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第一章 紡がれる日常
第84話
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長く子供が出来なかった理由。
旦那さんが一年のほとんどをお城に出仕していて領地にいないから。
なんでそこまでお城に縛られているかと疑問に思ったら、五年ほど前に貴族社会を襲った大粛清、あれで発言権が強かったり高い地位にいたりした人間がほぼ絶滅。
一族から代わりを出せれば良かったけれど、一族も一緒に粛清されたんだよね。
その頃に神様怖いと半泣きになりながらも皇帝と皇帝の腹心を支え、執務を滞らせないように奔走したのがお兄さんの旦那さんを始めとした重臣のおじ様たち。
後任がいないから引退も引き継ぎも出来ず、お休みは取れるけど領地に戻れるほどの長期間は取れない。
本来なら五年も子供が出来なければ一族から離縁の話がでてもおかしくはない、けれどそれ系の話が出なかったのは、そもそもの原因が神様だったから。
うっかり責めて神様への批判になったら最後、邪神の餌になる。そう信じられていたからこの辺に関しては触れてはいけない話題扱いだったらしいです。
人材の補填したのも神様なら、人材育成を手掛けたのも神様という……女神様を娶ったばかりに神様の遊び場にされているようにしか見えない。
当の女神様も多少は公務手伝ったりしたみたいだけど、内政チートに興味がなかったからビックリするような変革は起こらなかったんだよね。
「最近は後任が育ってきて余裕が出来てきたから、ちょっと長めの休暇を取って蜜月を過ごしてのおめでた」
「あ、旦那さんの子供だったんだ。僕はてっきり親分かアグニの子だと思ってた」
明日はアー君が学園の行事で初級ダンジョンに潜る日。
製作者側なので探索には消極的だったのを、友達が誘って一緒に参加することを決めたらしい、それで今はお喋りしながら明日持っていく重箱におかずを詰めているところです。
ミートボール、唐揚げ、肉巻き、エビフライ、ウィンナー。
うーん、アー君の作る重箱、茶色いなぁ。
「検診して感じた魔力は旦那さんのものだったよ」
僕の視線を察してそっと重箱を遠ざけるアー君、仕方ない野菜系は別の重箱に仕込んでおこう、ミニハンバーグという手もあるかな、その他におにぎりやサンドイッチに仕込むとか色々方法はある。
そう思いながら自分が詰めた重箱を見ると、汁とかバランス、彩りも何も考えず、ぎゅうぎゅうとおかずを詰め込んであった。
これは……刀雲と騎士様用のお弁当ということで。
「親分の血もアグニの血も混ざってなかったから大丈夫」
人間が魔物や神の子供を孕んだら出産だけでなく、妊娠中も命の危険が通常の倍以上になるため、アー君がお兄さんのお見舞いの際にその辺の確認もしてくれたようです。
生まれる子がただの人間なら一安心、教会に行ってヨムちゃん印のお守り買えば安産が約束されている。
ヨムちゃんの神力も随分成長したなぁ。
前はわざわざ出向かないと力を発揮出来なかったのに、今じゃお守りに力を籠めれば効力発揮するんだもの。
これでお兄さんは大丈夫。
「でもダンジョン探索を先導する人がいないからって動いちゃう?」
「森の偵察はアグニが、ダンジョンは親分が偵察するってことで納得させた」
すでに動こうとした後だった。
『お弁当できた?』
「食べたいな」
クッションコーナーでお昼寝中だったシャムスと涼玉が目を覚まし、目をこすりつつこちらへやってきた。
これは明日のお弁当です、今は食べませんよ。
旦那さんが一年のほとんどをお城に出仕していて領地にいないから。
なんでそこまでお城に縛られているかと疑問に思ったら、五年ほど前に貴族社会を襲った大粛清、あれで発言権が強かったり高い地位にいたりした人間がほぼ絶滅。
一族から代わりを出せれば良かったけれど、一族も一緒に粛清されたんだよね。
その頃に神様怖いと半泣きになりながらも皇帝と皇帝の腹心を支え、執務を滞らせないように奔走したのがお兄さんの旦那さんを始めとした重臣のおじ様たち。
後任がいないから引退も引き継ぎも出来ず、お休みは取れるけど領地に戻れるほどの長期間は取れない。
本来なら五年も子供が出来なければ一族から離縁の話がでてもおかしくはない、けれどそれ系の話が出なかったのは、そもそもの原因が神様だったから。
うっかり責めて神様への批判になったら最後、邪神の餌になる。そう信じられていたからこの辺に関しては触れてはいけない話題扱いだったらしいです。
人材の補填したのも神様なら、人材育成を手掛けたのも神様という……女神様を娶ったばかりに神様の遊び場にされているようにしか見えない。
当の女神様も多少は公務手伝ったりしたみたいだけど、内政チートに興味がなかったからビックリするような変革は起こらなかったんだよね。
「最近は後任が育ってきて余裕が出来てきたから、ちょっと長めの休暇を取って蜜月を過ごしてのおめでた」
「あ、旦那さんの子供だったんだ。僕はてっきり親分かアグニの子だと思ってた」
明日はアー君が学園の行事で初級ダンジョンに潜る日。
製作者側なので探索には消極的だったのを、友達が誘って一緒に参加することを決めたらしい、それで今はお喋りしながら明日持っていく重箱におかずを詰めているところです。
ミートボール、唐揚げ、肉巻き、エビフライ、ウィンナー。
うーん、アー君の作る重箱、茶色いなぁ。
「検診して感じた魔力は旦那さんのものだったよ」
僕の視線を察してそっと重箱を遠ざけるアー君、仕方ない野菜系は別の重箱に仕込んでおこう、ミニハンバーグという手もあるかな、その他におにぎりやサンドイッチに仕込むとか色々方法はある。
そう思いながら自分が詰めた重箱を見ると、汁とかバランス、彩りも何も考えず、ぎゅうぎゅうとおかずを詰め込んであった。
これは……刀雲と騎士様用のお弁当ということで。
「親分の血もアグニの血も混ざってなかったから大丈夫」
人間が魔物や神の子供を孕んだら出産だけでなく、妊娠中も命の危険が通常の倍以上になるため、アー君がお兄さんのお見舞いの際にその辺の確認もしてくれたようです。
生まれる子がただの人間なら一安心、教会に行ってヨムちゃん印のお守り買えば安産が約束されている。
ヨムちゃんの神力も随分成長したなぁ。
前はわざわざ出向かないと力を発揮出来なかったのに、今じゃお守りに力を籠めれば効力発揮するんだもの。
これでお兄さんは大丈夫。
「でもダンジョン探索を先導する人がいないからって動いちゃう?」
「森の偵察はアグニが、ダンジョンは親分が偵察するってことで納得させた」
すでに動こうとした後だった。
『お弁当できた?』
「食べたいな」
クッションコーナーでお昼寝中だったシャムスと涼玉が目を覚まし、目をこすりつつこちらへやってきた。
これは明日のお弁当です、今は食べませんよ。
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