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第二章 聖杯にまつわるお話
第360話
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かくして魔力がどうの事件は終了。
王様は一国の長から一転、ヴィシュタル教の見習いさんになったとさ。
「煉獄一直線だと思いました」
「腹を痛めて生んだ子と二度と会えないってのは人間には十分罰になるだろ」
「え!?」
「他の子は王妃や側室が生んでたみたいだけど、あの魔力がなかった王子だけは元国王が生んだんだよ」
全部終わってから投下された爆弾。
女神様、その情報渡すの本当に今で良かったんですか?
「イツキだって二度と会えないのは嫌だろう」
「えっちゃんがいるのでいつでも会いに行けます」
「……ほら、えっちゃんが居ないと仮定して」
「アー君か騎士様にお願いします」
「っく、例え話に付き合ってくれたっていいじゃん!」
「本音を言えば夢の世界で会い放題」
二度と会えないと言うのは中々想像しにくいかなぁ。
「でも全員に会いに行くと大変なので、定期的に里帰りしてほしいです」
何人生んだか覚えてないボケボケなママでごめんよ。
「まぁとにかく、魔力なしなのに王子が今まで生きてこれたのは王の庇護があったから、というのを考慮して生涯を贖罪に捧げることで命だけは助けた感じだな」
「パパじゃなくママだった衝撃。相手がちょっとだけ気になります」
「王子の護衛」
「まさかの禁断の愛」
「真実の愛と言え、真実の愛と」
命が助かった裏事情が女神様の性癖を満たしたから、とか誰も知らなくていい情報な気がします。
「あれ? その護衛さんは?」
「ここには入れないからな、刀羅様と鬼羅様が城下の宿に待機させてる――と今知らせが届いた」
今更思い出した双子が騎士様にそれを伝え、騎士様から女神様に念話が飛んできたようです。
便利だなぁ念話。
「それ僕と女神様でも使えますか?」
「使えるも何も、いつも使って会話してるだろ」
「あれ念話だったんですか、神託を騙った脳内語りだと思ってました」
「ひでぇ」
護衛さんは屋敷に残って僕らを手伝っていたアー君の親衛隊の人が迎えに行ってくれました。
僕らがキャンプ場に向かわず、家に残っていたのは向こうでは作れないサンドイッチを作るため、これなら女神様も作れるしね。
子供達に野菜を摂らせたいのです。
「そういやさ」
「はい」
「お二人に先手を取られて言い忘れてたんだが……私も一人厄介なの見つけた」
「?」
「ほら、あるだろ、神のうっかりミスで死んで転生しちゃった系」
「女神様、まさかっ!!」
ダメです、さすがに僕も庇えないですよ!!
「違う、私じゃない。さっき邪神一家に食われた神と同じ、一部で信仰されて微妙な力を得たタイプ」
「ああ国が滅びて信徒が消えたあの」
あれ待って、という事は双子の留学先消えてない?
のんびりキャンプしている場合なのだろうか。
「自分を信仰する人間を助けようと地球から呼び出そうとしたみたいなんだけどさ、召喚するのに力が足りなくて向こうで死ぬ形でこちらに呼び出してしまった。つまり転移じゃなく転生になったわけだ」
「あれこれチートな能力を渡す展開ですか?」
「普通はな、だがぽっと出の、それも私の眷属でも知り合いでも何でもない神に力を与える能力なんてないから」
それはテンプレ大失敗にもほどがありません?
「呼び出された人は大丈夫なんですか?」
「呼び出す座標もズレて魔物がわんさか出る森に落とされた」
「その神様粛清しましょう! 神薙さん呼び出していいですか!」
「ふふん、この世界を管理しているのは誰だと思ってんだい、この私だぜ、そいつは今頃、筋骨隆々なイケメン冒険者に助け出されてうっかり惚れそうになってる自分を抑えようとしているところだ」
「女神様凄い! 女神様の趣味も人助けになる時があるんですね!」
「一言多くない?」
そうか、この世界の人間となった時点で女神様の補正が効くんだ……。
なるほどだから主人公ムーブじゃなく、王道BL展開になるんですね。
「一人と純愛もいいが、複数から総愛されも捨てがたい、おっさんギルド長の男臭さにズキュンとやられてほしい気持ちも捨てきれない。あと敬語眼鏡だろ、何も知らない真っ白な感じをじわじわ調教とかロマンだろ」
「ちょっと共感できないですね」
とりあえずうっかりミスで転生した人は無事らしい、貞操は怪しいけど、まぁ命は助かったということで。
後で神薙さんにその神様のことはチクっておこう。
王様は一国の長から一転、ヴィシュタル教の見習いさんになったとさ。
「煉獄一直線だと思いました」
「腹を痛めて生んだ子と二度と会えないってのは人間には十分罰になるだろ」
「え!?」
「他の子は王妃や側室が生んでたみたいだけど、あの魔力がなかった王子だけは元国王が生んだんだよ」
全部終わってから投下された爆弾。
女神様、その情報渡すの本当に今で良かったんですか?
