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保護犬ちゃん・トライアル編
16話 新しい我が家と初日のきーちゃん
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いよいよ、私達家族ときーちゃんとの初日が始まる。
保護団体のお姉さんからは、むやみやたらと触ることはおろか、じっと眺める、見つめることも禁止。きーちゃんが自分から擦りよって来るまでは「そっとしておいてあげて下さい」と言われている。
慣れていない人達との生活は、人間不信のきーちゃんには恐怖でしかない。今のきーちゃんが慣れているのは、保護団体のお姉さんだけ。どちらかと言えば、私達はきーちゃんの敵かも。大好きなお姉さんから引き離されたのだ。好きになる要素がない。
あらかじめ用意した犬用ケージの中へときーちゃんを入れようとすれば一目散。自分から逃げるように入って行く。
「……早っ!」
それっきり音沙汰のないきーちゃん。
犬用ケージの入れ口の扉は開けたままにし、きーちゃんがいつ出て来ても良いようにしてある。ただ、保護団体のお姉さんから言われている為に、犬用ゲージは大きな布で覆い隠す。全く中の様子は見えない。でも、出てくるまでは駄目。見ても駄目。お触りなんかはもってのほか……で、きーちゃんが出て来るまでひたすら待つ。だが、待てど暮らせど出て来ない。
既に半日が過ぎ夕方。まもなく日も暮れる。
「これってどうなの? 本当にきーちゃんから来てくれるのかなぁ⁇」
犬用ケージは一面を布で覆われている為、中が見えない。中の様子もわからない。動き回っている様子もない。
「きーちゃんは……ひたすらじっとしているのかなぁ?」
「うーん……でも、考えてもみて? きーちゃんにしてみれば、知らない人に見慣れない家。いきなり見ず知らずの人の家へと独り置いてかれたら、人間だって相当のストレスを感じると思うよ。言葉のわからないきーちゃんなら尚更だよね」
旦那様が言う。
「……なるほど。確かに自分に置き換えたら不安で仕方がないかも……見慣れない家に見知らぬ人達の中へと放り込まれたら、それは恐怖かもしれない。きーちゃんには自分がどうなるのかなんてわからないし、自分で自分の身を守っているのかもしれないね」
納得だ。さすがは年の功……と言っても5歳差だけどね。頼れる旦那様で良かった。
ただね、問題も勃発。きーちゃんが水も飲まなければ、日頃から食べていたドックフードにさえ見向きもしない。生命を維持する水を飲まないのはマズい。おまけに気配も感じない。
出て来るまでは覗くな……ちゃんと守っているが、これはあまりにもマズいのでは? そう思ってしまう。
「きーちゃんが干からびちゃう……!」
心から焦る。マズい、マズいぞ。
「スプーンで水を掬って、そのまま口元まで持っていくか? 飲まないにしても少しでも舐めてくれれば……ものは試しだ。とりあえずあげてみるか?」
旦那様の提案に賛成。
早速、実行に移そうと犬用ケージを覆う布を捲れば……居たよ!
わーい! きーちゃんだぁー……えっ?! まさか怒っている感じ?
仁王立ちのきーちゃんが此方を見ては「うー……」っと威嚇。
小さな身体を震わせながら、犬用ケージいっぱいまで後退り。近寄ってくれるどころか、遠ざかっていくきーちゃん。しかも、歯を剥き出しにしてまで威嚇。
「……大丈夫だよ、きーちゃん。怖くないよ」
そっと下から手を伸ばし、怖がらせないように視線は同じ高さに合わせる。だが、反応は思った通り。ビクッと体を強張らせるきーちゃん。唸っている。
(……うん? これは前途多難な感じ?)
まだ初日にもかかわらず、ちょいと感じたことがある。
「保護犬ちゃんは難しいね。人間を信じていないだろうし、やっぱり一筋縄ではいかないね……」
率直な想い。
さぁ、どうする? でも諦めないよ。
保護団体のお姉さんからは、むやみやたらと触ることはおろか、じっと眺める、見つめることも禁止。きーちゃんが自分から擦りよって来るまでは「そっとしておいてあげて下さい」と言われている。
慣れていない人達との生活は、人間不信のきーちゃんには恐怖でしかない。今のきーちゃんが慣れているのは、保護団体のお姉さんだけ。どちらかと言えば、私達はきーちゃんの敵かも。大好きなお姉さんから引き離されたのだ。好きになる要素がない。
あらかじめ用意した犬用ケージの中へときーちゃんを入れようとすれば一目散。自分から逃げるように入って行く。
「……早っ!」
それっきり音沙汰のないきーちゃん。
犬用ケージの入れ口の扉は開けたままにし、きーちゃんがいつ出て来ても良いようにしてある。ただ、保護団体のお姉さんから言われている為に、犬用ゲージは大きな布で覆い隠す。全く中の様子は見えない。でも、出てくるまでは駄目。見ても駄目。お触りなんかはもってのほか……で、きーちゃんが出て来るまでひたすら待つ。だが、待てど暮らせど出て来ない。
既に半日が過ぎ夕方。まもなく日も暮れる。
「これってどうなの? 本当にきーちゃんから来てくれるのかなぁ⁇」
犬用ケージは一面を布で覆われている為、中が見えない。中の様子もわからない。動き回っている様子もない。
「きーちゃんは……ひたすらじっとしているのかなぁ?」
「うーん……でも、考えてもみて? きーちゃんにしてみれば、知らない人に見慣れない家。いきなり見ず知らずの人の家へと独り置いてかれたら、人間だって相当のストレスを感じると思うよ。言葉のわからないきーちゃんなら尚更だよね」
旦那様が言う。
「……なるほど。確かに自分に置き換えたら不安で仕方がないかも……見慣れない家に見知らぬ人達の中へと放り込まれたら、それは恐怖かもしれない。きーちゃんには自分がどうなるのかなんてわからないし、自分で自分の身を守っているのかもしれないね」
納得だ。さすがは年の功……と言っても5歳差だけどね。頼れる旦那様で良かった。
ただね、問題も勃発。きーちゃんが水も飲まなければ、日頃から食べていたドックフードにさえ見向きもしない。生命を維持する水を飲まないのはマズい。おまけに気配も感じない。
出て来るまでは覗くな……ちゃんと守っているが、これはあまりにもマズいのでは? そう思ってしまう。
「きーちゃんが干からびちゃう……!」
心から焦る。マズい、マズいぞ。
「スプーンで水を掬って、そのまま口元まで持っていくか? 飲まないにしても少しでも舐めてくれれば……ものは試しだ。とりあえずあげてみるか?」
旦那様の提案に賛成。
早速、実行に移そうと犬用ケージを覆う布を捲れば……居たよ!
わーい! きーちゃんだぁー……えっ?! まさか怒っている感じ?
仁王立ちのきーちゃんが此方を見ては「うー……」っと威嚇。
小さな身体を震わせながら、犬用ケージいっぱいまで後退り。近寄ってくれるどころか、遠ざかっていくきーちゃん。しかも、歯を剥き出しにしてまで威嚇。
「……大丈夫だよ、きーちゃん。怖くないよ」
そっと下から手を伸ばし、怖がらせないように視線は同じ高さに合わせる。だが、反応は思った通り。ビクッと体を強張らせるきーちゃん。唸っている。
(……うん? これは前途多難な感じ?)
まだ初日にもかかわらず、ちょいと感じたことがある。
「保護犬ちゃんは難しいね。人間を信じていないだろうし、やっぱり一筋縄ではいかないね……」
率直な想い。
さぁ、どうする? でも諦めないよ。
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