私の旦那さま(予定)

仙冬可律

文字の大きさ
4 / 9

ヒューゴは根回しをしている

しおりを挟む
グラン商会の奥の一室。
取引先のワインの試飲も兼ねて、身内だけの食事会が行われていた。
「ヒュー、話はわかったけどお兄ちゃんは賛成できないな」

「……なんでだ?ものすごく考えて兄貴のアドバイスも全部盛り込んでただろ?」

「なんというか力み過ぎててちょっとね」

女性陣、ヒューゴの姉と義姉はキラキラとした顔で見つめている。
「え?お前たちもしかして賛成してるの?」

「いや、プロポーズのサプライズとしてはアレだけど、あのヒューがこんなに彼女のことを真剣に考えるようになったなんて!泣きそう!尊い!」

「たぶんマリアちゃんならなんでも喜んでくれそうだけど、ヒューが準備した事や照れてるのを見たら何より喜ぶと思うわ!だけどね」

ダンッ!!

と握り拳がテーブルに振り落とされた。

「マリアちゃんのために宝石を掘りにいくのは止めなさい。何年かかると思ってるの。」

「マリアに世界で一つだけの特別な石を贈りたいんだ」

「あのね、ヒューゴ。特別な人からもらったらそこらの石でも紙切れでも特別になるの」

「今が一番良い時期なんだから、離れちゃダメよ!結婚の準備が具体的に、始まったら夢を見る暇もないんだから!」

「本当に、俺でいいんだろうか」


「まだ!?」
「また!?」

姉と義姉の声が重なった。
兄は遠い目をしている。

弟はクールな見た目で怖がられることもあったが、幼い頃と変わらず内心は優しい子だ。
遠い昔、ヒューゴは女性を一夜限り弄んで捨てるという噂になったことがあった。
笑い話で身内の酒の肴にした。
マリアさんだけだ。ヒューゴが家族に話したのも会わせたのも相談するのも。

なのにまだ俺で良いのかとか生温いことを言ってて、
「いやあ、お兄ちゃん酒が進んじゃうなあ」

ガバガバ手酌で注いでいる。
「タレッソ家に挨拶に行くときには手土産を用意するから、お兄ちゃんにまかせなさい」






しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

疑惑のタッセル

翠月 瑠々奈
恋愛
今、未婚の貴族の令嬢・令息の中で、王国の騎士たちにタッセルを渡すことが流行っていた。 目当ての相手に渡すタッセル。「房飾り」とも呼ばれ、糸や紐を束ねて作られた装飾品。様々な色やデザインで形作られている。 それは、騎士団炎の隊の隊長であるフリージアの剣にもついていた。 でもそれは──?

ストーカーはもうしません!

エヌ
恋愛
ス、トー...カー? 自分の行為がストーカーかもしれないと気づき自重する令嬢と無表情無反応されるがままとみせかけたヤンデレ令息のお話。

安らかにお眠りください

くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。 ※突然残酷な描写が入ります。 ※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。 ※小説家になろう様へも投稿しています。

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

地味令嬢、婚約者(偽)をレンタルする

志熊みゅう
恋愛
 伯爵令嬢ルチアには、最悪な婚約者がいる。親同士の都合で決められたその相手は、幼なじみのファウスト。子どもの頃は仲良しだったのに、今では顔を合わせれば喧嘩ばかり。しかも初顔合わせで「学園では話しかけるな」と言い放たれる始末。  貴族令嬢として意地とプライドを守るため、ルチアは“婚約者”をレンタルすることに。白羽の矢を立てたのは、真面目で優秀なはとこのバルド。すると喧嘩ばっかりだったファウストの様子がおかしい!?  すれ違いから始まる逆転ラブコメ。

断罪された薔薇の話

倉真朔
恋愛
悪名高きロザリンドの断罪後、奇妙な病気にかかってしまった第二王子のルカ。そんなこと知るよしもなく、皇太子カイルと彼の婚約者のマーガレットはルカに元気になってもらおうと奮闘する。  ルカの切ない想いを誰が受け止めてくれるだろうか。  とても切ない物語です。  この作品は、カクヨム、小説家になろうにも掲載中。   

幸せになれると思っていた

里見知美
恋愛
18歳になったら結婚しよう、と約束をしていたのに。 ある事故から目を覚ますと、誰もが私をいないものとして扱った。

【完結】リゼットスティアの王妃様

通木遼平
恋愛
 リゼットスティアという美しく豊かな国があった。その国を治める国王も美しいと評判で、隣国の王女フィロメナは一度でいいから彼に会ってみたいと思い、兄である王子についてリゼットスティアに赴く。  フィロメナはなんとか国王にアピールしようとするが国王にはすでに強引に婚姻に至ったと噂の王妃がいた。国王はフィロメナに王妃との出会いを話して聞かせる。 ※他のサイトにも掲載しています

処理中です...