【完結】女好きプロゲーマーが恋愛ごっこを卒業するまで

ソラ太郎

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Lv.24 ラスボスは勇者が倒す

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 あれから数年が経った。

 俺に姪っ子と甥っ子まで出来たが、基本的に家族は全員、相変わらず海外に居る。

 だが俺が1人ぽっちじゃないのは、今も変わらず隣に采花が居てくれるからだ。

「采花、どこ行ってたの?」
「事務所に指輪置いてきちゃったから取りに。危なかったー」

 ペアリングはクリスマスの日に買った。
 采花曰く、ジュエリーショップで指輪を見ている時の俺の目はハンター脳だったらしい。

 コントローラーの操作に邪魔になるようなでかい宝石がついたのはダメ、シンプルすぎるとペアリングに見えない、俺と采花のがペアだと一瞬で分かるのがいい。

 条件に合って2人の気にいるものを見つけるまで数件のお店を回った。

 大会での実績も積み上げつつ、海外進出も叶えて2人して順風満帆な中、俺の環境は変わりつつあった。

「そういえば達也くん、どうなったの? あの仕事」
「決まった。ムジンフリーリィ監修の名前を入れてもらえるらしい」
「やば、それすごー」

 事務所を通した新作ゲームのプレイ感想は続けて依頼され、真面目にこなしてきた。
 その感想詳細がメーカーの目に止まった。

 辛辣な評価だけでなく、その改善案まで提示した感想コメントにゲームメーカーがヘルプを申し出たのだ。
 ゲームを愛するが故に、その気付きと視点の広さ、面白さへの追求心が買われたわけだ。

「来年発売予定で進めてたけど、修正案によっては再来年にしてもいいから面白い物作りたいって」

 プロゲーマーの域を超えた活躍が期待されていることをひしひしと感じていた。
 それは新たな挑戦でもあり、今後の人生を左右するくらいの選択の時でもある。

「俺は今がターニングポイントだと思ってる」
「ターニングポイント?」
「采花。俺、プロゲーマー引退しようかと思って」
「えっ?」

 采花が驚いたのは当たり前だ。
 来月以降にも参加する大会がいくつか控えていて、それが決まったのもつい最近のことだ。

「今すぐって訳じゃなくて。エントリーした大会は全部出るし、本気で優勝目指す。
 でも、数年後はもうプロじゃなくていいかなって思ってる」
「……達也くんらしくないね?」

 俺が乱心したのかとお伺いを立ててくる采花の気持ちはよく分かる。ゲームとセックスが全て! くらいの打ち込み方をしてきたからな。

 でも、俺には新しい夢があった。

「俺、好きだと思えることがゲームしかなかったから、高校時代からプロゲーマーの世界を生きてきただけで。
 今はもう、ゲーム以外に欲しいものできた」
「欲しいもの?」
「自分の家族。采花と家族になって、子どもとか」
「ぁ……」

 采花は俺の言いたいことが分かったらしい。
 告白する時の緊張感を思えば、こんな穏やかな気持ちで話せるとは思ってなかったな。

「言っとくけど、これはまだプロポーズじゃないから。時が来るまでもうちょっと、彼女として俺を甘やかして?」
「んふふっ。達也くんらしい」
「まあー幸いなことに、サウジアラビア大会で優勝できたから世界戦への出場招待が次々来るし? 世界戦賞金のおかけでまだまだお金にも余裕あるし? もうちょっと縦横無尽なプロゲーマーを満喫させてもらうけどね」

 プロゲーマーの引退は大事な選択の時。

 まだ予定は全く立っていないのだが、采花はもう俺の人生になくてはならない人である。話しておくべき、というより聞いてもらいたかった。

「采花さぁ」
「ん? なぁに?」
「どうしても出たい大会あったら、先に言っといてね?」
「うん。なんで?」
「妊娠したらお休みしなきゃいけないし」
「えっ」
「まだ先の話かもだけどねー」

 顔を真っ赤にして困惑した愛おしい彼女は、小さく何度も頷き、遠慮がちな声で「そうだよね」と言った。

 采花よ、なぜ未だにそんなウブなのだ。
 可愛いが止まらねぇ。

「采花! 俺は今日! お前を抱く!」
「っはい!」

 勢いよく宣言すると采花の手を取り、颯爽とお風呂場に直行した。

 采花と一緒にお風呂に入るのが好きだ!
 洗いっこしながら触っちゃうのが好きだ!
 お風呂場は采花の声が響くから好きだ!

 そして、数年前から変わらない熱量で今日もねっとりと愛するのだった。

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