新しい家族は保護犬きーちゃん

ゆきむらさり

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保護犬きーちゃん・日常編①

28話 健気なきーちゃん

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食べることが大好きなきーちゃんだけど、食欲がなくなる時もあるんだよ、一応。大好きな娘っ子が留守にする時は、今だにダメなの。淋しがる。

新しく購入した犬用ソファーに置かれたクッションの中で、懸命に体を丸めて拗ねているの。しかも、娘っ子がくれたぬいぐるみに寄り添っている姿は切ない。けど、可愛いから困る。

きーちゃんは娘っ子が居ない淋しさから食べない。水さえ飲まない。それは変わらないね。一緒のベッドで寝るようになってからは特にね。娘っ子の帰りをひたすら待つきーちゃんがいる。

私の帰りは待たないけどね。むしろ、思いきり吠えられるよ。しかもね、きーちゃんはお寝坊の私を起こしてくれるんだけど、その起こし方がなんとも……私の頭に噛み付くの。甘噛みだけど、起きるまで噛み続けるから嫌でも起きざるを得ない。

まぁ、そんな所も可愛いんだけどね。

そうそう、話は逸れたけど。

娘っ子の帰りを、ずーっとね、待っている。

常に玄関を気にしながら待っているの。その間はぐっすり眠ることもしない。時折、まん丸お目々の下が涙に濡れていることもある。何の涙かはわからないけど、拗ねて涙を垂らすきーちゃんには胸を打たれるよ。

健気だよね。

ワンコちゃんは情愛深い。だから、可愛がってくれた人から受けた恩は忘れない。きーちゃんにしてみれば、初めて根気よくご飯を与えてくれたのが娘っ子だから、優しい彼女から受けた恩を忘れない。一生もの。

娘っ子ちゃんが居ないのに、自分1人だけが食べようとはしない。頑固と云えば頑固だけど、やっぱり大好きな娘っ子の側で一緒に食べたいんだと思う。

我が家の中で、きーちゃんからは格下扱いの私。1位の座は永遠に娘っ子のもの。懐いてくれているようで、実は娘っ子以外は素っ気ないきーちゃん。それでも可愛いんだから仕方がない。

きーちゃんは我が子。我が子は、どうしたって可愛いだよ。
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