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第二章 聖杯にまつわるお話

第448話

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 花嫁、女性ではなく胸に詰め物した美人さんだった。
 気絶から回復した領主さんが確認して発覚した。

 僕の隣で女神様が狂喜乱舞しております。
 お二人の未来は明るいでしょう、現在進行形で女神様の加護が降り注いでいるからね。
 ついでに言うと隣に僕もいるので子沢山は確定かなー、そうなると貧乏のままじゃ家族を養えないね、麒麟さんに頼んでどうにかしてもらおう。

「悪い噂は妹がやらかしたものだろ、あぁまともな相手が引っかからなくなったから兄の婚約者にあれこれ嘘を吹き込みついでに寝取って、妊娠したって嘘ついて婚約者の座を奪っただけじゃなく、自分に命じられていた婚約話を兄に押し付けて……すっげぇなテンプレぎっちりキャラ来た」

 ステータスの人物解説を読みながら女神様が興奮している。
 普通は個人情報にそんな事は書いていない、でもほら目の前にいるの腐っているけど世界の管理している女神様だからね特別な画面が見れるらしい。

「しかも兄が死んでもいいように、護衛兵は付けずに送り出した――ってそれ監視に付けた侍女も死んでもいいってことだよな?」
「えっちゃんに瞬殺されてました」
「今日が命日の運命だったんだな!」

 馭者の人は生きてたけど処遇に困ったので、後でイネスにぺかぁってしてもらってからハロウィンダンジョンのある街にでも移住してもらうと思います。
 あそこなら運搬業で人手募集中だし、職には困らないだろう。

 なお、目覚めた花嫁は領主さんと見つめ合ってそのまま動きません、一目惚れ同士末永くお幸せに。

「あとはこの後、領地を発展させて爵位とか上がって、パーティー会場で再会、からのざまぁ辺りがテンプレなんだが、今回は無理だなぁ」
「所属の国変わっただけじゃなく、王都に続く道が森になるからなー」
「ドラゴンを始めとした魔物が住むし、通り抜け出来なくなるねぇ」

 王都に呼び寄せようとしても使者が辿り着くのは無理かなぁ、もし辿り着けても帰還できない気がする。
 それ以前にこの領地、他国になったから不法侵入になっちゃうんじゃなかろうか。
 情報改変したの女神様だから、この辺の事は人間に文句を言っても戻せないですよ。苦情は教会まで。

 その後、戻ってきたイネスが馬車を発見、トレントに亀甲縛りされている馭者を見つけて問答無用でぺかぁ、修理して馬車を使うと大興奮しています。
 僕が口を挟む隙はありませんでした。

「魔力バシバシ使って魔力過多はいい感じに納まりました! 街中も綺麗になりましたし、今は使ってない教会を皆で綺麗にしてます!」
「教会を使ってない……オイ、ちゃんと私を信仰しとけよ、そうすれば何かあった時に教会が支援してくれっからさ」
「聞いちゃいないぞ」
「二人の世界ですね、あれっていつ終わるんですか?」

 さすがに馬車から移動したけれど、今度は木陰で花嫁を膝に乗せて座り、見つめあったまま言葉を交わしています。そして周囲の状況も声も耳に入っていない模様。
 運命の出会いって盲目一直線なんだなぁ。
 女神様大好きエロ展開にならないのは、花嫁さんの体調が悪いからとかなんだろうな。
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