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第三章 世界に降りかかる受難

第519話

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 皆さん覚えていらっしゃるでしょうか、ちょっと前にお城を襲っていたドラゴンさんのことを。
 ちょっとロデオではしゃいだらお城全壊しちゃって、敵前逃亡したあの件です。

「きゃわわぁ」
「きゅぴー」

 あのドラゴンさんの卵がね、孵化したんです!
 ドラゴンママの卵は三つほどと聞いてたけれど、孵った卵はえーっと……じゅう、じゅーいち……えっといっぱい!
 ぴぃぴぃ、きゅぅきゅぅ、賑やかです。

 仕事に追い詰められている大人を見なかったことにして、子供達だけで遊びにやってまいりました。
 ぬいぐるみサイズのドラゴンの赤ちゃんがたくさんっ!!

「うおおお、俺の顔は飴じゃないぞー!」
「涼ちゃん、ドラゴンにモテモテです」
『おやつのいい匂いしてるのよ』

 エネルギー補給のためによく食べる涼玉、今日も来る前におやつのパンケーキをたっぷり食べてました。
 蜂蜜たっぷりだったし、匂い残ってるんだろうなぁ。

『涼ちゃんと同じ大きさね』
「えっちゃん、もしかして違うドラゴンの卵も盗まれていたんです?」
「キ!」

 ママさん子育て大変じゃない?
 あ、ゴブリンや他の魔物が手伝ってくれるから案外いける? 良かった。

 ゴブリン菜園は甘くて美味しい野菜がたっぷりあるので、ドラゴンの赤ちゃんもふくふく、ママさんも鱗が艶々で絶好調みたい。
 乗った事があるから分かる。ママさん一回り大きくなった。

「かあちゃ、こいつら俺に付いてくるんだけど!!」
「かわいぃねぇ」

 おやつを食べようと立ち上がり、少し離れた所で悶えているマールスのもとに行こうとした涼玉の後を、それぞれの卵の殻をかぶって付いて歩くドラゴンの赤ちゃん。
 至福の光景である。むふー。

「あのお城の人たち、たくさん誘拐したのかな?」
「イグちゃん情報だと他国で管理されている卵を盗んだみたいです」
『粛清――は終わってるから、魂回収してお仕置きよ』
「キキ!」

 涼玉と同じサイズのコロコロした赤ちゃんから、鳥さんみたいに小さいサイズの赤ちゃんまでたくさん、ここはドラゴンパラダイスなのである。
 マシュマロみたいな白くてふわふわなドラゴンもいるね、さっき撫でたら見た目ふわふわなのに感触はもっちもちでした。

「かぁちゃぁぁ」

 ドラゴンの赤ちゃんにストーキングされている涼玉が、泣きながら僕の所に戻ってきた。
 手に持っているドーナツが目当てだと思うの。

「えっちゃん、もちもち食感のドーナツ出して」
「キィ!」

 お皿に山盛りにして預かっていてもらったのを敷布の上に出したら、今度は僕の周りにドラゴンの赤ちゃんが密集しました。
 これぞハーレム、ドラゴンハーレムの完成です。

『イネス、この白ふわドラゴン……古龍種』
「みにゃ!?」
『騎士様にご相談しないと関係ない人里が滅亡しちゃう』
「みぎゃぁぁぁ!!」

 イネスが悲鳴を上げている。
 シャムスと怖い話でもしてるのかな?
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