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バルコニーの柵に手をかけ、夜風に当たりながら吐き気をどうにか押し留めようとする。先ほどまで感じていた腐臭は今は落ち着いて、気にならなくなっていた。腐臭よりも感じられるのは、ほのかな香水の匂い。横にいる先生から漂ってくるさわやかな甘い香りが俺の心を落ち着ける。
戦争、戦争、戦争――。血肉に身を浸し、敵兵を蹂躙した記憶は、俺にとっては忌々しいものへと成り果てていた。本来であれば勇ましく戦ったのだと胸を張れることなのかもしれない。俺の国は戦争に勝ったのだから、なおさら。
けれどもどうしても、どうしてもそんな風に浮かれることができなかった。戦争が俺に残した傷跡は、深く、複雑だった。
「ジル」
あのとき、先生が俺を呼ばなければ、俺は手にしていたグラスを握りつぶしていたかもしれない。実際にグラスにはヒビが入って、中の果実酒がちろちろと漏れ出し、俺の手を濡らしていた。先生に名前を呼ばれて、初めてそのことに気づいた。
「怪我してしまうよ」
「あ、ああ……。申し訳ない」
そばにあったテーブルに、ヒビの入ったグラスを置いて男爵に謝罪する。周囲の空気がどうだったかなんて、おぼろげで覚えていないが、異様だったに違いない。ああ、醜態を晒した。思い出すに、嫌な気持ちになる。
先生はそんな雰囲気に飲まれることなく、手にしたハンカチーフで俺の手を拭く。そしてそのままぼうっとしている俺の手を取って、人の輪から離れて行った。先生はセヴリーヌと男爵になにか言っていたようだが、やはり思い出せない。ただ、先生の手の柔らかさだけが、印象に残っている。
先生は俺をバルコニーへと連れ出したあと、一度ホールに戻って水を持ってきた。無言で差し出されたそれを手に取り、飲み干す。先生はそれを満足そうに見届けると、空になったグラスを受け取ってまたホールへと戻り……帰ってきて、今に至る。
「すまない、先生」
和やかな談笑の声を背に、沈黙が続いた中で口火を切ったのは俺だった。
「なぜ謝る?」
先生は、心底不思議そうな目をして俺を見上げる。
「いや、手間をかけさせたから……」
「別に。手間だなんて思ったことはない」
「そう、か……」
……先生は、そういう人だった。とにかく指導中は厳しいのだが、それ以外は優しかった。心の底から俺たちを慈しんでいるのだと、そう確信できた。俺たちの世話を焼くことなんて、苦にも思っていない。そういうことが雰囲気として伝わってくるから、みな先生を慕っていた。
そして俺はその慕う気持ちを勝手に育てて、先生を恋愛の対象として見るようになった。一時期は荒れてそんなことを忘れていたが、先生と再会してからは、やはり、先生が好きなのだと自覚することばかりだ。……先生はそんなことは知らないだろう。知って欲しいという気持ちと、一生知らないでくれていいという気持ちがないまぜになって、答えは出ない。
俺は先生の素性を知らない。どこからやってきて、今までなにをしていたのか。そんな先生へ軽率に「一生そばにいてくれ」などとは言えない気がした。……もしかしたら、先生にだって愛する人がいるかもしれないのだし。
そこまで勝手に考えて、勝手に妄想して、俺はバルコニーの柵を強く握り込んだ。
「先生、は……いつまでここにいてくれるんだ?」
「そうだな……。もうそろそろ帰らないと、マスターがうるさいかもしれない」
先生の言葉に俺はショックを受けた。いや、いつかは先生も俺のもとからいずこかへ帰ってしまうということはわかっていた。わかっていたが、いざ先生の口から直接言われると、思いのほか衝撃的だったのだ。
それはいつ? 先生はどこに帰るのか? 帰ってもまたきてくれるのか? いや、俺が直接赴いてもいいのか?
