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第二章 聖杯にまつわるお話
第282話
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トラブルは城下で起きているんじゃない、門に入る前に起こることもあるんだ!
そういう感じのセリフを叫びながらアー君たちが門に向かって走っていき、シャムスのくしゃみが止まらないので霧ちゃんに先に家に帰ってくれるよう頼んでからアー君たちを追いかけました。
ただし僕の足はたいして速くない、むしろ遅いと思っていたけど今日はすっごい調子がいい!
なんて思っていたら、単に闇を広げたえっちゃんが僕を乗せて移動しているだけでした。無言の優しさが辛い。
トラブルの起きている門近くでは人がごった返し、現場は大変混乱している模様です。
どさくさ紛れに入国しようとした人が闇の中に落ちていったのを見てしまった。あれ露骨に邪神の誰かの仕業だよね、あれもまた神隠しの一種かな?
えっちゃんの誘導で信じられないぐらいスムーズに人の波をかき分け、門の外に到着することが出来ました。
騎士様、僕とえっちゃんを出会わせてくれてありがとうございます!
「ほら、無理しなくていいんだよ、わたしのことだいすきでしょう?」
門を出たら修羅場だった。
造形は可愛い寄りの女の子がちょっと引くぐらい必死に「私のこと好きでしょう」ってアピールしている、しかも相手は幼児。ショタコンだろうか、大丈夫? 神様呼ぶ?
あっ、門番さんこんにちは。
うちの子しか目に入ってなかったけど、騒ぐ女の子とその後ろに控える同行者がこれ以上近寄って来ないように牽制する複数の門番さんがいました。
「出会って三秒で相手が面倒になりました!」
「屋台で買い食いしたいんよ」
「ガリガリたこ焼き食べたいな、にいちゃ帰ろう」
「飽きるの早いな」
そしてうちの子はすでに相手するのに飽き、意識が屋台へと飛んでいるようです。
アー君頑張って。
「ママ、シャムスは?」
「くしゃみが止まらないから先に帰らせたよ」
「お見舞いします」
「月餅買って帰んのよ!」
「トラブル放置して帰っていいか?」
思ったよりつまらないトラブルだったので、それよりシャムスの方が心配らしい。
「いつもこういう場合どうしてるんだ?」
「街道から外れた場所に泉があるのでぶち込んでます」
刀国の入国審査に引っかかった人物は身分や地位一切関係なく、門番の誰かが嫌がった時点で少し離れた場所にある泉に投げ込まれる決まりらしいです。
そう言った系統の直感持ちが常時二人以上立っているのがここの特徴の一つだって、すげぇ。
「私知ってます、たまに水浴びして遊んでます!」
「泥んこになっても一瞬で落ちて楽しいんよ」
例のイネスのガチファンで、死んでも死にきれずスケルトンになって復活して戻った冒険者も、帰還した際は泉にぶち込まれたらしいです。
そこで怨念とか瘴気とかもろもろを洗い流し、ただの無害なスケルトンになって入国したとか。一番の煩悩は洗い流せなかったみたいだけど、それはいいんだ。
「キィヤァァァァアア!!」
「あ、第二形態」
事態が急転しました。
でも誰も慌てていません、どうやらアー君らが相手している間に土で壁を作って、一時的に周囲の避難を済ませたみたい。
さすが手慣れている……。
「びっくりですねー」
「女じゃなく、取り巻きが変身した!」
「にいちゃ、倒していいか?」
「いやいや待て、変身終わるまで待とうぜ」
僕らも逃げなくていいかとそわそわしたら、うちの子たちは普通に楽しんでいました。
しかも変身中という隙だらけの今を狙おうとはせず、終わるのをのんびりと待つみたい。
いやいやここは大人に、専門家に任せようよと門番さんたちを見たら、アー君たちよりずっと後ろに下がっているし、守るために動く様子がない。
しかも「今日はどっちだと思う?」とか「神子様いるしなぁ、倒さない方で」と聞こえてきます、もしやこの状況で賭け事してません?
