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黒を基調に金と赤の刺繍が入った正装に身を包み俺はルフレと会場に入場する。
ルフレが婚約者を決めるまでは当たり前だった光景。婚約する前に戻ったのだ。
イリスとの婚約破棄を知らない会場内の人々が好奇の目を向けてくる。数ヶ月前に婚約を発表した王太子が王太子妃予定のイリスではなく俺をエスコートして入ってきたんだ。何があったのかと興味津々だろう。
「イリスは今どうしてるのですか?」
「今日は来ないと思う。婚約解消の発表を聞くのはつらいと言っていたから…」
あら、残念。
せっかくなら目の前でしっかり分からせてやりたかったが仕方がない。
王と王妃に挨拶をし王族席に座る。
「みな、今日は集まってくれてありがとう。今日は大事な話がある」
開演の挨拶をするルフレは一つ息を吐くと婚約の話を続けた。
「俺は…イリス・フランボアーズとの婚約を解消しアラン・ミルフィーユと婚約する事を発表する」
その発表の言葉を聞き俺の心は喜びに満ちた。
勝った!俺はイリスに勝ったのだ!
俺の14年間は無駄ではなかった。
愛よりも強いのは仕事が出来る嫁だ!
俺も挨拶をしようと一歩前に出た時…
会場の扉が大きな音を立てて開いた。
「その婚約待ってください!!ルフレ!僕はやっぱり君が好きだ!結婚できなくてもいいなんて…やっぱり無理だった!ルフレと神の前で愛を誓いたい!一生一緒にいると誓いたい!!」
いきなり始まったイリスの大告白にみんなの注目がイリスとルフレに集まる。潤んた瞳をイリスに向けたルフレは震えた声で答えた。
「イリス…俺もお前と一緒にいたい!つらい思いをさせてすまない!これからも大変なことが多いと思う。でも俺は愛する人と…イリスと共に生きたい」
お互い走り出すと会場のど真ん中で熱い抱擁。
見つめ合い「愛してる」の言葉を伝え合う2人を見て会場内からはパラパラと拍手が起こる…。
しばらくお互いの愛を確かめあった2人は俺の方を向く。
「アラン。やはり愛のない結婚なんてオレにはできない。どんなに大変だったとしてもオレはイリスと生きていきたい」
「アラン様!申し訳ありません!私はルフレ様を愛してるんです!離れて暮らすなんてムリです!」
貴族たちの視線が俺に突き刺さる。
今の俺は愛する2人を引き裂く悪役なのだろう。
執務はどうするんだよ。と言いたいことはいっぱいあるけれど、もう何を言っても無駄なのだろう。
オレはもう知らない。
「好きにすればいいよ」
そう2人に答えると歩き出す。
オレは2人の愛で盛り上がる会場を後にした。
盛り上がる会場とは打って変わり人がいない廊下。
しばらく歩くとギルが立っていた。
「馬車を用意しています。歩けますか?」
「…歩けない」
ギルの肩に頭を乗せると体を預けた。
俺の頭をゆっくり撫でてくれたギルの優しさに涙が出る。
「愛がなんだよ。愛だけで王妃なんて務まらないだろ?」
「アラン様はまだ愛を知らないんですよ。愛があればどんな困難にも立ち向かっていけるんです」
なんだよそれ。オレはまだ子供だって言いたいのか?ギルは…愛する人がいるのか?
「ギルは愛を知ってるみたいな言い方だな」
「はい。私は愛を知ってますよ。愛する人のためならなんだってできます。無駄だと思ってもお願いされたら悪い噂を流すために奔走します」
俺の頭に頬を寄せてギルは抱きしめてくる。
大事なものに触れるように丁寧な手つきで俺の髪や耳に指を這わす。
「そして、愛する人が愛のない結婚をしないよう勝手に裏工作もしてしまいます」
ギルを見あげると俺を見つめる目にいつもとは違う色香をまとわせていた。
「アラン様。俺に愛されてみませんか?」
「愛さ…れる…。って…俺どうしたらいいのか分からない…」
今まで沢山学んできた中には“愛する事”“愛される事”の授業なんて無かった。どうしたらいいのかわからない。
「アラン様は今まで通りでいいんです。ただ俺からの与えられる愛を余さず受け止めてください」
「…ギルが…教えてくれるのか?」
「もちろんです。俺以外からは絶対に教わらないでください」
ギルは俺を抱き上げると馬車まで向かう。
俺はギルの首に腕を回すと逞しい肩に顔を埋める。
顔が熱い。何故なのかは分からないけどこれが愛というものならとても体に悪い気がする。
心臓の音は早くなり。顔も体も熱くなる。落ち着かない気持ちはどう処理したらいいのか分からず不安になる。
これが愛なのか??
