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第一章 紡がれる日常
第87話
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キャンプ場がダークエルフの住処になってしまったので、新しい場所を開拓すると言ってネヴォラとイネスが張り切っていたのが数日前。
「私とイネスじゃすぐ遊びに夢中になって目的忘れちゃうから、魔王様に相談しに行ったんよ」
「会えなかったです。火傷しちゃうから転移してもだめよって」
それは多分だけどイネスにぺかーってやられたあれがトラウマになってるんじゃないかな?
しかもイネス、あの頃より力増してるしね、警戒されても仕方ない。
「代わりに魔王の奥さんが会ってくれてな、魔王領のどこを開拓してもいいけれど、やる時はアー君に頼めって言われた!」
「アー君のお休みいつですか? 明日ですか?」
「まだかなぁ」
帝国にダンジョン作ったり環境整えたりと奔走して、ちょいちょい学園お休みしてたからね、課題が溜まってしまったらしくってしばらくは真面目に通う予定だそうです。
お休みの日もお仕事あるからね、キャンプ場作る暇あるかなぁ?
病気や怪我以外の理由で学園をお休みする場合、身分を問わず課題が出されるのは本当だった。
ただ課題ではなく補習を受ける選択肢もあるらしいけれど、そちらは時間が指定されているので忙しい人には不向きなんだって。
アカーシャが休みもせず学園に通っていた理由に納得がいった、宿題以外に課題をやるのが嫌だったんだね。
双子は留学中だから対象外だけど……って、あの二人はいつ卒業するつもりなんだろう、そもそも卒業するつもりはあるのだろうか、せっかくの第二の人生だからと学生時代を延々と楽しむつもりとか?
「騎士様におねだりしてみるのはどう?」
アー君が大人しく学園に通っていれば、その分お仕事も減るから意外と自由効くんじゃないかな?
読みが浅いかな?
「ちょっと行ってくる!」
「はいです!」
庭に突撃したかと思ったらそのまま消えて、シャムスと涼玉に手伝ってもらいながらサンドイッチを作っていたら二人を脇に抱えた騎士様が帰宅した。
「おかえりなさい」
「二人の突撃で資料が舞い散って文官たちに滅茶苦茶怒られた。ご機嫌とるために差し入れ作ってね」
『イネスもネヴォラも、迷惑かけたらっめ』
「もしや今作ってるサンドイッチ、そのため!?」
「これはイネスとネヴォラ用のおやつだよ、でもせっかくだから文官さんたちの分も作ろうか」
ドリちゃんサンドイッチパン追加お願いします。
具はどうしよう、生クリームと果物でいいかな。
「騎士様早く早く!!」
「キャンプ場作るです!」
「待って、お弁当まだ出来てないみたいだから」
脇に抱えた二人がビチビチと元気にもがいていて騎士様がとても大変そう、でもそのまま解放しないで抱えててください。
四人で作ったサンドイッチが完成すると、マールスが分身して手早く包んでくれた。
あの分身、便利だよね。
「騎士様出来ました!」
「早くーー!」
「緑豊かで湖か川があって滝がないなら作ってくださいそれからそれから――」
「行ってきます!」
両手がふさがっていてお弁当が受け取れなかったので、代わりにえっちゃんが受け取ってくれた。
きっと現地で渡すのだろう。
「疲労困憊になるだろう騎士様のために、今日の夕食は騎士様の好物作ろうか」
「えびふりゃい」
「それはイネスの好物だなー、刺身とか?」
騎士様との日々を改めて振り返ってみる。
なぜだろう、美味しいものを食べている時は子供達にねだられて奪われているか、神薙さんから死守するために必死になっている姿しか思い出せない。
何を食べても奪われる運命?
「よし、いいお酒をドリちゃんにお願いして出してもらおう。それで刀雲とお揃いの晩酌用おつまみを用意する」
『ヨムちゃんにお魚お願いするの』
「晩酌なら俺ら奪わないしな!」
夕食は奪うこと前提なんだろうか、まぁいいや、大人の味付けで何か作ろう。
お酒に合うもの……塩?