「イツキだって二度と会えないのは嫌だろう」
「えっちゃんがいるのでいつでも会いに行けます」
「……ほら、えっちゃんが居ないと仮定して」
「アー君か騎士様にお願いします」
「っく、例え話に付き合ってくれたっていいじゃん!」
「本音を言えば夢の世界で会い放題」
二度と会えないと言うのは中々想像しにくいかなぁ。
「でも全員に会いに行くと大変なので、定期的に里帰りしてほしいです」
何人生んだか覚えてないボケボケなママでごめんよ。
「まぁとにかく、魔力なしなのに王子が今まで生きてこれたのは王の庇護があったから、というのを考慮して生涯を贖罪に捧げることで命だけは助けた感じだな」
「パパじゃなくママだった衝撃。相手がちょっとだけ気になります」
「王子の護衛」
「まさかの禁断の愛」
「真実の愛と言え、真実の愛と」
命が助かった裏事情が女神様の性癖を満たしたから、とか誰も知らなくていい情報な気がします。
「あれ? その護衛さんは?」
「ここには入れないからな、刀羅様と鬼羅様が城下の宿に待機させてる――と今知らせが届いた」
今更思い出した双子が騎士様にそれを伝え、騎士様から女神様に念話が飛んできたようです。
便利だなぁ念話。
「それ僕と女神様でも使えますか?」
「使えるも何も、いつも使って会話してるだろ」
「あれ念話だったんですか、神託を騙った脳内語りだと思ってました」
「ひでぇ」
護衛さんは屋敷に残って僕らを手伝っていたアー君の親衛隊の人が迎えに行ってくれました。
僕らがキャンプ場に向かわず、家に残っていたのは向こうでは作れないサンドイッチを作るため、これなら女神様も作れるしね。
子供達に野菜を摂らせたいのです。
「そういやさ」
「はい」
「お二人に先手を取られて言い忘れてたんだが……私も一人厄介なの見つけた」
「?」
「ほら、あるだろ、神のうっかりミスで死んで転生しちゃった系」
「女神様、まさかっ!!」
ダメです、さすがに僕も庇えないですよ!!
「違う、私じゃない。さっき邪神一家に食われた神と同じ、一部で信仰されて微妙な力を得たタイプ」
「ああ国が滅びて信徒が消えたあの」
あれ待って、という事は双子の留学先消えてない?
のんびりキャンプしている場合なのだろうか。
「自分を信仰する人間を助けようと地球から呼び出そうとしたみたいなんだけどさ、召喚するのに力が足りなくて向こうで死ぬ形でこちらに呼び出してしまった。つまり転移じゃなく転生になったわけだ」
「あれこれチートな能力を渡す展開ですか?」
「普通はな、だがぽっと出の、それも私の眷属でも知り合いでも何でもない神に力を与える能力なんてないから」
それはテンプレ大失敗にもほどがありません?
「呼び出された人は大丈夫なんですか?」
「呼び出す座標もズレて魔物がわんさか出る森に落とされた」
「その神様粛清しましょう! 神薙さん呼び出していいですか!」
「ふふん、この世界を管理しているのは誰だと思ってんだい、この私だぜ、そいつは今頃、筋骨隆々なイケメン冒険者に助け出されてうっかり惚れそうになってる自分を抑えようとしているところだ」
「女神様凄い! 女神様の趣味も人助けになる時があるんですね!」
「一言多くない?」
そうか、この世界の人間となった時点で女神様の補正が効くんだ……。
なるほどだから主人公ムーブじゃなく、王道BL展開になるんですね。
「一人と純愛もいいが、複数から総愛されも捨てがたい、おっさんギルド長の男臭さにズキュンとやられてほしい気持ちも捨てきれない。あと敬語眼鏡だろ、何も知らない真っ白な感じをじわじわ調教とかロマンだろ」
「ちょっと共感できないですね」
とりあえずうっかりミスで転生した人は無事らしい、貞操は怪しいけど、まぁ命は助かったということで。
後で神薙さんにその神様のことはチクっておこう。
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