聞きたいことはたくさんあったが、俺の口を突いて出たのはそのどれでもなかった。
「その……『マスター』というのは男なのか?」
「そうだが……」
「……そうか」
この場で質問をするにしては若干唐突な印象があったのかもしれない。先生はまた不思議そうな目で俺を見上げている。……俺の激しい心の内なんてまるで知らないような顔をして。
それが急に悲しくなって、じわじわと目頭が熱くなり始めた。最悪だ。これでは子供の癇癪と同じじゃないか。そうは思うものの、俺の目は今確実に充血しているだろう。夜影の中だから、先生に見つかるかどうかは、わからなかった。わからなかったが、涙を流せば、明白にわかってしまうだろう。
「先生、行かないで」――そんな弱々しい言葉を口にしそうになって、あわてて唇を引き結んだ。幼子のような言葉が出かかったことに、自分でもおどろく。
せめて、せめて先生がいずこかへと帰って行くのなら、その心を安心させたい。そうは思うのに、俺はまったく先生という存在なしでは、立っていられないほどに弱り切っていた。
それが、現実だった。
「先生……」
先生を呼ぶ声は、震えていた。心の内に芽生えた――さみしさに? 寒々しさに? ……とにかく俺の声はとても、とても情けなかった。
先生はそんな俺を見上げて、ぱちくりといっそ無邪気なまでに瞬きをする。紫水晶のような瞳は、夜影の中では黒く見えた。
ぽろり。限界を迎えた熱い雫が、俺の頬を伝う。はらはらと涙は流れて行って、俺の頬を濡らして行く。
先生を見ていられなくて、先生から視線を外した。だから、先生がぐっと身を乗り出したのに気づくのが遅れた。
「先生」
唇に柔らかいものが当たって、俺は呆然と先生を見た。子供同士がするような、あるいは初々しい恋人たちがするかのような、一瞬触れるだけのキスだった。
意味がわからなくて、俺は唖然として先生を見下ろす。
「先生……? 今のは……?」
「? 前にもしただろう」
「前?」
「久しぶりに会ったときに」
俺はなにかと消えがちな記憶を引っ張り出して、次いで自分を引っぱたきたくなった。
そう、俺はあの日先生にキスをした。先生を散々に罵って、脅しつけるように押し倒して、そして涙を流した先生に――何度もキスをした。そのキスは、先生の涙の味がした。
その――恥ずかしさ忌々しさに頬へと一度に熱が集まる。俺は先生になんてことをしたんだろう! そう思うとバルコニーの柵から身を乗り出して飛び降りたいくらいの気持ちに駆られる。
しかし羞恥に固まった俺をよそに、先生は淡々と言葉を続ける。
「だから、キスをすればいいのかと思った。……違うのか?」
今度は一転して、失敗したばかりの子供のような顔が覗く。俺が押し黙ったままなので、先生はもう一度「違うのか?」と問うた。
「それは……俺を、慰めようとして?」
動かない頭を必死に回転させて、どうにかこうにかその答えを引き出す。
先生は、泣いている自身にキスをした俺の行為を、慰めと解釈した。だから、泣いた俺にキスをした。……突飛過ぎるが、しかし先生ならやりかねない、という思いもあった。
「そうだ」……果たしてその考えは当たっていた。先生は俺の言葉に己の所業は間違っていなかったのだとでも思ったのか、またいつもの表情に戻った。
……いや、違う、違うぞ先生。それは誤解だ……。
心の中でそうつぶやくも、意気地なしの俺はどう説明すべきか悩みだす。先生はそんな俺の心の葛藤を知ってか知らずか、また俺を見上げたまま口を開いた。そして、夜風に溶けそうな、つぶやきのような言葉を口にする。
「私は……今のお前を慰める、正しい言葉を持たない」
「……正しい言葉?」
「戦争へ行かせたのは私のようなものだから」
先生のその言葉を聞いた瞬間、かぶせるようにして俺は叫んでいた。
「それは違う!」
「ジル……」
先生がびっくりしたような顔をして、俺を見た。
「違う……それは違う。先生……。先生が俺たちに戦い方を教えてくれなければ、俺たちはただ無駄に命を散らしていた。戦争だって……バケモノの力がなければ勝てたかわからない。バケモノのお陰で、戦争が短く終わったかもしれないし、そのぶん死ななかった人間だって、いるかもしれない……。先生のしたことは、だれかに非難されるようなことじゃない……」
……俺が仲間たちを喪ったことを後悔しているように、先生もそれを悔いている。そんなことはわかっていた。わかりきっていた。先生だから、わかっていた。
