新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり

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保護犬ちゃん・譲渡編

10話 連絡と過酷な保護の実情

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その日の夜。

我が家に吉報がもたらされる。

「今日は面談にはお越し頂き、ありがとうございました。(保護団体の)他の職員の方達とも話し合いをしました結果、保護犬の桔梗ちゃんですが、今回は貴方様の家族にお願いしようと思います。改めて説明をさせて頂きたいので、もう一度お越し頂けますか?」

「もちろんです! 是非お伺いさせてもらいます!」

連絡が入った。待ちに待った連絡。欲しかった連絡が来たのだ。心の中でガッツポーズ。

どうしよう、どうしよう……胸のドキドキ感が半端ない。

「やったー! 来たっーーー!」

思わず叫ぶ私。自然と顔が綻び、声まで弾む。

「……あの子がウチの子になるんだね? やっぱり御縁があったんだよ!」

凄い、凄い……と喜びを噛み締める。

大袈裟に聞こえるかもしれないけど、私には“あの子”に運命を感じたから、不安になりながらも「きっと大丈夫、大丈夫……」と言い聞かせたり、一喜一憂。そしてもたらされた今日の吉報。

これを運命と言わずして何と呼ぶ?



* * * * * * * *


その日のうちに連絡が入るとは思わなかった私。保護団体の方々全員での審査会議があると聞いていたから、連絡があっても翌日だと思っていた。これは予想外の展開。まさかの当日連絡なせいで、今夜はぐっすりどころか興奮して眠れないだろうな……とやっぱり興奮気味。

早かった連絡。喜びもひとしお。だが、喜んでばかりもいられない事情を聞く。

保護犬ちゃん達の「より良い譲渡先」が見つかれば、なるべく早く動きたい保護団体の方々がいる。其処には「のっぴきならない事情」が存在する為だ。そうした事情を知ってしまえば、どうしたって胸が痛むのは気のせいではない。

動物愛護が叫ばれる一方で、減らない動物虐待の実情。思う以上に凄惨で過酷。

毎日のように保護される保護犬ちゃんに保護猫ちゃん。善意の寄付やボランティア職員達だけでやりくりする彼等には、人手も資金も足りない程に忙しく、想像以上に過酷な現場。

可哀想な子達を一刻でも早く新しい家族へと譲渡し、次から次へとやって来る保護を必要とする可哀想な子をお世話しなければならない。忙しいボランティア保護団体の皆様。頭が下がる想いだ。

そう、可哀想な子はきーちゃんだけではない。

もっと劣悪非道の環境下に置かれていた子達が沢山いるのだ。中には、虐待目的なだけで飼われていた子達も少なからずいる。保護された時は、思わず目を背けたくなるほどの重傷を負う子も多い。既に、息絶える子も……。

涙が出る。止まらない。

辛い現実を聞けば、ただただ哀しい。

後日、改めて保護犬ちゃんを引き取る為の説明会に訪れれば、更に胸の痛む話を聞かされる。保護団体の方々が慎重に慎重を重ねる1番の理由が、実は其処にあるのかもしれない。

涙なしでは語れない実情があるのだ。


さておき。

人生の中で、大なり小なり嬉しい事は多々ある。けれど、その中でも叫ぶ程の喜びは、そうそうあるものじゃない。あくまでも私の主観だが。

“きーちゃんと出逢えたことは最良の喜び”。

これまでの人生において、どちらかといえば幸せな人生を過ごしてきた私。それも全ては、我が子をこよなく愛する父と母のおかげだ。だからこそ、不幸な保護犬ちゃんがいれば、全部は無理だとしても手を差し伸べてあげたいと思う私はエゴだろうか? でも、本気で幸せにしてあげたいと思うのだ。

綺麗事だけでは保護犬ちゃんは引き取れない。託された以上、責任は重大。

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