227 / 620
第二章 聖杯にまつわるお話
第223話
しおりを挟む
洞窟探検を切り上げ、女神様の離宮にお邪魔しています。
奥の離宮ではなく、回遊庭園がある一般公開されている方だけどね。
目の前では皇帝と部下の人達がお昼の準備中。
どうやら焼き肉をご馳走してくれるらしく、石を積み上げたり忙しなく動いています。
バーベキューセット、貸しましょうか?
あと涼玉の炎もあると便利ですよ。
準備に忙しい兵士とマールスの間を縦横無尽に走るイネスとネヴォラと帝国兄弟、元気が有り余っている。
でも料理の邪魔しちゃだめだよー。
どこに座ろうか悩んでいたらトレントが日陰に僕らを誘い、そこに自らの根を使ってテーブルとベンチを用意してくれた。
しかも葉っぱで簡易クッションを追加してくれたのでシャムスがご機嫌です、しかもこのベンチ、涼玉の力の影響も受けているので涼玉も座れるんです!
最近のトレントは凄いね。
「あれ、アカーシャは?」
「室内で文官達と会議中、飯が出来たらくると思う」
『涼ちゃんの恵みは独占しちゃダメなのよー』
「それよりかあちゃ、腹減ったぁ」
「お弁当出すね」
今日行った森の状態があまりよくなかったらしく、涼玉の力が消費されちゃったんだっけ。
お重を取り出し、幼児用のお皿と二人専用のフォークを並べた所で女神様が現れた。
「美味そうだなぁ、私にもちょうだい」
ハートマークが付きそうな猫なで声で言われたので、チラッとシャムスを見たら「いいよ」と小さく頷いてくれました。
「涼玉の補充分まで食べないでくださいね、あっちでももうじき肉を焼き始めますし」
「おう!」
いそいそと席に座った女神様に取り皿と箸、お酒を渡した。
「イツキちゃん……分かってるじゃねぇか!」
嬉々として日本酒の瓶を開けている間にシャムスと涼玉のお皿におかずを取り分け、ついでに自分の分も幾つか取ってベンチに腰を下ろした。
「あの森、もうちょっと通わないとダメかなー」
「そうなの?」
「この腹減り具合からして、見た目より森の状態悪いかも」
「とりさんいなかったよ」
てっきりシャムスの威光に怯えて姿を見せないのかと思ったら、生き物が住めないほど森の恵みが枯渇していたみたいです。
涼玉の力も自動発動型だからなぁ、今度から森に行く時は気を付けないと。
「肉が焼けたぞ」
「うおおお!!」
「涼玉様、落ち着いてくだされ、焼き立てはここに!」
『僕も食べる』
皇帝とマールスが持ってきた山盛りの肉を見て涼玉が興奮し、ベンチの上で立ち上がった。
持っていたお皿とフォークが手から落ちたけど、それはマールスが尻尾で受け止めていました。
……あったんだ、尻尾。
本性は蛇だもんね、あっても不思議はないか。
普段は見えないだけ?
甲斐甲斐しく涼玉の世話をするマールスを見て思った。
もしかして邪神って尽くし系なのだろうか、兄弟のタイプを思い出しても相手に尽くす子が多いよね。
「昼間から酒か?」
「美味いぜぇ、この芳醇な香りと甘い味わい、いまだ刀国でしか再現出来てねぇんだよぉ」
「酒だけでなく何か腹に入れろ」
「分かったよママン」
皇帝と女神様の会話が夫婦を通り越して親子、仲が良くて何よりです。
二人で末永く帝国を守ってください、出来れば僕を巻き込まずに繁栄してね。
あ。このお肉美味しい。
奥の離宮ではなく、回遊庭園がある一般公開されている方だけどね。
目の前では皇帝と部下の人達がお昼の準備中。
どうやら焼き肉をご馳走してくれるらしく、石を積み上げたり忙しなく動いています。
バーベキューセット、貸しましょうか?
あと涼玉の炎もあると便利ですよ。
準備に忙しい兵士とマールスの間を縦横無尽に走るイネスとネヴォラと帝国兄弟、元気が有り余っている。
でも料理の邪魔しちゃだめだよー。
どこに座ろうか悩んでいたらトレントが日陰に僕らを誘い、そこに自らの根を使ってテーブルとベンチを用意してくれた。
しかも葉っぱで簡易クッションを追加してくれたのでシャムスがご機嫌です、しかもこのベンチ、涼玉の力の影響も受けているので涼玉も座れるんです!
最近のトレントは凄いね。
「あれ、アカーシャは?」
「室内で文官達と会議中、飯が出来たらくると思う」
『涼ちゃんの恵みは独占しちゃダメなのよー』
「それよりかあちゃ、腹減ったぁ」
「お弁当出すね」
今日行った森の状態があまりよくなかったらしく、涼玉の力が消費されちゃったんだっけ。
お重を取り出し、幼児用のお皿と二人専用のフォークを並べた所で女神様が現れた。
「美味そうだなぁ、私にもちょうだい」
ハートマークが付きそうな猫なで声で言われたので、チラッとシャムスを見たら「いいよ」と小さく頷いてくれました。
「涼玉の補充分まで食べないでくださいね、あっちでももうじき肉を焼き始めますし」
「おう!」
いそいそと席に座った女神様に取り皿と箸、お酒を渡した。
「イツキちゃん……分かってるじゃねぇか!」
嬉々として日本酒の瓶を開けている間にシャムスと涼玉のお皿におかずを取り分け、ついでに自分の分も幾つか取ってベンチに腰を下ろした。
「あの森、もうちょっと通わないとダメかなー」
「そうなの?」
「この腹減り具合からして、見た目より森の状態悪いかも」
「とりさんいなかったよ」
てっきりシャムスの威光に怯えて姿を見せないのかと思ったら、生き物が住めないほど森の恵みが枯渇していたみたいです。
涼玉の力も自動発動型だからなぁ、今度から森に行く時は気を付けないと。
「肉が焼けたぞ」
「うおおお!!」
「涼玉様、落ち着いてくだされ、焼き立てはここに!」
『僕も食べる』
皇帝とマールスが持ってきた山盛りの肉を見て涼玉が興奮し、ベンチの上で立ち上がった。
持っていたお皿とフォークが手から落ちたけど、それはマールスが尻尾で受け止めていました。
……あったんだ、尻尾。
本性は蛇だもんね、あっても不思議はないか。
普段は見えないだけ?
甲斐甲斐しく涼玉の世話をするマールスを見て思った。
もしかして邪神って尽くし系なのだろうか、兄弟のタイプを思い出しても相手に尽くす子が多いよね。
「昼間から酒か?」
「美味いぜぇ、この芳醇な香りと甘い味わい、いまだ刀国でしか再現出来てねぇんだよぉ」
「酒だけでなく何か腹に入れろ」
「分かったよママン」
皇帝と女神様の会話が夫婦を通り越して親子、仲が良くて何よりです。
二人で末永く帝国を守ってください、出来れば僕を巻き込まずに繁栄してね。
あ。このお肉美味しい。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
111
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる