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第二章 聖杯にまつわるお話
第237話
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スタンピードが起こったことで商業ギルドも忙しくなったようです、臨時アルバイト大量募集がかかり、アー君のクラスメイトも幾人か応募したと朝食の席でアー君に教えてもらった。
「まぁ全員落ちたけどな」
「そうなの?」
「今回は刀国じゃなく海外出張になるんだよ」
『刀国の魔物は神薙様が全部食べたの』
「素材買取ゼロってある意味凄いよな」
スタンピードはもちろん刀国でも発生した。
しかもいつもより広範囲。
だったのだけれども――神薙さんが一人で食べ放題して暴走した魔物による被害は発生していない。
むしろ神薙さんの食べ放題に巻き込まれないようにしていたゴブリンやドラゴン、その他スローライフを楽しんでいた魔物から「怖かった」「悪夢に見る」「牙が掠めて寿命が縮んだ」などの苦情がアー君に殺到したって。
なんだか冒険者と同じようなこと言い始めたなぁ。
一緒に行動していたはずの神薙さんのお子さん、二匹ほど巻き添え食らって食べられたらしいけど、そこは消化前にお腹から取り出して事なきを得えたって言っていた。
取り出された瞬間、闇に潜って夢の世界に逃げ帰ったそうです。
夢の中で会ったら慰めてあげないといけないな。
「現地で雇うのはダメなの?」
「読み書き計算出来る人材がいるか怪しいから、刀国で雇って派遣した方が早いんだ。アカーシャのやり方も理解してるしな」
「なるほど」
『なるほどー』
「がおー」
「みゃーん」
「わたしも手伝おうか?」
サラッとネヴォラが朝食の席に混ざっている。
いつから居たのだろうか、あとお口の横にご飯粒ついてるよ。
「スタンピードが起こったせいで作物が踏み荒らされて、収穫が出来なくなった所があるって報告が複数あった」
「にいちゃ!」
「うん、涼玉の出番だな。請求は相手の国にするから、俺の領地に行ってロデオしていいぞ」
「やったーー!」
『涼ちゃん良かったねぇ』
「かあちゃ、弁当作って! お重で!」
「分かった」
「わたしもロデオすんの、おいなりさん詰めて!」
「おにぎりぃ」
「うん、ドリちゃんがもう作り始めてくれているから、ご飯食べたらお重に詰めようか」
アー君が羨ましそうにこちらを見ている。
しょうがないなぁ、今日のアー君のお昼はお重弁当にして僕らとお揃いにしてあげよう。
「お弁当は届けるのと持っていくのどっちがいい?」
「っぐ、悩む」
「ネヴォラ、伊勢海老狩りましょう!」
「乱獲しよう!」
お重に伊勢海老のエビフライを入れるつもりらしいイネスが、ネヴォラに声をかけて庭に飛び出して行った。
あれ、大きさが大きさだからお重に入らないんだよね、どうしよう。
「にいちゃの弁当は俺らが詰めてやろう」
『唐揚げとー、お肉巻きとー、コロッケー、餃子ぁー』
「玉子焼きもいれて」
『あい』
涼玉とシャムスの示したおかずをドリアンがお重に詰めているのだけど、ポテトサラダとかも入れて欲しいな。
まぁサンドイッチに挟む野菜の量を増やせばいいか。
「デザートはイチゴ味のスイカ」
『これが最後の一つよ』
二人がアー君に押し付けたまん丸のスイカ、あれは確か果樹園でお試し栽培して失敗したやつだ。
自分達が食べたくないからアー君に押し付ける気だね。
……レモン国でもやってもらったら、レモン味のスイカが爆誕したらしい。
せめてレモン色のスイカなら良かったのにね。
「まぁ全員落ちたけどな」
「そうなの?」
「今回は刀国じゃなく海外出張になるんだよ」
『刀国の魔物は神薙様が全部食べたの』
「素材買取ゼロってある意味凄いよな」
スタンピードはもちろん刀国でも発生した。
しかもいつもより広範囲。
だったのだけれども――神薙さんが一人で食べ放題して暴走した魔物による被害は発生していない。
むしろ神薙さんの食べ放題に巻き込まれないようにしていたゴブリンやドラゴン、その他スローライフを楽しんでいた魔物から「怖かった」「悪夢に見る」「牙が掠めて寿命が縮んだ」などの苦情がアー君に殺到したって。
なんだか冒険者と同じようなこと言い始めたなぁ。
一緒に行動していたはずの神薙さんのお子さん、二匹ほど巻き添え食らって食べられたらしいけど、そこは消化前にお腹から取り出して事なきを得えたって言っていた。
取り出された瞬間、闇に潜って夢の世界に逃げ帰ったそうです。
夢の中で会ったら慰めてあげないといけないな。
「現地で雇うのはダメなの?」
「読み書き計算出来る人材がいるか怪しいから、刀国で雇って派遣した方が早いんだ。アカーシャのやり方も理解してるしな」
「なるほど」
『なるほどー』
「がおー」
「みゃーん」
「わたしも手伝おうか?」
サラッとネヴォラが朝食の席に混ざっている。
いつから居たのだろうか、あとお口の横にご飯粒ついてるよ。
「スタンピードが起こったせいで作物が踏み荒らされて、収穫が出来なくなった所があるって報告が複数あった」
「にいちゃ!」
「うん、涼玉の出番だな。請求は相手の国にするから、俺の領地に行ってロデオしていいぞ」
「やったーー!」
『涼ちゃん良かったねぇ』
「かあちゃ、弁当作って! お重で!」
「分かった」
「わたしもロデオすんの、おいなりさん詰めて!」
「おにぎりぃ」
「うん、ドリちゃんがもう作り始めてくれているから、ご飯食べたらお重に詰めようか」
アー君が羨ましそうにこちらを見ている。
しょうがないなぁ、今日のアー君のお昼はお重弁当にして僕らとお揃いにしてあげよう。
「お弁当は届けるのと持っていくのどっちがいい?」
「っぐ、悩む」
「ネヴォラ、伊勢海老狩りましょう!」
「乱獲しよう!」
お重に伊勢海老のエビフライを入れるつもりらしいイネスが、ネヴォラに声をかけて庭に飛び出して行った。
あれ、大きさが大きさだからお重に入らないんだよね、どうしよう。
「にいちゃの弁当は俺らが詰めてやろう」
『唐揚げとー、お肉巻きとー、コロッケー、餃子ぁー』
「玉子焼きもいれて」
『あい』
涼玉とシャムスの示したおかずをドリアンがお重に詰めているのだけど、ポテトサラダとかも入れて欲しいな。
まぁサンドイッチに挟む野菜の量を増やせばいいか。
「デザートはイチゴ味のスイカ」
『これが最後の一つよ』
二人がアー君に押し付けたまん丸のスイカ、あれは確か果樹園でお試し栽培して失敗したやつだ。
自分達が食べたくないからアー君に押し付ける気だね。
……レモン国でもやってもらったら、レモン味のスイカが爆誕したらしい。
せめてレモン色のスイカなら良かったのにね。
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