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第二章 聖杯にまつわるお話

第109話

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 えっちゃんの転移で先に来ました。
 皇帝は後から来るそうです、一緒に連れてこようとしたら近衛の方に護衛の存在意義!!と真顔で迫られたので置いてきたともいう。

 来るまで時間かかるだろうから先におやつを作っていよう、まず用意すべき大事なものがある。

「えっちゃんお願い」

 皇帝から相談があると言われて泣く泣くお留守番してもらっていたシャムスを呼び寄せてもらったら、涼玉とマールスも一緒に現れた。

「ままぁ」
「お留守番させてごめんね」
「だいじょーぶよー」
「俺と一緒にお昼寝してた!」
「うん、涼玉もありがとう」

 一通りナデナデして落ち着いてもらった所でおやつでも作ろうかな、涼玉が来てくれたので焦がして女神様が無理矢理食べさせられる事案も回避できますよ。

「涼ちゃんここ、ここ!」
「俺らが土魔法でばーんって作ったコンロ!」
「よし任せろ!」

 帝国皇子たちがブロックを積み上げて作ったコンロに涼玉が火をつけると、トレントが一番大きな葉っぱをちぎり鉄板代わりにその上に置いた。
 燃えないかと心配になったけど、そういえば涼玉の炎は自然に優しい炎だった。

「すげー、焦げない」
「りょーちゃんすっごいなぁ」
「しゅごーい」
「ワハハもっと褒め称えよ!」

 炎帝さんはエステ中らしい、もしや黒焦げケーキを察知して逃亡中?

「こいつらを将来学校に通わせるのが不安で仕方がない」
「アー君がどこかの領地に市民学校作ったらしいですけど、そこじゃちょっと狭いかもですね」
「家庭教師でいいかなって思ってはいるけど、落ち着きがなくてなぁ」
「かあちゃん髪の毛燃えた!」
「アフロになった!」
「何やってんだこのばかどもーーー!!」
「「きゃーー!」」

 素晴らしい、女神様が肝っ玉母さんやってる。
 年月は人だけじゃなく神様も変えるんだなぁ。

「おおホットケーキがきつね色」
「涼ちゃん最高だぜ」
「アフロは放っておいて食べよう」
「手掴みはだめだよ、お皿に盛ってフォークを使って食べようね」
「はぁい」

 第四皇子がしっかりしていて頼もしい、帝国兄弟も第四皇子の言葉は素直に聞き入れているみたいだし、あんな感じのおっとりタイプの教師を雇えば良いのじゃないだろうか。
 恋人さんを教師として雇う?
 祭事関係で女神様に振り回される立場だし、じゃあ教会繋がりで教皇にお願いするのはどうだろう。

「あっ、いい家庭教師思いつきました」
「教師だぁ!? ああ、教師!」

 一匹捕獲した女神様が髪をボサボサにしてこちらを振り返った、腕の中のアフロ皇子はキャーキャー言いながら逃げようと笑っている。

「花ちゃん」

 歌って踊れる二足歩行のラフレシア、しかもドリちゃん並みに増えるし、さらに言えば花ちゃんの伴侶は元どこかの王子だから頭もいい、今は二人して孤児院の子供達に読み書き計算を教えているらしいから適任だと思う。

 それにしても皇帝遅いなぁ。
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