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第二章 聖杯にまつわるお話

第241話

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 刀雲と騎士様がお城から帰ってこない、スタンピードの後始末が終わらないって神薙さんどれだけ食べたんだろう。
 他部署の文官も上から下まで缶詰だと、差し入れを転送したえっちゃんが教えてくれた。

 一方我が家では夕食を食べに来たヨムちゃんが、ロデオの話を聞いて羨ましいとジタバタ。
 座敷でやると神薙さんやドリアンから叱られるので、庭でだけどね。

「俺も参加したいぃ!」
『ロデオ明日もやるよ』
「ヨムもロデオやる?」
「ロデオじゃなくて運ぶのやりたい!」

 かつ丼を掻っ込んでいたアー君が食べ終えてから詳しく聞くと、物資の運搬に船を使って参加したいという駄々こねでした。
 それってギレンの仕事と負担が増えるやつ。

「港を持ってて、機能している国って少ないけどそれでもいいか?」
「いいぞ!」
「良かったねぇヨムちゃん」
「うん!」

 にぱっと笑う笑顔が可愛い。
 望みが通ったので駄々こねを止め、座敷に上がってご飯を食べ始めた。

 本日の夕食は丼各種。
 僕は海の幸盛りだくさんの海鮮丼だけど、王道の牛丼から高級ローストビーフ丼まで色々揃えております。

「それにしてもヨム、海神ギルドにはちゃんと顔を出してるか?」
「出してる! 顔出し頻度は神殿より低いけど、ちゃんと顔出してギレンに圧かけてる!」
「ならいい」

 いいの!?

 ヨムちゃんが統括を務める海神ギルドは、アー君の冒険者ギルドやアカーシャの商業ギルドを羨ましいと言って作ったギルド。
 海に関することならなんでもござれ、運営に関する全てはギレンが担当。丸投げとも言う。
 何せギレンは港街を築き上げた領主だし、刀国の海に関することを全て請け負っている人物、ヨムちゃんの望むギルドの業務を押し付けるにはこれ以上の適任はいなかった。

 おかしいな、港街って結構大きいし、独自戦力も持っていてそれなりに権力持っているはずなのに、なぜこんな使い走り扱いなんだろうか?
 綺麗処三人衆と呼ばれる我が家のアカーシャを嫁にしているのに、一向に地位が上がる気配がない。

 気になってアー君に質問してみた。

「相手が悪い。だって俺らのパパ、ギレンの上司のさらに上の存在だし」
「そう言えばクロードさんの部下だったね」

 逆らえない相手が多すぎる。
 つまりギレンは個人権力はあるものの、簡単に言えば中間管理職!?

「クロードさん、今どこにいるんだろ?」
「船で廻船かいせんしまくってる! 船に俺の加護と子分を付けてあるからクロードの独壇場だぞ、海賊が出ても子分が船に穴開けて終わり!」
『魔物さんもぐもぐ』
「船の破片も回収して、売りさばいてるって! 意外と売れるらしいぞ」
「海神ギルドの名前を使って悪さしようしたのもいたな、すでにこの世にいないけど」

 中には海神ギルドに加盟、加護を悪用して海賊行為を行おうとした怖いもの知らずもいるらしい。
 当然のように海の藻屑になったそうです。

 ヨムちゃんは海神には違いないけど、本質は邪神だからね、容赦はない。

「被害はないけどレモン国にも納品するか、適当に売ってもらおう」
『被害なかったの?』
「ああ、獣人が張り切って暴れたからな、あっちも素材の買取と解体で忙しいって聞いている」
『スライムは?』
「レモンの収穫と加工で忙しくて、魔物解体に回す個体がいないらしい」
「普通逆じゃないか?」

 明日のお昼であるサンドイッチを選んでいた涼玉が思わずツッコミを入れた。
 
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