私の旦那さま(予定)

仙桜可律

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マリアは動いた

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「ヒューゴさんは、連続でお休みを取れることはありますか。もし、その可能ならば、」

マリアの家でコーヒーを飲んでいるときに言われた。
「前もって申請すれば認められる、けど
どうした?何か……」

「その、少し遠くに出掛けてみたいなと思って。タレッソ領地でお祭りがあるので、もし良かったら一緒にどうかと思って」

ああ、領地の祭り、そうか、そういうのもマリアの思い出なんだろうな。うん、見てみたい。
タレッソって確か……遠いけど無理すれば日帰りでも行けないことはないけど、え
マリアが赤くなってるってことは

そういうことーーー!?

この間、一秒。

「あ、うん。行きたい、けど日程による、かな。
いいのか?」

「はい、大丈夫です!領地の邸も客人は泊まれる余裕があります」

いやそこじゃなくて

二人ともわかっていたけど改めて言うのも気まずくて。

「……楽しみです」

「……俺も」

そのまま、マリアの肩を抱き寄せた。

ここまではいつもの感じで。手を握ったり肩を抱いたり頬や髪に軽くキスしたり。

唇へキスするのは別れ際だけ。それもヒューゴがかがんで、一瞬だけ掠めるような。

ぐっ、と肩に置いたヒューゴの手が強くなった。
「マリア……」

少し掠れた低い声で呼ばれる。
頭をヒューゴの肩に預けていたけれど、視線を少しあげるの喉元が見えた。
髪を指で払って、目が合う。
「少し、強く抱き締めてもいいか?」

頷くと、体をすっぽりと覆われて、腰の辺りに手のひらが当てられた。

熱い。
もう片方の手で首の後ろを持たれる。

そのまま、ギュッと体を寄せられる。
心臓が、もたない。

「マリア……」

耳元で囁かれる。
腰の手がさらに熱くなったように思う。

「……あ、ヒューゴさ」

「怖いか?」

ふるふる、と横に首をふると、クッと耳元で笑われた。
それだけでゾクソクする。
本当に、今まで本気を出さずに我慢してくれていたんだと思う。

「はあ、マリア、本当に……大好き」

髪を掻き分けて、うなじにキスをされる。
ぞわぞわした感じが腰の辺りに集まる。

そのまま、耳やこめかみにキスをして、まりあの正面にヒューゴの顔が戻ってきた。

「可愛い、ヤバい、俺もう無理かも」

唇に、キスをしてヒューゴは離れた。

「マリア、真っ赤」

頬をつついて、ヒューゴが両手で目を覆う。

「なんでヒューゴさんも恥ずかしがってるんですか」

「俺も赤いから」

指の隙間からチラッと目を見せて、舌をペロッと出した。

それにマリアは更に赤くなって、枕をダンダンと叩いて叫ぶのを我慢した。






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