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第三章 世界に降りかかる受難

第589話

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 久しぶりに皇帝に呼び出されました。
 小さくなっている僕を見て目玉がびょーんってなるぐらい驚いてたけど、言ってなかったっけ?

「父ちゃん、父ちゃん、ピザ食べたい」
「めーしめーし」
「休日の家族サービス求む」
「ママ俺より小さいな」
「可愛い……」

 あれかな、女神様が不在だから皇帝の仕事あれこれプラス子育ても入っちゃった?
 今まではこの元気溢れる帝国兄弟の子守りは女神様がしてたもんね、それにしてもあの人いつ帰って来るんだろうか、腐っているけど母親なのだからそろそろ帰国しなさい。

「ピザなら作ってきました。持ち込みです」
「あっちで焚火組み立てて焼こうぜ」
『焼きたてアチチを食べるのよ』

 お腹を空かせた怪獣たちに立ち向かうはシャムス、涼玉、イネスの三人衆。
 窯焼きピザではなく焚火ピザだけど、涼玉の炎なら美味しく焼けるだろうという事で昨日から量産してたら皇帝に呼ばれたのです。
 ピザパーティーに参加する気満々だった騎士様と刀雲だけど、仕事が修羅場真っ最中、部下に拉致されるように出勤していきました。大人って大変。

「うおおおお!」
「ピーザ、ピーザ!」
「海鮮ピザもあるぜ、ひゅー!」
「俺飲み物もらってくる!」
「あっ、こら走る時は前を見なさい!」

 第四皇子が相変わらずオカンのようだ。
 成長した分、苦労も増えてそうだけど。

 子供たちが一斉に移動したので、皇帝に回遊庭園の散策に誘われた。
 池を見ながら悪代官のように会話してたけど、池を泳ぐ鯉もどきを覗いてたら、頭が重くて池に落ちそうになったのをえっちゃんに助けられました。ごめん、ありがとう。

 目を離したら危ないと判断され、今は皇帝に抱っこされております。
 いやー高い目線っていいですなぁ。

「相談があったのだが……アルジュナ様と代わる事は出来ないだろうか」
「アー君、授業中なのよ。ご相談は僕までどうぞ、ショタに関する相談はシヴァさんになるの」
「正気か?」

 正気を疑われました。
 事情を話したらまた「正気か?」と同じセリフ、シヴァさんの信用ないなー。

「実は魔力過多によって魔力を暴発させ、死傷する赤子が増えている」
「むぅん?」

 最近多いね魔力過多。
 器が小さいのかなぁ?

「一昔前は魔力過多で生まれる子は稀だった。母親が子供の魔力に耐えられなかったから」
「そうなの?」
「普通はそうなんだ。神々を何人もスルッと生んでいるお前が規格外過ぎるんだ」

 この体は女神様のロマンと私情と妄想で出来ています。
 箱庭世界において女神様の妄想に勝てる存在はいないのです。嬉しくないけど。

「今は違うの?」
「教会に相談したらとりあえずひよこ豆を与えてみたらどうかと言われ、試したら教会が配布したひよこ豆を食べた母体だけが赤子を無事に生むことが出来た」
「教会で育てているひよこ豆は魔力ばーんってアー君が言ってた」

 その件について涼玉に聞いたら、朝晩耐えず捧げられる祈りを吸い取って、俺って神聖な感じでちょうカッコイイじゃん? とひよこ豆が言ってたとか何とか。中二病気味ですね。
 でもその分、いいお仕事してたみたい。

「出産も昔は命がけだったが、今はヨム様がいらっしゃる」
「にゃるほど」

 以前は生まれてくること自体が稀だった。
 けれどその問題はひよこ豆とヨムちゃんがスルッと解決、ママも元気でハッピー! とはならなかった。
 生まれてくる子供の魔力が大きすぎるのは変わりないから。

 赤ちゃんは自分じゃクリーン唱えられない、でもこの前の兄弟みたいな解決方法はシャムスに負担になる。
 さぁてどうしようかな。
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