私の旦那さま(予定)

仙桜可律

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ヒューゴは根回しをしている

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グラン商会の奥の一室。
取引先のワインの試飲も兼ねて、身内だけの食事会が行われていた。
「ヒュー、話はわかったけどお兄ちゃんは賛成できないな」

「……なんでだ?ものすごく考えて兄貴のアドバイスも全部盛り込んでただろ?」

「なんというか力み過ぎててちょっとね」

女性陣、ヒューゴの姉と義姉はキラキラとした顔で見つめている。
「え?お前たちもしかして賛成してるの?」

「いや、プロポーズのサプライズとしてはアレだけど、あのヒューがこんなに彼女のことを真剣に考えるようになったなんて!泣きそう!尊い!」

「たぶんマリアちゃんならなんでも喜んでくれそうだけど、ヒューが準備した事や照れてるのを見たら何より喜ぶと思うわ!だけどね」

ダンッ!!

と握り拳がテーブルに振り落とされた。

「マリアちゃんのために宝石を掘りにいくのは止めなさい。何年かかると思ってるの。」

「マリアに世界で一つだけの特別な石を贈りたいんだ」

「あのね、ヒューゴ。特別な人からもらったらそこらの石でも紙切れでも特別になるの」

「今が一番良い時期なんだから、離れちゃダメよ!結婚の準備が具体的に、始まったら夢を見る暇もないんだから!」

「本当に、俺でいいんだろうか」


「まだ!?」
「また!?」

姉と義姉の声が重なった。
兄は遠い目をしている。

弟はクールな見た目で怖がられることもあったが、幼い頃と変わらず内心は優しい子だ。
遠い昔、ヒューゴは女性を一夜限り弄んで捨てるという噂になったことがあった。
笑い話で身内の酒の肴にした。
マリアさんだけだ。ヒューゴが家族に話したのも会わせたのも相談するのも。

なのにまだ俺で良いのかとか生温いことを言ってて、
「いやあ、お兄ちゃん酒が進んじゃうなあ」

ガバガバ手酌で注いでいる。
「タレッソ家に挨拶に行くときには手土産を用意するから、お兄ちゃんにまかせなさい」






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