【完結】「政略結婚ですのでお構いなく!」

仙冬可律

文字の大きさ
2 / 12

庭園

しおりを挟む
庭園に入って、他の方から見えなくなってすぐに頭を下げた。

「アラン様、先程は申し訳ありませんでした」

「いえ。私こそ早く名乗ってあなたをエスコートしようと思ったのですが……ご存知だと思いますが、こういった場は苦手でして。あの場には従兄弟がいたのですが、そいつらの方が令嬢と話せるのです」

「ああ、いらっしゃいましたね。」

「……ミランダ嬢、もしあの二人がよければまだ婚約者が居ないのであなたの相手に」

「それは困ります。アラン様が私で問題ないと思われるのであれば、このまま進めていただきたいです」

「しかし、あいつらを知ったらもっと気が合うかもしれないし」

「先程と同じようなことをおっしゃいますのね。アラン様は結婚相手に求める条件などあれば教えてください。
可能ならば、努力したいと思います。ただ、私はシューゼル家の者としては学力が……」

「いえ、私はそんなことは気にしません。ただ、うちは武官で気性の荒い者も多いのでミランダ嬢が苦労なさるのでは、と。」

「なんだか謝ってばかりですね、私たち。」
花を見ながら話す

「……たとえば、美しい花をみて普通の令嬢ならば色や形を見て愛でると思います。
香りの好きな方や、刺繍の得意な方ならじっくり見るかもしれません。私や妹は、花の名前や属、特色など本で得た知識が先に浮かびます。色気がなくつまらないでしょう」

「そうですか?
特色ということは、毒とか、食用に向いているかという知識も持っているということだろうか」

「そうですね」

「素晴らしい。我々は野営をするので助かる。それに、子供にも知識を教えてくれれば命が助かります。領地でも年に何度かは子どもや若い兵士が野草を口にして重体になるし……」

ミランダは笑ってしまった。アランが真面目に言っているのがわかったから。

「私こそ、令嬢に気の利いたたことが何一つ言えない」

叱られた大型犬みたいだわ

「もし良かったらお手紙を書いても良いでしょうか」

そう言うとアランはブンブンと首をふった

「ご迷惑でしょうか」

「迷惑というのではなく、返事が。私は文章が上手くないし字も下手なので」

「構いません」

「でも、フランツ君の妹さんに文章を見せるなんて」

「兄をご存知なのですか?」

「直接話したことはないのですが……友人が大変お世話になり……」

ひ弱な兄がアラン様のお友だちの役にたつことがあるのかしら
良く聞いてみると、学園時代にラブレターや詩の代作やデートのセリフを考えていたらしい。
そういえば学園から帰省するたびに有名なお菓子を買ってきてくれたりしていた。
「いい小遣い稼ぎが見つかった」
と話していたけど……。
「兄がそんなことをしていたとは」

「俺の友人も体を鍛練することしか興味のない奴らだから、令嬢にどうアプローチしていいかわからなかったんだ。交際が始まってからは代作を打ち明けていたらしい。初めのきっかけを助けてもらった者が多い。」

「令嬢を騙していたのは許せませんが……。」

「武術の鍛練も初めは師匠の真似からだ。」

「そういうものですか……」

「それなのにフランツ君の妹さんに文を書くだなんて、いきなり師範代に稽古を頼むようなものだよ!おそれ多い」

「……それでは、アラン様は他の方で練習してから私に文をくださるのですか?上達された口説き文句を私が喜ぶと思っているのですか?採点でもするとおっしゃるの?」

「すまない、そうだな。下手でも、正直に返事を書くよう努力する」
「それに兄と比べられるのが嫌だということならアラン様は私がいいと思いますよ。世界で一番、兄からラブレターをもらう可能性がありません。」

そう言っていたずらっぽく笑うミランダに、アランは見とれた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様

オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。

【完結】何回も告白されて断っていますが、(周りが応援?) 私婚約者がいますの。

BBやっこ
恋愛
ある日、学園のカフェでのんびりお茶と本を読みながら過ごしていると。 男性が近づいてきました。突然、私にプロポーズしてくる知らない男。 いえ、知った顔ではありました。学園の制服を着ています。 私はドレスですが、同級生の平民でした。 困ります。

