新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり

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保護犬ちゃん・トライアル編

〈小話〉ワンコが犬好きな私とお姉さん

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保護団体のお姉さんとの面談時。実は、ちょっとした犬好きの話題で盛り上がったりもした。特にワンコちゃんが食べる物を「餌」とは言わない私達。

「……ですよね! わかります。餌とは絶対言いませんよね。“餌”ではなく“ご飯”と言いますよね!」

「もちろんですよ~」

私の言葉に保護団体のお姉さんも嬉しそうに賛同する。

「家族ですから当然の言い方ですよね。きーちゃんも保護された当初は全然食べてくれなかったんですが、今ではご飯を沢山食べてくれるからぽっちゃりな感じに……それも可愛いんですけどね」

あははっ……と苦笑する保護団体のお姉さん。

沢山食べてくれる……その言葉が「羨ましい」と切実に思うことになるとは、此の時には全く思わない。

同時に、人間不信の保護犬桔梗ちゃんから、確実に信頼を得ていた保護団体のお姉さんの根気と優しさに頭が下がる。

保護犬桔梗ちゃんと一緒に過ごした時間は短くても、しっかりと信頼関係を構築していたのだ。絆を築いていた。だから本当に凄い。それは保護団体のお姉さんから頂いた保護犬桔梗ちゃんの写真や動画からも分かる。

動画には、保護団体のお姉さんに甘える保護犬桔梗ちゃんの姿。写真に映るのは、2人で仲良く散歩する姿。保護犬桔梗ちゃんの安心し切った顔が全てを物語る。体さえ弾ませている保護犬桔梗ちゃん。

「きーちゃんはお姉さんを信頼しているんだね」

羨ましいかな。



* * * * * * * *


当時、保護団体のお姉さんが胸を張って太鼓判を押したのが、保護犬桔梗ちゃんが、如何にお利口さんで良く出来たチワワちゃんか……というかこと。我が子自慢のように教えてくれた。

「きーちゃんは本当にお利口さんなんです。物静かで吠えることもなく、まさにのワンコちゃんです。それにお顔も可愛い……!」

豪語する保護団体のお姉さん。

それが真逆だった事も後で分かる。

ただね、やんちゃなきーちゃんは本当に可愛い。人間不信だった頃を思えば、だろうがだろうが、どちらでも構わない。

きーちゃんは家族。家族は愛おしい。

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