けれども先生はそんなことをおくびにも出さなかった。あの日……俺が先生に酷い仕打ちをした日以外には。
先生もずっと傷を抱えているんだ。俺と同じように。ただ、それを表に出さないだけで……。もしかしたら、出せないだけで。
ああ、俺は先生を慰めるべきだったのだ。俺が慰められたのと同じぶん、そうするべきだったのだ。
「みんないなくなった。けど、だれも先生のことを恨んじゃいない。そういう……やつらじゃない。だから、そんなことは言わないでくれ」
仲間たちを思い出して、俺はまた涙を流していた。先生の瞳はおどろきから慈しみへと変わり、俺を見ていた。
「泣かせてしまったな……すまない」
「……謝らないでくれ」
「そうだな。……私を慰めてくれたんだな。ありがとう、ジル」
そう言って先生はうつむいて泣く俺の唇に、そっと自身の唇を重ねた。そのキスはあの日と同じ、涙の味がした。
戦争、戦争、戦争――。血肉に身を浸し、敵兵を蹂躙した記憶は、俺にとっては忌々しいものへと成り果てていた。本来であれば勇ましく戦ったのだと胸を張れることなのかもしれない。俺の国は戦争に勝ったのだから、なおさら。
けれどもどうしても、どうしてもそんな風に浮かれることができなかった。戦争が俺に残した傷跡は、深く、複雑だった。
「ジル」
あのとき、先生が俺を呼ばなければ、俺は手にしていたグラスを握りつぶしていたかもしれない。実際にグラスにはヒビが入って、中の果実酒がちろちろと漏れ出し、俺の手を濡らしていた。先生に名前を呼ばれて、初めてそのことに気づいた。
「怪我してしまうよ」
「あ、ああ……。申し訳ない」
そばにあったテーブルに、ヒビの入ったグラスを置いて男爵に謝罪する。周囲の空気がどうだったかなんて、おぼろげで覚えていないが、異様だったに違いない。ああ、醜態を晒した。思い出すに、嫌な気持ちになる。
先生はそんな雰囲気に飲まれることなく、手にしたハンカチーフで俺の手を拭く。そしてそのままぼうっとしている俺の手を取って、人の輪から離れて行った。先生はセヴリーヌと男爵になにか言っていたようだが、やはり思い出せない。ただ、先生の手の柔らかさだけが、印象に残っている。
先生は俺をバルコニーへと連れ出したあと、一度ホールに戻って水を持ってきた。無言で差し出されたそれを手に取り、飲み干す。先生はそれを満足そうに見届けると、空になったグラスを受け取ってまたホールへと戻り……帰ってきて、今に至る。
「すまない、先生」
和やかな談笑の声を背に、沈黙が続いた中で口火を切ったのは俺だった。
「なぜ謝る?」
先生は、心底不思議そうな目をして俺を見上げる。
「いや、手間をかけさせたから……」
「別に。手間だなんて思ったことはない」
「そう、か……」
……先生は、そういう人だった。とにかく指導中は厳しいのだが、それ以外は優しかった。心の底から俺たちを慈しんでいるのだと、そう確信できた。俺たちの世話を焼くことなんて、苦にも思っていない。そういうことが雰囲気として伝わってくるから、みな先生を慕っていた。
そして俺はその慕う気持ちを勝手に育てて、先生を恋愛の対象として見るようになった。一時期は荒れてそんなことを忘れていたが、先生と再会してからは、やはり、先生が好きなのだと自覚することばかりだ。……先生はそんなことは知らないだろう。知って欲しいという気持ちと、一生知らないでくれていいという気持ちがないまぜになって、答えは出ない。
俺は先生の素性を知らない。どこからやってきて、今までなにをしていたのか。そんな先生へ軽率に「一生そばにいてくれ」などとは言えない気がした。……もしかしたら、先生にだって愛する人がいるかもしれないのだし。
そこまで勝手に考えて、勝手に妄想して、俺はバルコニーの柵を強く握り込んだ。
「先生、は……いつまでここにいてくれるんだ?」
「そうだな……。もうそろそろ帰らないと、マスターがうるさいかもしれない」
先生の言葉に俺はショックを受けた。いや、いつかは先生も俺のもとからいずこかへ帰ってしまうということはわかっていた。わかっていたが、いざ先生の口から直接言われると、思いのほか衝撃的だったのだ。
それはいつ? 先生はどこに帰るのか? 帰ってもまたきてくれるのか? いや、俺が直接赴いてもいいのか?