王子に買われた妹と隣国に売られた私

京月
恋愛
スペード王国の公爵家の娘であるリリア・ジョーカーは三歳下の妹ユリ・ジョーカーと私の婚約者であり幼馴染でもあるサリウス・スペードといつも一緒に遊んでいた。 サリウスはリリアに好意があり大きくなったらリリアと結婚すると言っており、ユリもいつも姉さま大好きとリリアを慕っていた。 リリアが十八歳になったある日スペード王国で反乱がおきその首謀者として父と母が処刑されてしまう。姉妹は王様のいる玉座の間で手を後ろに縛られたまま床に頭をつけ王様からそして処刑を言い渡された。 それに異議を唱えながら玉座の間に入って来たのはサリウスだった。 サリウスは王様に向かい上奏する。 「父上、どうか"ユリ・ジョーカー"の処刑を取りやめにし俺に身柄をくださいませんか」 リリアはユリが不敵に笑っているのが見えた。

(完結)無能なふりを強要された公爵令嬢の私、その訳は?(全3話)

青空一夏
恋愛
私は公爵家の長女で幼い頃から優秀だった。けれどもお母様はそんな私をいつも窘めた。 「いいですか? フローレンス。男性より優れたところを見せてはなりませんよ。女性は一歩、いいえ三歩後ろを下がって男性の背中を見て歩きなさい」 ですって!! そんなのこれからの時代にはそぐわないと思う。だから、お母様のおっしゃることは貴族学園では無視していた。そうしたら家柄と才覚を見込まれて王太子妃になることに決まってしまい・・・・・・ これは、男勝りの公爵令嬢が、愚か者と有名な王太子と愛?を育む話です。(多分、あまり甘々ではない) 前編・中編・後編の3話。お話の長さは均一ではありません。異世界のお話で、言葉遣いやところどころ現代的部分あり。コメディー調。

【短編】将来の王太子妃が婚約破棄をされました。宣言した相手は聖女と王太子。あれ何やら二人の様子がおかしい……

しろねこ。
恋愛
「婚約破棄させてもらうわね!」 そう言われたのは銀髪青眼のすらりとした美女だ。 魔法が使えないものの、王太子妃教育も受けている彼女だが、その言葉をうけて見に見えて顔色が悪くなった。 「アリス様、冗談は止してください」 震える声でそう言うも、アリスの呼びかけで場が一変する。 「冗談ではありません、エリック様ぁ」 甘えた声を出し呼んだのは、この国の王太子だ。 彼もまた同様に婚約破棄を謳い、皆の前で発表する。 「王太子と聖女が結婚するのは当然だろ?」 この国の伝承で、建国の際に王太子の手助けをした聖女は平民の出でありながら王太子と結婚をし、後の王妃となっている。 聖女は治癒と癒やしの魔法を持ち、他にも魔物を退けられる力があるという。 魔法を使えないレナンとは大違いだ。 それ故に聖女と認められたアリスは、王太子であるエリックの妻になる! というのだが…… 「これは何の余興でしょう? エリック様に似ている方まで用意して」 そう言うレナンの顔色はかなり悪い。 この状況をまともに受け止めたくないようだ。 そんな彼女を支えるようにして控えていた護衛騎士は寄り添った。 彼女の気持ちまでも守るかのように。 ハピエン、ご都合主義、両思いが大好きです。 同名キャラで様々な話を書いています。 話により立場や家名が変わりますが、基本の性格は変わりません。 お気に入りのキャラ達の、色々なシチュエーションの話がみたくてこのような形式で書いています。 中編くらいで前後の模様を書けたら書きたいです(^^) カクヨムさんでも掲載中。

あなたに嘘を一つ、つきました

小蝶
恋愛
 ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…  最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ

とある侯爵令息の婚約と結婚

ふじよし
恋愛
 ノーリッシュ侯爵の令息ダニエルはリグリー伯爵の令嬢アイリスと婚約していた。けれど彼は婚約から半年、アイリスの義妹カレンと婚約することに。社交界では格好の噂になっている。  今回のノーリッシュ侯爵とリグリー伯爵の縁を結ぶための結婚だった。政略としては婚約者が姉妹で入れ替わることに問題はないだろうけれど……

公爵令嬢は結婚前日に親友を捨てた男を許せない

有川カナデ
恋愛
シェーラ国公爵令嬢であるエルヴィーラは、隣国の親友であるフェリシアナの結婚式にやってきた。だけれどエルヴィーラが見たのは、恋人に捨てられ酷く傷ついた友の姿で。彼女を捨てたという恋人の話を聞き、エルヴィーラの脳裏にある出来事の思い出が浮かぶ。 魅了魔法は、かけた側だけでなくかけられた側にも責任があった。 「お兄様がお義姉様との婚約を破棄しようとしたのでぶっ飛ばそうとしたらそもそもお兄様はお義姉様にべた惚れでした。」に出てくるエルヴィーラのお話。

処理中です...