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第二章 聖杯にまつわるお話

第425話

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 皆さん覚えていらっしゃるでしょうか、アー君の隣のクラスに転校してきたとかいう某国王女。
 僕は完全に忘れていました。

 そう言えばハロウィンイベントも彼女の開催予定すら不明なパーティーをぶっ潰すため、国王様がノリノリで開催を宣言したんだっけ。
 ダンジョン改変や麒麟の電撃結婚、今回の大規模な飢餓の対処で完璧に忘れてた。

 なぜ思い出したのか、それはね、パーティー会場に孔雀みたいな派手な集団がいたからドン引きしてアー君の陰に隠れたら、その集団が某国王女だったという訳です。
 なんでここにいるのとか、招待状はどうしたんだとか色々疑問はあるものの、一番気になるのはあの頭から生えてる孔雀の羽みたいな派手な装飾かな。
 ほらあれ、あのエリザベス朝時代に流行った派手な首回り、あれもつけてる。

 待って、どの時代から来たのあのお姫様。

 脳内でツッコミの嵐が起きる中、隣に立ったのは女神様。
 この人も来てたんかい。
 皇帝夫妻が揃って参加してることをこの国の王様は把握しているのだろうか、知ってたら胃痛起こしそう。

「映画で見るには違和感抱かなかったけど、自分の目で実物見るとドン引きすんな」
「女神様が持ち込んだデザインじゃないんですね」
「私は女物のドレスに興味ないからなぁ」
「あ、はい」

 BLへの偏愛が過ぎて、それ以外が疎かになった結果、中世と異世界文化が混ざってカオスになった悪い例が歩いている。
 ただでさえ女性の数が減った世界で女性向けのファッションが発展していないとはいえ、さすがにあのファッションはない。

 そして隣でドン引きする女神様が着ているのは、帝国の衣装係が総力を挙げて作り上げたパーティー用ドレス。
 Aラインの冬の女神をイメージしてどうのとか女神様に説明されたけど、そもそもAラインがなんなのか分かりません。
 ただ黙っていれば綺麗だなぁとは思います。
 あとそのドレスでピザを食べるとドキドキするので止めてほしい。

 皇帝はどこ、女神様にピザは自宅で食べろって言ってもらわないと――いたと思ったらピザを自ら参加者に勧めていました。
 女神様にピザを渡した張本人だったのかぁ。

 女神様とピザに気を取られてその後の流れを見逃していました。
 もう終わっちゃったかなーと姿を探したら、女神様が「あっち」と言ってピザで王座を示したので視線を向けたら某国王女と取り巻きがいた。

「それよりも女神様、食べ物で人を指さない」
「すみません」

 アイテムボックスにどれだけピザを隠し持っているんだろうか、スルーしてたけど食べてるピザ全部違う具ですよね?
 まぁそれはいい、とりあえず某国王女の動向を見守って……もしょうがないか、僕も何か食べようかなぁ。

「おっこのクリスピー成功してんじゃん、イツキも食べてみろよ」
「いただきます」

 皇帝ピザの改良に女神様の知識あり。
 カリッと耳まで美味しいクリスピー、レシピはドリちゃんに売ってもらったのだろうか。

 それにしても王女様、何かに似てるんだよね。
 大昔に流行したとかでたまに見かける、あの二足歩行で猛ダッシュする爬虫類。
 なんだっけ、えーっと、確か、そう、エリマキトカゲ!

 次の瞬間、パーティー会場に絶叫が響いた。
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