「もう俺から逃げられないので覚悟してくださいね」
耳元で囁かれたギルの言葉の意味は、屋敷に戻った後に嫌と言うほど知ることになった。
「王妃は無理ですが大公妃でしたらなれますよ?俺の実家は大公家ですので結婚したら大公妃です」
ベッドでギルから濃厚な愛を注がれた後、言われた言葉に俺は絶句する。
「え?!ギルって大公家なの?」
「はい。嫡男なのでホントはこんなところで油を売ってたらダメなんですがアラン様と居るのが楽しくて侍従をしてました」
社交界に一度も出てこない大公家の嫡男ギルバード様
とんでもない不細工とか獣のような姿をしてるなど色んな噂が流れてきていたが、こんな近くにいた美丈夫が本人だったとは…
「アラン様の14年間の努力の結晶を大公国でしっかり発揮していただいていいですよ」
またベッドに倒された俺はギルからの供給過多な愛に溺れていく。
「愛も仕事も手に入ってよかったですね?」
ギルが笑っていた。
ルフレが婚約者を決めるまでは当たり前だった光景。婚約する前に戻ったのだ。
イリスとの婚約破棄を知らない会場内の人々が好奇の目を向けてくる。数ヶ月前に婚約を発表した王太子が王太子妃予定のイリスではなく俺をエスコートして入ってきたんだ。何があったのかと興味津々だろう。
「イリスは今どうしてるのですか?」
「今日は来ないと思う。婚約解消の発表を聞くのはつらいと言っていたから…」
あら、残念。
せっかくなら目の前でしっかり分からせてやりたかったが仕方がない。
王と王妃に挨拶をし王族席に座る。
「みな、今日は集まってくれてありがとう。今日は大事な話がある」
開演の挨拶をするルフレは一つ息を吐くと婚約の話を続けた。
「俺は…イリス・フランボアーズとの婚約を解消しアラン・ミルフィーユと婚約する事を発表する」
その発表の言葉を聞き俺の心は喜びに満ちた。
勝った!俺はイリスに勝ったのだ!
俺の14年間は無駄ではなかった。
愛よりも強いのは仕事が出来る嫁だ!
俺も挨拶をしようと一歩前に出た時…
会場の扉が大きな音を立てて開いた。
「その婚約待ってください!!ルフレ!僕はやっぱり君が好きだ!結婚できなくてもいいなんて…やっぱり無理だった!ルフレと神の前で愛を誓いたい!一生一緒にいると誓いたい!!」
いきなり始まったイリスの大告白にみんなの注目がイリスとルフレに集まる。潤んた瞳をイリスに向けたルフレは震えた声で答えた。
「イリス…俺もお前と一緒にいたい!つらい思いをさせてすまない!これからも大変なことが多いと思う。でも俺は愛する人と…イリスと共に生きたい」
お互い走り出すと会場のど真ん中で熱い抱擁。
見つめ合い「愛してる」の言葉を伝え合う2人を見て会場内からはパラパラと拍手が起こる…。
しばらくお互いの愛を確かめあった2人は俺の方を向く。
「アラン。やはり愛のない結婚なんてオレにはできない。どんなに大変だったとしてもオレはイリスと生きていきたい」
「アラン様!申し訳ありません!私はルフレ様を愛してるんです!離れて暮らすなんてムリです!」
貴族たちの視線が俺に突き刺さる。
今の俺は愛する2人を引き裂く悪役なのだろう。
執務はどうするんだよ。と言いたいことはいっぱいあるけれど、もう何を言っても無駄なのだろう。
オレはもう知らない。
「好きにすればいいよ」
そう2人に答えると歩き出す。
オレは2人の愛で盛り上がる会場を後にした。
盛り上がる会場とは打って変わり人がいない廊下。
しばらく歩くとギルが立っていた。
「馬車を用意しています。歩けますか?」
「…歩けない」
ギルの肩に頭を乗せると体を預けた。
俺の頭をゆっくり撫でてくれたギルの優しさに涙が出る。
「愛がなんだよ。愛だけで王妃なんて務まらないだろ?」
「アラン様はまだ愛を知らないんですよ。愛があればどんな困難にも立ち向かっていけるんです」
なんだよそれ。オレはまだ子供だって言いたいのか?ギルは…愛する人がいるのか?
「ギルは愛を知ってるみたいな言い方だな」
「はい。私は愛を知ってますよ。愛する人のためならなんだってできます。無駄だと思ってもお願いされたら悪い噂を流すために奔走します」
俺の頭に頬を寄せてギルは抱きしめてくる。
大事なものに触れるように丁寧な手つきで俺の髪や耳に指を這わす。
「そして、愛する人が愛のない結婚をしないよう勝手に裏工作もしてしまいます」
ギルを見あげると俺を見つめる目にいつもとは違う色香をまとわせていた。
「アラン様。俺に愛されてみませんか?」
「愛さ…れる…。って…俺どうしたらいいのか分からない…」
今まで沢山学んできた中には“愛する事”“愛される事”の授業なんて無かった。どうしたらいいのかわからない。
「アラン様は今まで通りでいいんです。ただ俺からの与えられる愛を余さず受け止めてください」
「…ギルが…教えてくれるのか?」
「もちろんです。俺以外からは絶対に教わらないでください」
ギルは俺を抱き上げると馬車まで向かう。
俺はギルの首に腕を回すと逞しい肩に顔を埋める。
顔が熱い。何故なのかは分からないけどこれが愛というものならとても体に悪い気がする。
心臓の音は早くなり。顔も体も熱くなる。落ち着かない気持ちはどう処理したらいいのか分からず不安になる。
これが愛なのか??
「もう俺から逃げられないので覚悟してくださいね」
耳元で囁かれたギルの言葉の意味は、屋敷に戻った後に嫌と言うほど知ることになった。
「王妃は無理ですが大公妃でしたらなれますよ?俺の実家は大公家ですので結婚したら大公妃です」
ベッドでギルから濃厚な愛を注がれた後、言われた言葉に俺は絶句する。
「え?!ギルって大公家なの?」
「はい。嫡男なのでホントはこんなところで油を売ってたらダメなんですがアラン様と居るのが楽しくて侍従をしてました」
社交界に一度も出てこない大公家の嫡男ギルバード様
とんでもない不細工とか獣のような姿をしてるなど色んな噂が流れてきていたが、こんな近くにいた美丈夫が本人だったとは…
「アラン様の14年間の努力の結晶を大公国でしっかり発揮していただいていいですよ」
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ギルが笑っていた。
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