったヒビは数週間の安静が必要である。
「でも折れたのが脚で良かった。もし手の方だったらコントローラー握れないもんね」
シロサイの前向きさには脱帽である。
容疑者の女との話し合いは事務所主導で行われ、金銭的な話も出ているそうだが、シロサイが怪我をしたことは詳細開示を避けるため非公開にされた。
傷害罪が適用されるところ、初犯で反省の色を見せ始めたらしく、シロサイが強く罰を求めなかったこともあって女は手錠を免れた。
そんな仏のシロサイではあったが実際のところ、実生活においては不便この上ない。
「俺ん家で過ごせば?」
一人暮らしのシロサイを放っておくことも出来ず、松葉杖が取れるまでの間うちに居候させることになった。
「2人がいいなら何も言わないけどさ……」
和葉はかなり嫌な顔をした。それでも渋々ながらではあったが、シロサイの環境を知って居たため協力すると申し出た。
意外すぎる反応ではあったが、シロサイと話す機会があって和葉の中でも何かケジメのようなものがついたのだと思う。
俺への執着が見えなくなってホッとした。
毎日のように食事を作りに来て、誰よりもボリューム多く盛ったご飯を一緒に食べる。
時間に余裕がある時はシロサイを連れて一緒にお風呂にまで入って、自分の着替えまでうちに置いて行く始末。
通い妻のような存在と化していった。
さすが、和葉である。
そんな俺たちも、和葉が居ない間はとにかく練習をしようと意気込んだ。
ペア練習のために運び込んだシロサイのPCが俺の部屋に設置され、同じ空間で別の筐体を使った実践練習が叶うことになったのだ。
だが操作がうまくいかない場面が多々あった。
「手首も捻ったんだろ? 無理すんな」
「うん……ごめん。左手がさ、スティック動かすだけでちょっと痛いかも」
大会まではあと少し。
シロサイの足の怪我は確実に間に合わないが、手首の痛みは安静にしてれば落ち着くはず。今は無理をさせない方が良さそうだ。
「手首が治るまで、俺の操作見ながら連携のイメトレでもするか」
「そうだね。ここでこんな援護欲しいとか言ってくれたら、治った時にそれできるか試せるし」
シロサイは怪我をしている。
骨を痛めた脚と、肘も打って擦りむいて、手首も捻った。
分かっては居るのだ。
だけどな、毎日一緒に居るとだな。
一式床に敷いた布団があってもだな。
同じベッドで寝ることも増えるとだな。
「ムラムラするんだよ」
「えっ?」
そりゃあうっかり口にも出してしまうだろう。
「ごめん今、普通に出た」
「う、うん。普通に言ったね」
「俺かなり長い間、してないしさ」
「う、うん。そうなんだ? 良かったよ」
連絡すれば多分、俺に呼び出されてくれる女の子は居るんだが、そういうんじゃないんだよな。
「んむ~~~っ」
敵を撃破し勝利が決まった直後唸り声を上げた。
耐えるのだ、俺。
今はシロサイの怪我を優先すべきところだ。
「よし今のステージもっかいやろう」
雑念を払い、俺もシロサイもまだ苦手なステージを繰り返し練習していく。
シロサイも俺の操作する画面を覗きながらイメトレに集中しているし、俺たちは優勝できる可能性を高めて行くだけである。
耐えるのだ、俺よ。
耐えるのだ、俺のマグナムよ。
耐えるのだ、耐えるのだ───!
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