新しい家族は保護犬きーちゃん

保護犬きーちゃん・帰省編

20話 信頼ときーちゃんの変化

我が家にトライアルに来てから、ずっと怯えっぱなしだったきーちゃん。

それがどうよ？

年末年始の実家でのお泊まりが済めば、我が家の長女となる娘っ子のおかげで、すっかり馴染んでしまったきーちゃん。と云うよりは、母犬ならぬボス犬を娘っ子1人に決めてしまったようだ。それ以外は格下と見做すのがワンコちゃんの性質らしい。ワンコちゃんは1番を決めたら、あとは子分でしかない。

一方。私の実家でのきーちゃんは母をボスと決め、姐御肌の保護犬ミカンちゃんを姐御と決めては付いて歩く。我が家と実家とでは、意外と懐く人を使い分けているきーちゃん。処世術を学んだようだ。素晴らしい。

さておき。

今では金魚の糞のように、常に娘っ子の後ろを付いて歩き、足に絡み付くほどに纏わりついている。優しい娘っ子の側から離れない。

全幅の信頼を娘っ子に寄せたきーちゃん。

この娘なら安心出来る……とでも云うかのように娘っ子にだけは心を許し、存分に甘えに甘え、今では寝るのも一緒。

そう、きーちゃんには娘っ子が全て。

最初こそ羨ましい……とは思ったけど、きーちゃんの幸せを1番に考えるのであれば、それでも良いとさえ思う。

きーちゃんの至福こそが最優先。これは譲れない想い。



＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　＊　


毎日毎日。娘っ子が「きーちゃん……！」と名前を呼ぶ。

全力で尻尾を振るきーちゃんは、弾んで駆け寄って来る。もし、きーちゃんが人間だったとしたら、喜びの全力スキップが見られるはずだ。それぐらいのハシャギっぷり。

娘っ子もきーちゃんの面倒を良くみるせいで、彼女のスマホの中には、きーちゃんの弾ける姿や動画がいっぱい収められている。私では到底撮ることの出来ない、自然体のきーちゃんの愛らしい姿。その写メを送ってもらっては保存している私。きーちゃんの可愛い写メや動画は、私には宝物なのだ。

犬用ゲージの中で怯えていた頃のきーちゃんを思えば、短期間で此の変わりよう。涙が出るほどに嬉しい。きーちゃんの弾む姿が見れるのは、我が家がきーちゃんの信頼を勝ち取った証拠だ。

さてさて、きーちゃんの喜ばしい変化だが、どうしてそうなったか？

勿論、娘っ子の根気の賜物。