迷宮サバイバル! 地下9999階まで生き残れ!

ねこねこ大好き

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迷いの森の脱出方法

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「大きい!」
 深い眠りから目覚めたローズは目を覚ますと口をあんぐりさせた。
「デカいだろ! かっこいいだろ! 俺の友達だ!」
 地面でくつろぐ山のように大きなオオカミの頭を撫でる。
「こいつに名前を付けたい! どんな名前が良いか、案は無いか?」
「真っ白だからシロ!」
「白いオオカミだから白尾が良いんじゃないか?」
「リリーさん、それまんまです」
「じゃあチュリップは何が良いと思うんだ?」
「ケルベロスはどうでしょうか?」
「俺の友達に物騒な名前を付けるな」
 ペシペシと頭を撫でて考える。
「ハクだ! これなら良いだろ!」
「シロが良いよ!」
「私は皆さまが良ければどうでもいいです」
「うーむ。白尾のほうが良いと思うが?」
 全然纏まらない。
「良し! お前に決めてもらおう! もちろんハクが良いよな!」
 無反応。
「シロ」
 無反応。
「白尾」
 無反応。
「まさかケルベロス?」
 無反応。
「どんな名前なら良いんだ?」
 考えるが全く良い名前が浮かばない。
「シロちゃんは?」
「シロちゃん?」
 ローズの言葉を復唱する。
「シロちゃんなら可愛いでしょ?」
 ちゃんずけしただけじゃないか? と思ったが、一応聞いてみる。
「あー。シロちゃんだってさ。どう思う?」
 耳がぴくぴく動いた!
「シロちゃんで良いのか!」
 ふしゅーとため息を吐く。
「まさかお前女の子だったのか!」
 確認するために股に潜り込む!
 後ろ足で蹴飛ばされた。受け身を取らなかったら死んでいた。
「最低」
 ローズが呟くと、皆もため息を吐く。不味い。話を替えないと。
「分かった! 今からお前はシロちゃんだ! ほらほら! お前らも歓迎してやれ!」
 皆で頭を撫でる。ローズは目をキラキラさせて、リリーはおっかなびっくりで、チュリップはため息を吐いて撫でた。
「よしよしよし! これから俺たちは友達だ! 仲良くやろうぜ!」
 シロちゃんは大きく欠伸をして答えてくれた。

 のっしのっしと歩くシロちゃんの背に乗って森を進む。
「高い!」
 ローズが膝の上で目を回す。
「私の屋敷よりも大きいな」
 リリーも上手にバランスを取りながら笑う。
「どうでもいいですけど、鞍とか無いんですか? 腕が疲れて落ちそうなんですけど?」
 チュリップは腕をプルプルさせながら必死に毛の根元に捕まる。
「シロちゃんが休憩するまで耐えてくれ」
「神よ、私を救いたまえ」

 シロちゃんの背に乗って楽しく迷いの森を見物する。そして高いところから見下ろすと、迷いの森の正体が分かった。
「これは迷うわけだ」
 森が動いているどころではない。森が大きさを変えている。例えば、俺たちがシロちゃんの背に乗る前の木々の間隔は、四人で並んで歩ける程度だった。
 ところがシロちゃんの背に乗って移動するとするすると間隔が開き、軍隊すらも行進できるほどの広さとなった。
 また木々の高さも、山のように高いシロちゃんの背に乗ると天に届くほどの高さとなっていた。
「この森はまさに、迷わせるために存在する迷宮だ」
 生物によって形を変える。迷わせるために形を変える。
「こうなると歩数の距離計算も当てにできないな」
 迷いの森は地形も変える。一歩移動したつもりが、実際は数百歩分移動している可能性がある。逆に数百歩移動しても一歩も動いていない可能性がある。
 恐ろしい場所だ。とてもではないが、俺たちでは踏破できない。
 だからこそシロちゃんは心強い味方だ! 俺たちには分からない法則を知っている!
「シロちゃんだけに頼るなよ……考えろ……」
 迷いの森を地下十一階の迷宮と同じだと考える。ふと頭にひらめきが輝いた。
「正解のルートを通らないと永遠に森から出られない?」
 迷宮は必ず出口がある。出口まで壁をぶち壊して進むようなことは無い。道なりに従って進む。
 シロちゃんが進む方向を見つめる。
「影だ! 影に向かって進めばいいんだ!」
「さっきからブツブツどうしたの?」
 ローズが膝の上で欠伸をする。
「シロちゃんの影を見てみろ。正面にあるだろ」
「うん」
「だが太陽も正面にある」
「え?」
 ローズが正面に輝く太陽と、それに逆らって伸びる影を見つめる。
「まさか、これが出口に続く道!」
「答え合わせは、シロちゃんがしてくれるさ!」
 シロちゃんの頭をわしゃわしゃ撫でる。シロちゃんは何も言わなかったが、嫌がりもしなかった。

 答えはすぐに出た。影が正面から右に移動すると、シロちゃんもそれに合わせて右に移動した。

「最高だ!」
 迷いの森で初めてガッツポーズを取った。
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