聞きたいことはたくさんあったが、俺の口を突いて出たのはそのどれでもなかった。
「その……『マスター』というのは男なのか?」
「そうだが……」
「……そうか」
この場で質問をするにしては若干唐突な印象があったのかもしれない。先生はまた不思議そうな目で俺を見上げている。……俺の激しい心の内なんてまるで知らないような顔をして。
それが急に悲しくなって、じわじわと目頭が熱くなり始めた。最悪だ。これでは子供の癇癪と同じじゃないか。そうは思うものの、俺の目は今確実に充血しているだろう。夜影の中だから、先生に見つかるかどうかは、わからなかった。わからなかったが、涙を流せば、明白にわかってしまうだろう。
「先生、行かないで」――そんな弱々しい言葉を口にしそうになって、あわてて唇を引き結んだ。幼子のような言葉が出かかったことに、自分でもおどろく。
せめて、せめて先生がいずこかへと帰って行くのなら、その心を安心させたい。そうは思うのに、俺はまったく先生という存在なしでは、立っていられないほどに弱り切っていた。
それが、現実だった。
「先生……」
先生を呼ぶ声は、震えていた。心の内に芽生えた――さみしさに? 寒々しさに? ……とにかく俺の声はとても、とても情けなかった。
先生はそんな俺を見上げて、ぱちくりといっそ無邪気なまでに瞬きをする。紫水晶のような瞳は、夜影の中では黒く見えた。
ぽろり。限界を迎えた熱い雫が、俺の頬を伝う。はらはらと涙は流れて行って、俺の頬を濡らして行く。
先生を見ていられなくて、先生から視線を外した。だから、先生がぐっと身を乗り出したのに気づくのが遅れた。
「先生」
唇に柔らかいものが当たって、俺は呆然と先生を見た。子供同士がするような、あるいは初々しい恋人たちがするかのような、一瞬触れるだけのキスだった。
意味がわからなくて、俺は唖然として先生を見下ろす。
「先生……? 今のは……?」
「? 前にもしただろう」
「前?」
「久しぶりに会ったときに」
俺はなにかと消えがちな記憶を引っ張り出して、次いで自分を引っぱたきたくなった。
そう、俺はあの日先生にキスをした。先生を散々に罵って、脅しつけるように押し倒して、そして涙を流した先生に――何度もキスをした。そのキスは、先生の涙の味がした。
その――恥ずかしさ忌々しさに頬へと一度に熱が集まる。俺は先生になんてことをしたんだろう! そう思うとバルコニーの柵から身を乗り出して飛び降りたいくらいの気持ちに駆られる。
しかし羞恥に固まった俺をよそに、先生は淡々と言葉を続ける。
「だから、キスをすればいいのかと思った。……違うのか?」
今度は一転して、失敗したばかりの子供のような顔が覗く。俺が押し黙ったままなので、先生はもう一度「違うのか?」と問うた。
「それは……俺を、慰めようとして?」
動かない頭を必死に回転させて、どうにかこうにかその答えを引き出す。
先生は、泣いている自身にキスをした俺の行為を、慰めと解釈した。だから、泣いた俺にキスをした。……突飛過ぎるが、しかし先生ならやりかねない、という思いもあった。
「そうだ」……果たしてその考えは当たっていた。先生は俺の言葉に己の所業は間違っていなかったのだとでも思ったのか、またいつもの表情に戻った。
……いや、違う、違うぞ先生。それは誤解だ……。
心の中でそうつぶやくも、意気地なしの俺はどう説明すべきか悩みだす。先生はそんな俺の心の葛藤を知ってか知らずか、また俺を見上げたまま口を開いた。そして、夜風に溶けそうな、つぶやきのような言葉を口にする。
「私は……今のお前を慰める、正しい言葉を持たない」
「……正しい言葉?」
「戦争へ行かせたのは私のようなものだから」
先生のその言葉を聞いた瞬間、かぶせるようにして俺は叫んでいた。
「それは違う!」
「ジル……」
先生がびっくりしたような顔をして、俺を見た。
「違う……それは違う。先生……。先生が俺たちに戦い方を教えてくれなければ、俺たちはただ無駄に命を散らしていた。戦争だって……バケモノの力がなければ勝てたかわからない。バケモノのお陰で、戦争が短く終わったかもしれないし、そのぶん死ななかった人間だって、いるかもしれない……。先生のしたことは、だれかに非難されるようなことじゃない……」
……俺が仲間たちを喪ったことを後悔しているように、先生もそれを悔いている。そんなことはわかっていた。わかりきっていた。先生だから、わかっていた。
けれども先生はそんなことをおくびにも出さなかった。あの日……俺が先生に酷い仕打ちをした日以外には。
先生もずっと傷を抱えているんだ。俺と同じように。ただ、それを表に出さないだけで……。もしかしたら、出せないだけで。
ああ、俺は先生を慰めるべきだったのだ。俺が慰められたのと同じぶん、そうするべきだったのだ。
「みんないなくなった。けど、だれも先生のことを恨んじゃいない。そういう……やつらじゃない。だから、そんなことは言わないでくれ」
仲間たちを思い出して、俺はまた涙を流していた。先生の瞳はおどろきから慈しみへと変わり、俺を見ていた。
「泣かせてしまったな……すまない」
「……謝らないでくれ」
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