「私とイネスじゃすぐ遊びに夢中になって目的忘れちゃうから、魔王様に相談しに行ったんよ」
「会えなかったです。火傷しちゃうから転移してもだめよって」
それは多分だけどイネスにぺかーってやられたあれがトラウマになってるんじゃないかな?
しかもイネス、あの頃より力増してるしね、警戒されても仕方ない。
「代わりに魔王の奥さんが会ってくれてな、魔王領のどこを開拓してもいいけれど、やる時はアー君に頼めって言われた!」
「アー君のお休みいつですか? 明日ですか?」
「まだかなぁ」
帝国にダンジョン作ったり環境整えたりと奔走して、ちょいちょい学園お休みしてたからね、課題が溜まってしまったらしくってしばらくは真面目に通う予定だそうです。
お休みの日もお仕事あるからね、キャンプ場作る暇あるかなぁ?
病気や怪我以外の理由で学園をお休みする場合、身分を問わず課題が出されるのは本当だった。
ただ課題ではなく補習を受ける選択肢もあるらしいけれど、そちらは時間が指定されているので忙しい人には不向きなんだって。
アカーシャが休みもせず学園に通っていた理由に納得がいった、宿題以外に課題をやるのが嫌だったんだね。
双子は留学中だから対象外だけど……って、あの二人はいつ卒業するつもりなんだろう、そもそも卒業するつもりはあるのだろうか、せっかくの第二の人生だからと学生時代を延々と楽しむつもりとか?
「騎士様におねだりしてみるのはどう?」
アー君が大人しく学園に通っていれば、その分お仕事も減るから意外と自由効くんじゃないかな?
読みが浅いかな?
「ちょっと行ってくる!」
「はいです!」
庭に突撃したかと思ったらそのまま消えて、シャムスと涼玉に手伝ってもらいながらサンドイッチを作っていたら二人を脇に抱えた騎士様が帰宅した。
「おかえりなさい」
「二人の突撃で資料が舞い散って文官たちに滅茶苦茶怒られた。ご機嫌とるために差し入れ作ってね」
『イネスもネヴォラも、迷惑かけたらっめ』
「もしや今作ってるサンドイッチ、そのため!?」
「これはイネスとネヴォラ用のおやつだよ、でもせっかくだから文官さんたちの分も作ろうか」
ドリちゃんサンドイッチパン追加お願いします。
具はどうしよう、生クリームと果物でいいかな。
「騎士様早く早く!!」
「キャンプ場作るです!」
「待って、お弁当まだ出来てないみたいだから」
脇に抱えた二人がビチビチと元気にもがいていて騎士様がとても大変そう、でもそのまま解放しないで抱えててください。
四人で作ったサンドイッチが完成すると、マールスが分身して手早く包んでくれた。
あの分身、便利だよね。
「騎士様出来ました!」
「早くーー!」
「緑豊かで湖か川があって滝がないなら作ってくださいそれからそれから――」
「行ってきます!」
両手がふさがっていてお弁当が受け取れなかったので、代わりにえっちゃんが受け取ってくれた。
きっと現地で渡すのだろう。
「疲労困憊になるだろう騎士様のために、今日の夕食は騎士様の好物作ろうか」
「えびふりゃい」
「それはイネスの好物だなー、刺身とか?」
騎士様との日々を改めて振り返ってみる。
なぜだろう、美味しいものを食べている時は子供達にねだられて奪われているか、神薙さんから死守するために必死になっている姿しか思い出せない。
何を食べても奪われる運命?
「よし、いいお酒をドリちゃんにお願いして出してもらおう。それで刀雲とお揃いの晩酌用おつまみを用意する」
『ヨムちゃんにお魚お願いするの』
「晩酌なら俺ら奪わないしな!」
夕食は奪うこと前提なんだろうか、まぁいいや、大人の味付けで何か作ろう。
お酒に合うもの……塩?
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