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第一章 紡がれる日常
第39話
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帰る前におやつを食べたいとおねだりされたので、広場の隅っこをお借りしておやつタイムです。
「ん? 食べたのは邪神一家だけでその他は俺も含めて誰も食べてない?」
メニュー画面にへばりつく寸前、気付いたアー君が慌てて近くに転がっていた男性に声をかけた。
隅に寄ってはいるけどあちこちに転がっている人達は本日の功労者、邪神一家に休むことなく食事を運び続けた人達みたいです、配られた葡萄の女王を食べる余裕すらないみたい。
ここ帝国だからねぇ、刀国と違って屋台の数が少ない、その少ない屋台さえ邪神一家に食べつくされた後。
夕食どうするんだろう、明日以降の食糧あるのかな、ダンジョン入る余裕残ってる?
「イグー」
「おう、どうした」
満腹になって寝てしまった兄弟を夢の世界に移動させていたイグちゃんが、アー君に呼ばれてこちらに寄ってきた。
移動させていたというよりは、アイテムボックスに突っ込んでいるようにしか見えなかったけどね。
「人間が朝から食べてないみたいなんだ、手っ取り早く回復させたいからラミアの所に行ってひよこ豆もらってきてくれ」
「任せておけ」
「ママ、コンソメ大量に出してもらっていいか?」
他にも玉ねぎやトマトなどを出してアー君に渡したら、屋台の片付けをしているおっちゃんらの所へと持って行った。
どうやら彼らに手伝ってもらうようだ、僕も手伝おうとしたけれど、涼玉のお腹が盛大に鳴ったので申し訳ないけれどこちらを優先させてもらいます。
「何がいいかな?」
『手早くぽちー』
すでに考えてあったのか、メニュー画面を開いたシャムスが迷いなく肉まん画面を呼び出して中華まん各種をポチポチと連打し始めた。
シャムス一人の連打なら大した被害はないから大丈夫だろう。
「ふわふわ、つぶあんふわふわ」
「涼玉様こちらもお飲みください、ウーロン茶です」
「ん!」
歌って踊ってよほどお腹が空いていたのだろう涼玉が、シャムスの出した中華まんを両手に持って必死に食べている。
その横でマールスが次の中華まんを片手に待機し、飲み物を合間に飲ませたりと世話を焼いているのはいつもの光景かな。
「ピザまんウマウマ」
「まま、えちびりまん食べてみたい」
「ちょっと待ってね、うーん、シャムスにはちょっと辛いかな」
「そーなのー、じゃあ肉まんにしておくの」
最近は肉まんにも種類が増えたなぁ、この黒い中華まんはうわぁ激辛系か、帰ったら刀雲に食べてもらってみようかな。
「ほれひよこ豆スープだぞ、食え」
「うぉぉぅぉ」
僕らが中華まんを楽しんでいる間にひよこ豆のスープが出来上がったようで、イグちゃんが倒れた人間に食べさせて回っていた。
何気に人間に優しいし、面倒見がいいよねイグちゃんって。
対する人間はゾンビのようなうめき声を上げながらスプーンに手を伸ばしています。
「ぐぉぅ!」
「「シャーーー!!」」
魔物の雄たけびが聞こえたからなんだとそちらを見たら、鍋を腕に抱えた一つ目親分が自分の周りにいる魔物に指示を出している所だった。
命令を受け、皿とスプーン片手に散る子分たち、目指す先には力尽きた人間。
そっと頭を抱え上げ、優しく口元にスープを運ぶ異形の魔物、心が温まるような温まらないような微妙な光景だなぁ。
あの光景の原因はというと、神薙さんはスペシャルサービスを受けに熊さん茶屋へ、ヨムちゃんはお仕事のため神殿に帰還、その他のイグちゃん以外の邪神兄弟はご就寝。
セティは騎士様に連れられ「ちょっとお仕事」に行ってしまった。
「あ、そういえば穴」
ふと思い出して空を見たら、あの不吉な大穴はもうどこにもなかったです。
ごめん気づかなかった。えっちゃんありがとー。
「ん? 食べたのは邪神一家だけでその他は俺も含めて誰も食べてない?」
メニュー画面にへばりつく寸前、気付いたアー君が慌てて近くに転がっていた男性に声をかけた。
隅に寄ってはいるけどあちこちに転がっている人達は本日の功労者、邪神一家に休むことなく食事を運び続けた人達みたいです、配られた葡萄の女王を食べる余裕すらないみたい。
ここ帝国だからねぇ、刀国と違って屋台の数が少ない、その少ない屋台さえ邪神一家に食べつくされた後。
夕食どうするんだろう、明日以降の食糧あるのかな、ダンジョン入る余裕残ってる?
