新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり

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保護犬きーちゃん・日常編①

26話 激オコきーちゃんの抗議と譲歩

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そうそう、胃腸障害を患ったきーちゃん。色々な薬を試し、主食のドックフードもアレルギー用だったり、スキンケアだったりと色々と試したよ。担当獣医さんの指示で、動物病院からは色々な種類のドックフードのお試しサイズが提供されたの。

「試供品をお渡ししますので色々と試してみて下さい。その中できーちゃんが下痢を起こさず、食べた物を主食にしましょう」

担当の獣医さんに提案される。

そもそもだ。全てが低脂肪。美味しいはずがない。味に煩いきーちゃんのお口に合う物はなく、下痢も止まらない。

最終的には、胃腸障害を起こすきーちゃんを考慮し、消化器サポートのドックフードを選び、それに決める獣医さん。しかも大粒だと食べない。おかげで、動物病院でしか売っていない小粒サイズの消化器サポートのドックフード1kgを定期購入することに。しかも、お値段は1kg3000円弱。値段だけみれば、なかなかなドックフード。だが、不味い。

納得のいかないきーちゃんは不満顔。

当初は3kg入りの其のドックフードを購入したが、全てを食べ切る前に飽きてしまうきーちゃんがいる。そうなってしまえば、断固として食べない。ドックフードの開け口はチャック付きとはいえ、一度開けてしまえば、日に日に風味は落ちて行く。それを理解するきーちゃん。侮れない。

「きーちゃんは風味に煩いようなので……」

獣医さんにも言われ、食べ切りサイズの1kgのドックフードを購入することにしたにもかかわらず、味に煩いきーちゃんはすぐに飽きる。風味と鮮度にも煩いと来たもんだ。

困ったきーちゃんだね。

グルメのワンコちゃんといえば聞こえは良いけど、実際は食に煩いきーちゃんとでも言おう。なにしろ、牛肉も安いお肉は食べない。霜降りなら食べる。なんだかなぁ。おまけに娘っ子のおやつを欲しがるきーちゃんだが、そこいらのスーパーマーケットで売っているクッキーは食べない。だが、百貨店クオリティーなら一瞬の隙を付き、持ち逃げする。弾む足取り。

それはさておき。

美味しくもないドックフードを与えられた時のきーちゃん。怒ったね。怒り方が可愛いの……もとい、やっぱり半端ないの。

きーちゃんの抗議が始まる。どうするかって?

お皿に入るドックフードを大きなお鼻を使い、全て押し出してしまう。おかげで辺り一面ドックフードが散乱。明らかに激オコなきーちゃん。上目遣いで此方をジッと睨んだまま微動だにしない。一向に動かない。まん丸お目々には怒りが浮かび、かなりご立腹。

如何に怒っているか……を全身で訴えるきーちゃんには恐れ入る。

「よくもこんな不味いご飯を寄越したな! 怒っているんだぞ!」

そう言いたげ。まさにそうかも。

全身を使って反抗の意思を見せるきーちゃん。ずーっと睨んだまま微動だにしない。あまりにも無視されるとクッションに噛みつき、しまいには自分の尻尾や前足の爪を「ガガガガガっ!!」と噛み続ける姿が凄まじい。

当然、きーちゃんの爪は所々が割れ、きーちゃんの尻尾は咬み傷で出血。おかげで動物病院行き。

困りましたね……の獣医さんと私。

自傷行為に走るのはいただけない。

百歩譲ってやむを得ず、多少の事には目をつむる。なるべく無添加の物を選び、不味いだろうドックフードに混ぜ合わせ、一応の終着。ただ、抗生物質薬は欠かせない。それで下痢を抑えているのだから、客観的にみれば何をやっているんだか。

でもね、人間が良かれと思ってしている事が、必ずしもきーちゃん自身の為とは限らない。なにせ食欲旺盛で味にも煩いワンコちゃん。そのきーちゃんにとっては、抗生物質薬で下痢が抑えらえているのなら、どうしたって「食べたい!」に尽きるんだよ。







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