21 / 54
FALL DOWN(媚薬+拘束+玩具攻め)
⑤欲しいのは玩具じゃなくて……1
しおりを挟む
──終わった、と思った。
すべてを出し切り、気を失うほど絶頂して、もう何も考えられないほど、身体も心も溶けていた。
しかし。
「……榊原さん、起きてますか?」
黒崎の低い声が、耳元に落ちる。
頬に触れる指が、熱を帯びていた。
ゆっくりと、目を開ける。
視界は霞んでいた。呼吸もまだ整わない。そんな状態の自分を、黒崎はじっと見つめている。あいかわらず、笑っていた。優しい声と、意地の悪い微笑。
「……気持ちよかったですか?」
「きも、ち……よか、……た……」
情けない返事しかできなかった。
反抗の意思も、もう残っていない。
ただ、余韻に揺れたまま、甘さに沈んでいく。
それはとても、心地よかった。
────気持ちいい。
プライドを捨ててそう口にした時、何かから解放される感覚があった。
公安警察としての矜持を守るため、本音を隠して抗うことは────苦しかった。
もう、反抗せず、全てを受け入れたら。
ずっと楽になれるんじゃないか────?
「……じゃあ」
黒崎の手が、自分の顎を掴んだ。唇のすぐ前で、その言葉が囁かれる。
「次は、“僕のも”……ほしいですよね?」
「……ッ……」
心臓が跳ねた。
その意味が、すぐに理解できてしまった自分が、悔しかった。
黒崎の手が、自分の拘束を一つずつ外していく。
脚枷が解かれ、腕が自由になる。
でも、自由になったはずなのに──身体は動かない。
思考も、感覚も、すべてが黒崎に“預けられてしまって”いた。
立たされる。
膝が震えて、力が入らない。
黒崎は、そんな自分を支えるように抱き寄せ、今度は、自分のズボンのベルトを外し始めた。
目の前で、固く勃起したそれが、露わになる。
「僕、榊原さんをいじめながら、こんなに我慢してたんですよ」
冗談のように笑っていた。
けれど──その目は、獣のように熱かった。
「ね、榊原さん。僕のも、ほしいって……そう言って?」
「……っ、……や……」
「だって、自分だけ気持ち良くしてもらえて終わり、で許してもらえるわけないじゃないですか」
次は僕を気持ち良くしてくれますよね?と甘く囁かれ、もう、何も言い返せなかった。
羞恥で顔が焼ける。
けれど、身体は反応している。
欲しい。
欲しくて堪らない。
黒崎のそれが。
「……く、ろさきくん……の、……ほしい……! くださ、い……」
絞り出すような声でそう言った瞬間、
黒崎の瞳が、どこか満足げに細まった。
「よく言えました。じゃあ、舐めてください。全部──ね」
そうして榊原は、黒崎の前に膝をつく。
自らの意思で、ではなかった。
命じられたから、だ。
命じられたことを、こなすように。
けれどそこに、確かに“快感”が混じっていた。
彼のものに、唇を這わせる。熱く、硬く、脈打つそれを、喉の奥へと迎え入れる。
生温かい体温と、ほんのわずかな男の匂い。息を吐くたび、舌が触れるたび、黒崎の反応が伝わってくるのが、妙にうれしいと思ってしまった。
────あぁ、もう、駄目だ。
じゅぽじゅぽ、と、それに唇を這わせ、舌先でゆっくりと先端をなぞる。
吐息混じりの声が、黒崎の喉から漏れる。
その音だけで、また疼いてしまう自分がいた。
まるで、褒められたみたいに。肯定されたみたいに。
黒崎の手が、髪に添えられる。
無理に押しつけるでもなく、ただ、そこにあるだけ。
逃げられるのに、逃げない。
やめられるのに、やめられない。
舌を這わせ、口腔いっぱいに咥え込むと、喉の奥が痺れる。えずきそうになっても、涙が滲んでも、やめようとは思えなかった。
この人に、気持ちよくなってほしかった。
この人のために奉仕をしたかった。
「……ん、ぅ……、……ッ! む……はぅ……」
黒崎が、頭を撫でる。
