魔術師の先輩が言うことには

仙桜可律

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「鍵預けていいか」

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鍵を先輩が投げた。

受け取るしかないじゃない。
「俺が鍵を失くしたら困るからアリス預かってて」

「先輩、困ります。こんな大事なもの」

「大事だからだよ、ほとんど家には帰らずに職場で寝泊まりしてるんだけど、たまに何か取りに帰るとかそんな程度。生活感もないからアリスが入っても平気だよ」

「勝手に入りませんよ」

付き合っていても合鍵を渡すなんて、かなり長く付き合ってからだと友人が話していた。

もちろん、付き合っていないから比べられないけど
信用されているんだろうな。

ヒューイ先輩が鍵を失くすことなんて無いだろうけど嬉しい。
家に飾りたいくらい。

それからしばらくして、私の住んでいるアパートに空き巣が入った。違う部屋が荒らされていたそうで、私に被害はなかった。
それでも犯人と鉢合わせするのも怖いし、帰るのが怖くなった。

「引っ越したら」

先輩が簡単に言う。
「そんなわけには」

「俺のとこの一階上が空いてるから来れば?」

「先輩のところって家賃高そうですよね」

「うーん、まあそれなりに。誰かとシェアすれば。魔術師の女の子を紹介しようか?」

魔術師は遠征や夜勤などもあるので、家賃を払うのがもったいないと感じる人も多いらしい。

紹介されたエリーはとてもいい人で、ルームシェアすることになった。
共用部分の掃除をアリスがするといえば、掃除が苦手なエリーは喜んで、少し多めに家賃を払ってくれるようになった。


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