新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり

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保護犬きーちゃん・帰省編

18話 警戒するきーちゃんと初めての帰省

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ゴールデンウィークやお盆休み、年末年始は子供とワンコちゃんをも連れて、必ず実家へと帰省する私。ちなみに、旦那様は自宅を居留守にはできないのでお留守番。何日かは通って来るかたち。

きーちゃんが我が家へと来た頃は、年末に近いせいで一緒に帰ることになる……かどうかは迷うところ。なにせ保護団体のお姉さんからは、「環境を変えるのは良くない」とのアドバイスを頂いている。

数日経っても警戒心ありありのきーちゃん。

当然、我が家にも私達にも全く慣れていないときた。布で覆われたままの犬用ゲージから出て来ることも無ければ、ご飯もあまり食べず、お水はかろうじて飲むぐらい。これが夏の時期で猛暑だったら、水分補給が僅かなのはマズい。まだ冬時期で幸いかな。

きーちゃんの徹底した警戒心に恐れ入る。

本音を言えば、きーちゃんに触りたい。撫でたい。抱っこすらしたい。ロングコートチワワならではのもふもふの毛を堪能したい。

「あんなに可愛いのに……触れない……」

少しでもきーちゃんに触れようとすれば威嚇される。その姿勢はぶれない。

「……きーちゃんを撫でた~い!」

高まる欲求をどうにか抑え、じっと見守るだけの日々。きーちゃんが自分から犬用ゲージから出て来るまではお触り厳禁。

きーちゃんと私達家族は、今だに膠着状態。

さて、どうしたものか?

「本当に慣れてくれるのかなぁ……」

そう思うのも仕方ないよね。

そもそも、どうやって信頼を得るのだ?



* * * * * * * *


いよいよ年の瀬。帰省の時期。

実家に連れて帰っても良いか迷う。保護団体のお姉さんのアドバイスを無下には出来ない。優柔不断で迷いに迷っている私に母からの電話。いつも……という時に電話をくれる母。子供への愛情は今でもピカイチなお人。

「今年も年末年始は実家に帰って来るでしょう? きーちゃんも一緒に連れておいでね。今から逢えるが楽しみよ♪」

「うーん……でもね、ママ。保護団体のお姉さんからは、きーちゃんが慣れるまでは環境を変えない方が良いと言われているの。犬用ゲージからもなかなか出て来ないきーちゃんだよ? 連れて帰っても大丈夫かなぁ……どうしよう?」

「何も迷うことはないよ。なかなか慣れないのなら、尚更にきーちゃんをウチに連れておいでね。我が家にも保護犬ちゃんが2匹いるし……うちの子達がきーちゃんに色々と教えてくれるはずだよ。人が人に物事を教えるように、わんちゃんもわんちゃんが教えるはずだから……きっと大丈夫。犬社会も楽しいよ」

こともなげに言う母。流石だよ。

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