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番外編:どこだこの部屋!?
5.好きでいさせてくれるとこ
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「後はー……そうだな。なんでもない日に物をくれるだろ」
飴とか夕飯のデザートとかと顎に手を当てて言うエディスに、レウはあっと小さく声を出した。
あれが嬉しくてさ~と思い返しながら頬を緩めているエディスに対し、レウは真相に気が付かれないかと若干焦ってくる。
その様子を傍から見ていたレイケネスがふむと頷いた。
「それ、レウくんにとってはなんでもない日じゃなかったりするんじゃないかい」
余計なことばかり言う口を開くな! とばかりにレイケネスに顔を向け、立てた一本指を唇に押し当てる。頼むから今は静かにしていてほしい。
「……へ、でも本当に何気ない日なんだぞ」
「本当にそうかい?」
初めて会ったのと同じ日だったり、なにかした後だったりしなかったかと訊ねられたエディスはえぇ……と言いながらも考え込む。だが、結局違うと思うと首を振る。
「おかしいな、そんなはずないと思うんだが」
深堀を続けようとするレイケネスの肩を駆け寄って掴む。
「教えてやるからエディス様に言うのは止めろ」と囁くと、レイケネスは無言で頷いた。
耳に手を当てて目を閉じるレイケネスにレウは盛大にため息を吐いてから「あの人が覚えてないような、小さな記念日なんだよ」と耳打ちした。
「ほう。内容は」
「だから小さいことなんだって」
「初めてキスをした日とか」
「それは初めて会った日と同じだから……」
こそこそと話す二人に、エディスが眉を寄せてベッドにぼすんと座る。最初からそこにいたネージュが、ベッドが跳ねた不快さからかエディスの片方だけ長い左髪を引っ張った。
「いたっ」と小さく聞こえた声にレウは素早く反応し、「おい」と叫ぶ。
走っていき、手を叩いて落として二人の間に割って入る。
「いつまでも根に持つなよ」
この人についてきたのはレイケネスの意思だと言うと、ネージュは背中を向けて寝転んだ。
こちらの話を聞く様子すらない魔人にレウはぐっと拳を握るが、エディスがいいからと抱き付いて止めてくる。
「俺が好きなものを覚えていてくれるとこ!」
初めて行ったデートで色々考えててくれてて嬉しかったと言うと、レイケネスがほおと言い、レウはあー……と目を逸らす。
「あれは……その、ほとんどエドワード様が考えたようなものなんですが。舞台もフロイードから教わりましたし」
「えっ? エドに相談できたのが偉いじゃん!?」
エディスには伝えてあったはずだが、あの時は初めてのことばかりでいっぱいいっぱいだったから忘れてしまったのだろう。
「でも昼飯の所はレウが選んでくれたんだろ」
「あそこはまあ、魔法展に近かったし最初から候補に上げてたけどな」
「レウは肉が好きだろ? でも俺は菜食家だし、店選びが大変だっただろ。内観もお洒落な所だったからさあ、俺の愛人ってセンスがいいなーって思ってたんだよな」
「アンタ、そんな風に思ってたのか……」
マズイ、顔の力が緩んでしまいそうになって手で押さえる。
エディスは素直に感謝を伝えてくれるので、次はなにをしてやろうかと嬉しくなるのだ。
「これで十個目だよな? えーっと、じゃあ……好きでいさせてくれるとこ」
「好きでいてくれるじゃなくてか」
珍しくネージュが随分自分勝手だなと反応を示してきた。それに「そう思うよな」とエディスが苦笑いになり、でもと瞼を伏せる。
「俺が勝手に騎士の契約をしても、レウは優しいから怒らず受け入れてくれた」
もしこの先と声のトーンを落とすエディスに、レウはなにを言うつもりなのかと眉間に皺を寄せる。
「レウに好きな人ができて、結婚するとしても」
「しないからな」
「仮定の話だって。結婚したとしても、俺が勝手に好きでい続けるのをお前は許してくれるだろ」
ふ、とレウが微笑むと、エディスはやっぱそうだよなと同意を求めようとしてくる。だが、一気に機嫌が悪くなったレウは、無言で細い腰を掴んで肩に担ぎ上げた。
「へ……レ、レウ?」
ネージュがいるのとは反対側のベッドと壁の隙間に入り込み、向かい合わせで腰掛ける。口を開こうとしないレウに、エディスが彼の肩に手を当てて見上げてきた。
名前を呼ぼうとしてくる口を強引に塞いでしまう。驚いて目を見開いているエディスの下唇を押さえて無理矢理開かせる。
「あっ……きゅ、急になん」
むぢゅうと深く唇を合わせて、舌を吸う。文句を言おうとするので下唇を食み、舌を潜り込ませて狭い咥内を荒らす。上顎を舐めると、ぞくぞくとした感覚に仰け反っていく背中を指で伝う。
「ん、ん"んん~~~~っ」
息が苦しくなってきたのか肩を押してくるが、エディスと自分とでは自分の方に軍配が上がる。
解放した時には息も絶え絶えといった様子だった。くた……とレウの胸元に寄りかかって息を整えるエディスの瞼や頬、首に口づけて腰や背を撫でてやる。
「アンタ以上に好きな人も、大切なものもできないからな」
ぴくんと小刻みに体を跳ねさせるエディスの耳元に口を寄せて吹き込むと、彼は艶めかしい息を口から漏らした。
「アンタだってそうだろ? な?」
