フシギ

teckak

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恐怖

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俺はお化けは信じない。化け物なんて笑い飛ばしてやる。でも俺にも怖いものがある。
スプーンとフォークだ。
昔、学校でいじめにあって、よく給食で出るスプーンフォークで刺されたことがある。
きっとそれがトラウマなんだ。
でもその時いじめられたから、今こんなにムキムキに鍛え上げてるんだけどな。
ある時、腹が減ったからコンビニでパスタとスープを買ったんだ。店員がムカつくヤツでさ。そんな見た目でパスタとスープかよって態度なんだ。ムカついてついつい
「スプーンとフォークじゃなくて、箸を付けてくれ。」
って言うのを忘れてた。
そして車で食べようとするとアイツらのお出ましだ。
俺の大事な食料のそばに、様子を伺うようにアイツらが居た。
アイツらは袋の中から解き放たれるのを今か今かと待っているようだ。
今さらあのムカつく店員に箸をもらいに行くのは癪にさわる。かといって温めてしまったから、家まで帰るわけにもいかない。
俺は勇気を振り絞った。
まずはスープを助け出し、助手席に置いた。
そしてパスタだ。
ゆっくりと持ち上げながらコンビニ袋の中を確認する。
ん? スプーンがいない!?
ゆっくりと顔を上げると…居た!
パスタの入れ物の下に忍者のように張り付いている。
俺は恐怖でパスタを落としそうになった。
恐怖に耐えながらゆっくりとパスタを助手席に置く。
さぁ…最大の問題だ。
こいつらを使って食事しなければならない。
震える手を押さえながら自分を奮い立たせ、フォークへ手を伸ばした。
もうちょっと…もうちょっと…
その時、車のドアがノックされた。
ビクッとしてそっちを見ると…警官だ。
「大丈夫ですか?様子が変だと通報がありまして…。」
警官に聞かれながらコンビニの方を見ると、さっきのムカつく店員がこちらを見ていた。
「ええ、大丈夫ですよ。」
俺は答えたが警官は驚いた顔をして、俺の話は聞かず、なにやら無線で話している。
そんなに俺が変な風に見えたのか?確かにフォークにビビってるのは変かもしれないが…。
なんて考えてると警官がパトカーの方に歩いてった。
よくわからないが食事を続けることにした。
フォークとスプーンで巧みにパスタを巻く。
…ん?俺…スプーンとフォーク使ってる!こいつらが怖くない!
こうなると、なんでこんなやつらに恐怖してたのか分からなくなる。
とうとう俺は恐怖を克服したんだ!
そうすると今度は救急車が駐車場に入ってきた。
俺の車に救急隊員が近づいてくる。
ドアを開け、俺を持ち上げる。
その瞬間、俺は気づいたんだ。スプーンとフォークに殺されたことに。
「過度のストレスによる死亡確認。搬送する。」
俺の墓には時々、パスタとスプーンとフォークが供えられる。
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