田舎娘は後宮妃になりました。

ゆきむらさり

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後宮編②

〈閑話〉後宮の光と影と“後宮の三妃”

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 時の皇帝の為だけに生きることを求められ、伽では皇帝を悦ばせ、次代皇帝となる世継ぎを産むことを求められるのが後宮妃。

 そして、生きるも死ぬも皇帝の匙加減一つ。

 それでも偉大な皇帝の寵愛を受ければ、この世の栄華を極めることも、次代皇帝の母后となる可能性も秘めている。

 国の母として崇められる最高の未来も待ち受けている。

 だから、後宮妃の存在はなくならない。


 ◇


 夢を見るなら〈後宮〉は持ってこいの場所。

 特に宝玉のように身寄りもなく、貧しい暮らしを余儀なくされる者になら、日々の食事にもありつけ、不遇な明日を憂うこともない〈後宮〉は、うってつけの永久就職先。

 食うには困らない。雨風をもしのげる部屋も用意してもらえる。

 時の皇帝によっては、「女だから……」とは差別されずに教養を磨くことさえ許されるかもしれない。

 だが、現実を直視するなら、実際は良い面ばかりではないのが〈後宮〉の恐ろしいところ。

 時の皇帝からの寵愛を授かることがなければ、愛される喜びも知らずに一生を終えることもザラ。

 時の皇帝の御代が終わりを告げれば、後宮妃は意志とは関係なしに殉葬を余儀なくされ、「殉葬妃」として死を賜る。

 「名もなき者」として葬られる無情な世界でもある。


 ◇


 〈後宮〉という世界は「光と影」・「明と暗」が交錯する世界。

 その中で光と栄華を掴むためにもがき、寵愛を得る為なら何でも利用し、あまつさえ他者を貶めてまで栄華を手に入れようとする熾烈な世界。

 女ばかりが生活する独立した

 そう言ってしまえば聞こえはいいが、穏やかさとは無縁な競争渦巻く無情な世界でもある。

 ゆえに、序列を設けない今代の皇帝・王炫。

 元より、皇帝・王炫には心に決めた“一輪の野の花宝玉”があっただけに、余計に後宮妃に興味はなく、彼女たちに寵愛を与えることもしない。後宮妃同士の不必要な諍いも好まない。

 大国を統べる皇帝が、後宮妃の争いに煩わされることほど馬鹿馬鹿しいことはない。

 それにもかかわらず、後宮妃たちは水面下では争いを繰り返し、身分や後宮妃としての年数で序列を設けてしまう。

 それが“後宮の三妃”と呼ばれるお三方。

 特に身分の高い“後宮の三妃“の“一の妃”は、生家が代々の皇帝の重鎮を務める為、自然と周囲が媚びへつらうせいで「一の妃」と呼ばれるようになる。

 そして、今回不敬行為を犯したのが“後宮の三妃”の“三の妃”。彼女の生家も父親が高官。

 実は、“後宮の三妃”の一人。“二の妃”の義母の姉妹にあたる。
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