丸い後頭部を撫で、小さく小刻みに首を動かす。その様子にようやく満足だと感じて、ふっと笑った。
飴とか夕飯のデザートとかと顎に手を当てて言うエディスに、レウはあっと小さく声を出した。
あれが嬉しくてさ~と思い返しながら頬を緩めているエディスに対し、レウは真相に気が付かれないかと若干焦ってくる。
その様子を傍から見ていたレイケネスがふむと頷いた。
「それ、レウくんにとってはなんでもない日じゃなかったりするんじゃないかい」
余計なことばかり言う口を開くな! とばかりにレイケネスに顔を向け、立てた一本指を唇に押し当てる。頼むから今は静かにしていてほしい。
「……へ、でも本当に何気ない日なんだぞ」
「本当にそうかい?」
初めて会ったのと同じ日だったり、なにかした後だったりしなかったかと訊ねられたエディスはえぇ……と言いながらも考え込む。だが、結局違うと思うと首を振る。
「おかしいな、そんなはずないと思うんだが」
深堀を続けようとするレイケネスの肩を駆け寄って掴む。
「教えてやるからエディス様に言うのは止めろ」と囁くと、レイケネスは無言で頷いた。
耳に手を当てて目を閉じるレイケネスにレウは盛大にため息を吐いてから「あの人が覚えてないような、小さな記念日なんだよ」と耳打ちした。
「ほう。内容は」
「だから小さいことなんだって」
「初めてキスをした日とか」
「それは初めて会った日と同じだから……」
こそこそと話す二人に、エディスが眉を寄せてベッドにぼすんと座る。最初からそこにいたネージュが、ベッドが跳ねた不快さからかエディスの片方だけ長い左髪を引っ張った。
「いたっ」と小さく聞こえた声にレウは素早く反応し、「おい」と叫ぶ。
走っていき、手を叩いて落として二人の間に割って入る。
「いつまでも根に持つなよ」
この人についてきたのはレイケネスの意思だと言うと、ネージュは背中を向けて寝転んだ。
こちらの話を聞く様子すらない魔人にレウはぐっと拳を握るが、エディスがいいからと抱き付いて止めてくる。
「俺が好きなものを覚えていてくれるとこ!」
初めて行ったデートで色々考えててくれてて嬉しかったと言うと、レイケネスがほおと言い、レウはあー……と目を逸らす。
「あれは……その、ほとんどエドワード様が考えたようなものなんですが。舞台もフロイードから教わりましたし」
「えっ? エドに相談できたのが偉いじゃん!?」
エディスには伝えてあったはずだが、あの時は初めてのことばかりでいっぱいいっぱいだったから忘れてしまったのだろう。
「でも昼飯の所はレウが選んでくれたんだろ」
「あそこはまあ、魔法展に近かったし最初から候補に上げてたけどな」
「レウは肉が好きだろ? でも俺は菜食家だし、店選びが大変だっただろ。内観もお洒落な所だったからさあ、俺の愛人ってセンスがいいなーって思ってたんだよな」
「アンタ、そんな風に思ってたのか……」
マズイ、顔の力が緩んでしまいそうになって手で押さえる。
エディスは素直に感謝を伝えてくれるので、次はなにをしてやろうかと嬉しくなるのだ。
「これで十個目だよな? えーっと、じゃあ……好きでいさせてくれるとこ」
「好きでいてくれるじゃなくてか」
珍しくネージュが随分自分勝手だなと反応を示してきた。それに「そう思うよな」とエディスが苦笑いになり、でもと瞼を伏せる。
「俺が勝手に騎士の契約をしても、レウは優しいから怒らず受け入れてくれた」
もしこの先と声のトーンを落とすエディスに、レウはなにを言うつもりなのかと眉間に皺を寄せる。
「レウに好きな人ができて、結婚するとしても」
「しないからな」
「仮定の話だって。結婚したとしても、俺が勝手に好きでい続けるのをお前は許してくれるだろ」
ふ、とレウが微笑むと、エディスはやっぱそうだよなと同意を求めようとしてくる。だが、一気に機嫌が悪くなったレウは、無言で細い腰を掴んで肩に担ぎ上げた。
「へ……レ、レウ?」
ネージュがいるのとは反対側のベッドと壁の隙間に入り込み、向かい合わせで腰掛ける。口を開こうとしないレウに、エディスが彼の肩に手を当てて見上げてきた。
名前を呼ぼうとしてくる口を強引に塞いでしまう。驚いて目を見開いているエディスの下唇を押さえて無理矢理開かせる。
「あっ……きゅ、急になん」
むぢゅうと深く唇を合わせて、舌を吸う。文句を言おうとするので下唇を食み、舌を潜り込ませて狭い咥内を荒らす。上顎を舐めると、ぞくぞくとした感覚に仰け反っていく背中を指で伝う。
「ん、ん"んん~~~~っ」
息が苦しくなってきたのか肩を押してくるが、エディスと自分とでは自分の方に軍配が上がる。
解放した時には息も絶え絶えといった様子だった。くた……とレウの胸元に寄りかかって息を整えるエディスの瞼や頬、首に口づけて腰や背を撫でてやる。
「アンタ以上に好きな人も、大切なものもできないからな」
ぴくんと小刻みに体を跳ねさせるエディスの耳元に口を寄せて吹き込むと、彼は艶めかしい息を口から漏らした。
「アンタだってそうだろ? な?」
丸い後頭部を撫で、小さく小刻みに首を動かす。その様子にようやく満足だと感じて、ふっと笑った。
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