「うん……上手ですね……さすが、公安のエース」
その言葉すら、今の自分にはもう、皮肉に聞こえなかった。
ああ──
今、僕は。
本当に、この男の“モノ”になったんだ。
再び喉奥まで咥え込んだ瞬間、黒崎の手が、そっと頭を押さえるように添えられた。
「……そのまま、ね」
柔らかく囁かれた声に、思わずまつ毛が震える。押さえつけられているわけじゃないのに、やっぱり逃げられなかった。
黒崎の熱が、脈打つたびに舌に伝わってくる。口腔の中が満たされていくような感覚に、息が詰まりそうだった。
「……いくよ」
その一言の直後、ぐっと押し込まれた。
頭の中が真っ白になる。
舌の奥で、脈動が弾けるように弾み、粘つく熱が喉を叩いた。
「っ、……ん、ぐ……!」
何も考えることなく、榊原は出されたそれを飲み込んだ。こく、こく……と喉が動くたび、自分の意志とは裏腹に黒崎のものを受け入れていることを痛感した。
「……偉いですね。ちゃんと、飲めました」
髪を優しく撫でる手が、まるで褒美のようだった。
それがまた、悔しいほど心地よかった。
まるで、自分が“よくできたペット”にでもなったかのように感じてしまって、奥歯を噛み締めた。
────ああ、もう、ほんとうに駄目だ。
何度も、そう思っているのに。
黒崎の手に触れられるたび、言葉をかけられるたび、身体の奥が反応してしまう。
きっと、また“あの声”が聞きたくて、媚びてしまうんだ。
────ご褒美を求めるみたいに。
黒崎の体温が、指先を通して髪に伝わってくる。
ゆるやかに撫でられているだけなのに、身体の奥がぞくりと震えた。
喉を通っていった熱の余韻は、まだ残っていた。
恥ずかしさとか、惨めさとか……いろんな感情がぐしゃぐしゃに混ざって、何が正しいのかもうわからない。
「……榊原さん」
名前を呼ばれた。
それだけなのに、心臓が跳ねた。
黒崎の声は、いつもみたいに落ち着いていて、優しさすら感じるのに──どこか残酷だった。自分がもう、この人の掌から抜け出せないことを、わかってるみたいな声だった。
顎に添えられた手が、そっと顔を上に向けさせる。見下ろす黒崎の瞳が、まっすぐに、こちらを射抜いていた。
「次は……ナカに、欲しいんですよね?」
耳元で囁かれるように言われて、視界がぐらりと揺れる。
────違う、なんて言えなかった。
もう欲しくない、と強がる気はなかった。さっき何度も寸止めされて、ようやく絶頂に届いたはずなのに、身体の奥は、まだ何かが足りないと騒いでる。
「……ベッドに、仰向けになってくれますか」
言われるままに身体を動かす。背中がシーツに沈みこみ、足が自然と開いていく。
羞恥がないわけじゃない。
でも、今はもう、その感情すら鈍くなっていた。
それよりも、黒崎に触れてほしい──その想いのほうが、ずっと強くなっていた。
すべてを出し切り、気を失うほど絶頂して、もう何も考えられないほど、身体も心も溶けていた。
しかし。
「……榊原さん、起きてますか?」
黒崎の低い声が、耳元に落ちる。
頬に触れる指が、熱を帯びていた。
ゆっくりと、目を開ける。
視界は霞んでいた。呼吸もまだ整わない。そんな状態の自分を、黒崎はじっと見つめている。あいかわらず、笑っていた。優しい声と、意地の悪い微笑。
「……気持ちよかったですか?」
「きも、ち……よか、……た……」
情けない返事しかできなかった。
反抗の意思も、もう残っていない。
ただ、余韻に揺れたまま、甘さに沈んでいく。
それはとても、心地よかった。
────気持ちいい。
プライドを捨ててそう口にした時、何かから解放される感覚があった。
公安警察としての矜持を守るため、本音を隠して抗うことは────苦しかった。
もう、反抗せず、全てを受け入れたら。
ずっと楽になれるんじゃないか────?