そういう感じのセリフを叫びながらアー君たちが門に向かって走っていき、シャムスのくしゃみが止まらないので霧ちゃんに先に家に帰ってくれるよう頼んでからアー君たちを追いかけました。
ただし僕の足はたいして速くない、むしろ遅いと思っていたけど今日はすっごい調子がいい!
なんて思っていたら、単に闇を広げたえっちゃんが僕を乗せて移動しているだけでした。無言の優しさが辛い。
トラブルの起きている門近くでは人がごった返し、現場は大変混乱している模様です。
どさくさ紛れに入国しようとした人が闇の中に落ちていったのを見てしまった。あれ露骨に邪神の誰かの仕業だよね、あれもまた神隠しの一種かな?
えっちゃんの誘導で信じられないぐらいスムーズに人の波をかき分け、門の外に到着することが出来ました。
騎士様、僕とえっちゃんを出会わせてくれてありがとうございます!
「ほら、無理しなくていいんだよ、わたしのことだいすきでしょう?」
門を出たら修羅場だった。
造形は可愛い寄りの女の子がちょっと引くぐらい必死に「私のこと好きでしょう」ってアピールしている、しかも相手は幼児。ショタコンだろうか、大丈夫? 神様呼ぶ?
あっ、門番さんこんにちは。
うちの子しか目に入ってなかったけど、騒ぐ女の子とその後ろに控える同行者がこれ以上近寄って来ないように牽制する複数の門番さんがいました。
「出会って三秒で相手が面倒になりました!」
「屋台で買い食いしたいんよ」
「ガリガリたこ焼き食べたいな、にいちゃ帰ろう」
「飽きるの早いな」
そしてうちの子はすでに相手するのに飽き、意識が屋台へと飛んでいるようです。
アー君頑張って。
「ママ、シャムスは?」
「くしゃみが止まらないから先に帰らせたよ」
「お見舞いします」
「月餅買って帰んのよ!」
「トラブル放置して帰っていいか?」
思ったよりつまらないトラブルだったので、それよりシャムスの方が心配らしい。
「いつもこういう場合どうしてるんだ?」
「街道から外れた場所に泉があるのでぶち込んでます」
刀国の入国審査に引っかかった人物は身分や地位一切関係なく、門番の誰かが嫌がった時点で少し離れた場所にある泉に投げ込まれる決まりらしいです。
そう言った系統の直感持ちが常時二人以上立っているのがここの特徴の一つだって、すげぇ。
「私知ってます、たまに水浴びして遊んでます!」
「泥んこになっても一瞬で落ちて楽しいんよ」
例のイネスのガチファンで、死んでも死にきれずスケルトンになって復活して戻った冒険者も、帰還した際は泉にぶち込まれたらしいです。
そこで怨念とか瘴気とかもろもろを洗い流し、ただの無害なスケルトンになって入国したとか。一番の煩悩は洗い流せなかったみたいだけど、それはいいんだ。
「キィヤァァァァアア!!」
「あ、第二形態」
事態が急転しました。
でも誰も慌てていません、どうやらアー君らが相手している間に土で壁を作って、一時的に周囲の避難を済ませたみたい。
さすが手慣れている……。
「びっくりですねー」
「女じゃなく、取り巻きが変身した!」
「にいちゃ、倒していいか?」
「いやいや待て、変身終わるまで待とうぜ」
僕らも逃げなくていいかとそわそわしたら、うちの子たちは普通に楽しんでいました。
しかも変身中という隙だらけの今を狙おうとはせず、終わるのをのんびりと待つみたい。
いやいやここは大人に、専門家に任せようよと門番さんたちを見たら、アー君たちよりずっと後ろに下がっているし、守るために動く様子がない。
しかも「今日はどっちだと思う?」とか「神子様いるしなぁ、倒さない方で」と聞こえてきます、もしやこの状況で賭け事してません?
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