「イグー」
「おう、どうした」
満腹になって寝てしまった兄弟を夢の世界に移動させていたイグちゃんが、アー君に呼ばれてこちらに寄ってきた。
移動させていたというよりは、アイテムボックスに突っ込んでいるようにしか見えなかったけどね。
「人間が朝から食べてないみたいなんだ、手っ取り早く回復させたいからラミアの所に行ってひよこ豆もらってきてくれ」
「任せておけ」
「ママ、コンソメ大量に出してもらっていいか?」
他にも玉ねぎやトマトなどを出してアー君に渡したら、屋台の片付けをしているおっちゃんらの所へと持って行った。
どうやら彼らに手伝ってもらうようだ、僕も手伝おうとしたけれど、涼玉のお腹が盛大に鳴ったので申し訳ないけれどこちらを優先させてもらいます。
「何がいいかな?」
『手早くぽちー』
すでに考えてあったのか、メニュー画面を開いたシャムスが迷いなく肉まん画面を呼び出して中華まん各種をポチポチと連打し始めた。
シャムス一人の連打なら大した被害はないから大丈夫だろう。
「ふわふわ、つぶあんふわふわ」
「涼玉様こちらもお飲みください、ウーロン茶です」
「ん!」
歌って踊ってよほどお腹が空いていたのだろう涼玉が、シャムスの出した中華まんを両手に持って必死に食べている。
その横でマールスが次の中華まんを片手に待機し、飲み物を合間に飲ませたりと世話を焼いているのはいつもの光景かな。
「ピザまんウマウマ」
「まま、えちびりまん食べてみたい」
「ちょっと待ってね、うーん、シャムスにはちょっと辛いかな」
「そーなのー、じゃあ肉まんにしておくの」
最近は肉まんにも種類が増えたなぁ、この黒い中華まんはうわぁ激辛系か、帰ったら刀雲に食べてもらってみようかな。
「ほれひよこ豆スープだぞ、食え」
「うぉぉぅぉ」
僕らが中華まんを楽しんでいる間にひよこ豆のスープが出来上がったようで、イグちゃんが倒れた人間に食べさせて回っていた。
何気に人間に優しいし、面倒見がいいよねイグちゃんって。
対する人間はゾンビのようなうめき声を上げながらスプーンに手を伸ばしています。
「ぐぉぅ!」
「「シャーーー!!」」
魔物の雄たけびが聞こえたからなんだとそちらを見たら、鍋を腕に抱えた一つ目親分が自分の周りにいる魔物に指示を出している所だった。
命令を受け、皿とスプーン片手に散る子分たち、目指す先には力尽きた人間。
そっと頭を抱え上げ、優しく口元にスープを運ぶ異形の魔物、心が温まるような温まらないような微妙な光景だなぁ。
あの光景の原因はというと、神薙さんはスペシャルサービスを受けに熊さん茶屋へ、ヨムちゃんはお仕事のため神殿に帰還、その他のイグちゃん以外の邪神兄弟はご就寝。
セティは騎士様に連れられ「ちょっとお仕事」に行ってしまった。
「あ、そういえば穴」
ふと思い出して空を見たら、あの不吉な大穴はもうどこにもなかったです。
ごめん気づかなかった。えっちゃんありがとー。
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