「……じゃあ」
黒崎の手が、自分の顎を掴んだ。唇のすぐ前で、その言葉が囁かれる。
「次は、“僕のも”……ほしいですよね?」
「……ッ……」
心臓が跳ねた。
その意味が、すぐに理解できてしまった自分が、悔しかった。
黒崎の手が、自分の拘束を一つずつ外していく。
脚枷が解かれ、腕が自由になる。
でも、自由になったはずなのに──身体は動かない。
思考も、感覚も、すべてが黒崎に“預けられてしまって”いた。
立たされる。
膝が震えて、力が入らない。
黒崎は、そんな自分を支えるように抱き寄せ、今度は、自分のズボンのベルトを外し始めた。
目の前で、固く勃起したそれが、露わになる。
「僕、榊原さんをいじめながら、こんなに我慢してたんですよ」
冗談のように笑っていた。
けれど──その目は、獣のように熱かった。
「ね、榊原さん。僕のも、ほしいって……そう言って?」
「……っ、……や……」
「だって、自分だけ気持ち良くしてもらえて終わり、で許してもらえるわけないじゃないですか」
次は僕を気持ち良くしてくれますよね?と甘く囁かれ、もう、何も言い返せなかった。
羞恥で顔が焼ける。
けれど、身体は反応している。
欲しい。
欲しくて堪らない。
黒崎のそれが。
「……く、ろさきくん……の、……ほしい……! くださ、い……」
絞り出すような声でそう言った瞬間、
黒崎の瞳が、どこか満足げに細まった。
「よく言えました。じゃあ、舐めてください。全部──ね」
そうして榊原は、黒崎の前に膝をつく。
自らの意思で、ではなかった。
命じられたから、だ。
命じられたことを、こなすように。
けれどそこに、確かに“快感”が混じっていた。
彼のものに、唇を這わせる。熱く、硬く、脈打つそれを、喉の奥へと迎え入れる。
生温かい体温と、ほんのわずかな男の匂い。息を吐くたび、舌が触れるたび、黒崎の反応が伝わってくるのが、妙にうれしいと思ってしまった。
────あぁ、もう、駄目だ。
じゅぽじゅぽ、と、それに唇を這わせ、舌先でゆっくりと先端をなぞる。
吐息混じりの声が、黒崎の喉から漏れる。
その音だけで、また疼いてしまう自分がいた。
まるで、褒められたみたいに。肯定されたみたいに。
黒崎の手が、髪に添えられる。
無理に押しつけるでもなく、ただ、そこにあるだけ。
逃げられるのに、逃げない。
やめられるのに、やめられない。
舌を這わせ、口腔いっぱいに咥え込むと、喉の奥が痺れる。えずきそうになっても、涙が滲んでも、やめようとは思えなかった。
この人に、気持ちよくなってほしかった。
この人のために奉仕をしたかった。
「……ん、ぅ……、……ッ! む……はぅ……」
黒崎が、頭を撫でる。
「うん……上手ですね……さすが、公安のエース」
その言葉すら、今の自分にはもう、皮肉に聞こえなかった。
ああ──
今、僕は。
本当に、この男の“モノ”になったんだ。
再び喉奥まで咥え込んだ瞬間、黒崎の手が、そっと頭を押さえるように添えられた。
「……そのまま、ね」
柔らかく囁かれた声に、思わずまつ毛が震える。押さえつけられているわけじゃないのに、やっぱり逃げられなかった。
黒崎の熱が、脈打つたびに舌に伝わってくる。口腔の中が満たされていくような感覚に、息が詰まりそうだった。
「……いくよ」
その一言の直後、ぐっと押し込まれた。
頭の中が真っ白になる。
舌の奥で、脈動が弾けるように弾み、粘つく熱が喉を叩いた。
「っ、……ん、ぐ……!」
何も考えることなく、榊原は出されたそれを飲み込んだ。こく、こく……と喉が動くたび、自分の意志とは裏腹に黒崎のものを受け入れていることを痛感した。
「……偉いですね。ちゃんと、飲めました」
髪を優しく撫でる手が、まるで褒美のようだった。
それがまた、悔しいほど心地よかった。
まるで、自分が“よくできたペット”にでもなったかのように感じてしまって、奥歯を噛み締めた。
────ああ、もう、ほんとうに駄目だ。
何度も、そう思っているのに。
黒崎の手に触れられるたび、言葉をかけられるたび、身体の奥が反応してしまう。
きっと、また“あの声”が聞きたくて、媚びてしまうんだ。
────ご褒美を求めるみたいに。
黒崎の体温が、指先を通して髪に伝わってくる。
ゆるやかに撫でられているだけなのに、身体の奥がぞくりと震えた。
喉を通っていった熱の余韻は、まだ残っていた。
恥ずかしさとか、惨めさとか……いろんな感情がぐしゃぐしゃに混ざって、何が正しいのかもうわからない。
「……榊原さん」
名前を呼ばれた。
それだけなのに、心臓が跳ねた。
黒崎の声は、いつもみたいに落ち着いていて、優しさすら感じるのに──どこか残酷だった。自分がもう、この人の掌から抜け出せないことを、わかってるみたいな声だった。
顎に添えられた手が、そっと顔を上に向けさせる。見下ろす黒崎の瞳が、まっすぐに、こちらを射抜いていた。
「次は……ナカに、欲しいんですよね?」
耳元で囁かれるように言われて、視界がぐらりと揺れる。
────違う、なんて言えなかった。
もう欲しくない、と強がる気はなかった。さっき何度も寸止めされて、ようやく絶頂に届いたはずなのに、身体の奥は、まだ何かが足りないと騒いでる。
「……ベッドに、仰向けになってくれますか」
言われるままに身体を動かす。背中がシーツに沈みこみ、足が自然と開いていく。
羞恥がないわけじゃない。
でも、今はもう、その感情すら鈍くなっていた。
それよりも、黒崎に触れてほしい──その想いのほうが、ずっと強くなっていた。
61
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
2025/09/12 1000 Thank_You!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる