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第二章 聖杯にまつわるお話
第165話
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その日、帝国の空が昼にもかかわら闇に覆われた。
夜空のようになった空に映し出されるイネスと、イネスを肩に乗せた女神様の姿。
「皆さん今日は来てくれてありがとうですーー!」
「「うおおおおお!!!!」」
教会のバルコニーにからイネスが声をかけると、広場から野太い声が返ってくる。
あちこちでピカピカと光るのは、イネスのお店で販売している会員専用グッズ、聖属性を振りまくペンライト。
お店の常連になり、ファンクラブ会員として認められ、ようやく購入が許される神グッズ……冗談のような本当の話らしいですよ。
「春日さん、最近遊びに来ないと思ったら……まさかの魔道具職人やってるなんて」
「経営している食事処が軌道に乗って、資金が潤沢だから好きなだけ研究につぎ込んでるらしいな、今のところファングッズ中心で世の中のためになるようなもの売る気も作る気もないみたいだけどなー」
作られたペンライトを始めとした魔道具は、全てイネスのお店で売っているらしい。
僕も一度行ってみたいなぁ、イネスのお店。
「イネスに魅了されたスラムの親分も、今頃イネスの名前を叫びながら空に向かって手を振ってるんだろうな」
『心が綺麗な状態よ』
「綺麗すぎてちょっと気持ち悪いぐらいだよな」
女神様への信仰心だけでなく、イネスを始めとしたうちの子への信仰心から好意まで、全てを利用して王都の隅から隅まで聖なる力を行き渡らせたらしい。
好意の欠片も持っていない相手でも、半径一キロぐらいに一人でも信仰者がいれば影響与えちゃうらしく、さっきもアー君と女神様が漏れがないか確認していた。
「ファンの皆も僕のお願い聞いてくれてありがとう! 今度お店に美味しいお酒仕入れておきますねー!」
「奢りじゃないんだ」
「そういう所はしっかりしてるんだ、アカーシャやカイから言い聞かされてるから」
『女神しゃま勢いに負けてるの』
「笑顔保つのがやっとっぽいな。イネスファンの熱量に負けてる!」
さながらアイドルの武道館ライブのような盛り上がりです、例え女神様の敬虔な信者の方が人数多くてもあの勢いには勝てないだろうなぁ。
「今日集まってもらったのはね、帝国の人達を危ない魅了から守るための結界を張るお手伝いしてもらいたかったからなんです! 皆お手伝いしてくれますかーー?」
「「イ・ネ・スー!!」」
「すげぇ、多少影響が薄くなる箇所が出る心配してたけど、今全く問題なくなった」
『オタク心が信仰心上回っちゃった』
「がおー」
「騎士様、あれは魅了に入りますか?」
「いや? いやぁ? イネスファンと出てるだけで魅了とは出てないね」
えー、嘘ぉ。と呟きながら管理画面を見ている騎士様、しかも魅了と出ていた一部の人間から効果が消えたそうです。
イネスちゃん凄い。
「え、まだメインイベント終わる以前に始まってないですよね? 目的達成したってアー君」
「可愛いが王都を救った?」
『加護要らず』
「アカーシャ達の出番なかったな」
「いいんだよ、僕らは元々いざという時要員だから」
「新しい特産を思いついただけでも行幸だよ」
「美味しいお菓子食べれて幸せ」
今日のメインイベントは結界内に女神様の加護を行きわたらせ聖女の魅了を防ぐこと、すでに魅了されている人間は解除出来ないので、三人の魅力で塗りつぶす予定だった。
魅了上書きクエストをイネスが始まりの挨拶で完遂、三人の出番がなくなりました。
その後、根性で笑顔を保った女神様がチョコの雨を降らせ、王都全体に女神の加護が行き渡る計画も成功。
「とりあえずチョコを食べた人間は二度と聖女に惑わされることはないし、聖女は王都に入ることは出来なくなったから目的は達成ってことで」
「特大のぺかぁっ楽しかったです!」
「にいちゃ、これ加護を持った人間が近くにいるだけで魅了無効になるのか?」
「そういう都合のいい加護をチョコにかけたらしいからな」
『ご都合主義がお仕事したの』
「よし、皇子達を回収しつつ、離宮に行ってお昼にしよう」
「そうしようか、刀雲と皇帝がピザを焼きながら待ってるよ」
帝国皇子達は王都を囲む城壁に等間隔に散らばり、イネスのぺかぁで結界が壊れないように補強に全力を注いでいたんだよね。
きっと魔力使ってお腹を空かせていることだろう。
広場では女神様降臨イベントの余韻を残しつつ、屋台が広げられてさながらお祭りのよう。
僕らは女神様の離宮でお昼です。
夜空のようになった空に映し出されるイネスと、イネスを肩に乗せた女神様の姿。
「皆さん今日は来てくれてありがとうですーー!」
「「うおおおおお!!!!」」
教会のバルコニーにからイネスが声をかけると、広場から野太い声が返ってくる。
あちこちでピカピカと光るのは、イネスのお店で販売している会員専用グッズ、聖属性を振りまくペンライト。
お店の常連になり、ファンクラブ会員として認められ、ようやく購入が許される神グッズ……冗談のような本当の話らしいですよ。
「春日さん、最近遊びに来ないと思ったら……まさかの魔道具職人やってるなんて」
「経営している食事処が軌道に乗って、資金が潤沢だから好きなだけ研究につぎ込んでるらしいな、今のところファングッズ中心で世の中のためになるようなもの売る気も作る気もないみたいだけどなー」
作られたペンライトを始めとした魔道具は、全てイネスのお店で売っているらしい。
僕も一度行ってみたいなぁ、イネスのお店。
「イネスに魅了されたスラムの親分も、今頃イネスの名前を叫びながら空に向かって手を振ってるんだろうな」
『心が綺麗な状態よ』
「綺麗すぎてちょっと気持ち悪いぐらいだよな」
女神様への信仰心だけでなく、イネスを始めとしたうちの子への信仰心から好意まで、全てを利用して王都の隅から隅まで聖なる力を行き渡らせたらしい。
好意の欠片も持っていない相手でも、半径一キロぐらいに一人でも信仰者がいれば影響与えちゃうらしく、さっきもアー君と女神様が漏れがないか確認していた。
「ファンの皆も僕のお願い聞いてくれてありがとう! 今度お店に美味しいお酒仕入れておきますねー!」
「奢りじゃないんだ」
「そういう所はしっかりしてるんだ、アカーシャやカイから言い聞かされてるから」
『女神しゃま勢いに負けてるの』
「笑顔保つのがやっとっぽいな。イネスファンの熱量に負けてる!」
さながらアイドルの武道館ライブのような盛り上がりです、例え女神様の敬虔な信者の方が人数多くてもあの勢いには勝てないだろうなぁ。
「今日集まってもらったのはね、帝国の人達を危ない魅了から守るための結界を張るお手伝いしてもらいたかったからなんです! 皆お手伝いしてくれますかーー?」
「「イ・ネ・スー!!」」
「すげぇ、多少影響が薄くなる箇所が出る心配してたけど、今全く問題なくなった」
『オタク心が信仰心上回っちゃった』
「がおー」
「騎士様、あれは魅了に入りますか?」
「いや? いやぁ? イネスファンと出てるだけで魅了とは出てないね」
えー、嘘ぉ。と呟きながら管理画面を見ている騎士様、しかも魅了と出ていた一部の人間から効果が消えたそうです。
イネスちゃん凄い。
「え、まだメインイベント終わる以前に始まってないですよね? 目的達成したってアー君」
「可愛いが王都を救った?」
『加護要らず』
「アカーシャ達の出番なかったな」
「いいんだよ、僕らは元々いざという時要員だから」
「新しい特産を思いついただけでも行幸だよ」
「美味しいお菓子食べれて幸せ」
今日のメインイベントは結界内に女神様の加護を行きわたらせ聖女の魅了を防ぐこと、すでに魅了されている人間は解除出来ないので、三人の魅力で塗りつぶす予定だった。
魅了上書きクエストをイネスが始まりの挨拶で完遂、三人の出番がなくなりました。
その後、根性で笑顔を保った女神様がチョコの雨を降らせ、王都全体に女神の加護が行き渡る計画も成功。
「とりあえずチョコを食べた人間は二度と聖女に惑わされることはないし、聖女は王都に入ることは出来なくなったから目的は達成ってことで」
「特大のぺかぁっ楽しかったです!」
「にいちゃ、これ加護を持った人間が近くにいるだけで魅了無効になるのか?」
「そういう都合のいい加護をチョコにかけたらしいからな」
『ご都合主義がお仕事したの』
「よし、皇子達を回収しつつ、離宮に行ってお昼にしよう」
「そうしようか、刀雲と皇帝がピザを焼きながら待ってるよ」
帝国皇子達は王都を囲む城壁に等間隔に散らばり、イネスのぺかぁで結界が壊れないように補強に全力を注いでいたんだよね。
きっと魔力使ってお腹を空かせていることだろう。
広場では女神様降臨イベントの余韻を残しつつ、屋台が広げられてさながらお祭りのよう。
僕らは女神様の離宮でお昼です。
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