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第1章 悪役令嬢は目立ちたくない
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次に私が目が覚めたのは、寮の自室のベッドルームだった。まだ涼しい頃に湖に落ちたせいだろう、風邪をひいてしまったのだ。
私は、1週間学校を休んだ。
眠っていて会えなかったのだが、熱があった間、ミリア達や、リリー、クリフやノエルもお見舞いに来てくれたらしい。兄のクラークは、私にそのような友達が出来ていたことに驚き、感動し、そして喜んでくれた。
4日目の日曜日の朝には熱は下がり、月曜日に学校に行こうとしたのだが、過保護な兄や使用人達に反対され、寮のリビングで自習する事になった。
勉強しながら、なんとなくピクニックの時の事を思い返していた。
(「ドキドキハプニングピクニック」のイベント・・・ヒロインの為のものなのに、なんで、私が湖に落ちるのよ・・・。)
ピクニックで湖に落ちた時、どうやら私は婚約者のディーンに助けられたらしい。私とリリーが、あのいけ好かない女生徒達と言い争っていた時、どうやらディーンとパーシヴァルもボートに乗って、私達を(というかリリーを)追いかけてきていたらしいのだ。
(なんてしつこい!そんなに、リリーが心配なのかしら?やっぱり私がまだ意地悪すると思っているのね・・・こわっ。)
不覚にも気を失った私を、ディーンが岸についてからも運んでくれたらしい。これはリリーが兄に伝えてくれたことだ。
「あ~あ、もう!ディーンには絶対近づきたくなかったのに・・・。」
そしてそれだけではない。
(私は目立った。絶対目立ってしまった。)
「勉強以外では目立たないって、決めてたのに・・・。」
私が小声でぶつぶつ言っていると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「誰かしら?」
そういえば、もう学校の授業が終わっている時間だ。
「アリアナ様、ご友人がお見舞いにいらっしゃいましたが、いかがいたしますか?」
メイドのマリアがそう聞いてきたので
「ありがとう、こちらにお通しして頂戴。」
そう言って、私は勉強道具を机の上から片付け始めた。
「アリアナ様、お加減はいかがですか?」
「もう、起きられても大丈夫なのですか?」
そう言いながら、ミリア、ジョージア、レティシア、そしてリリーが入ってきた。
「皆様、ありがとう!もうすっかり熱は下がりました。お兄様が心配して学校に行かせてもらえないだけなのです。」
「あまり、無理はなさらない方が良いですわ。もうすぐ中間テストが始まりますし、ちゃんと養生なされた方が良いですわ。」
ミリアの声に、皆うんうんとうなづいている。
「でも、学校に行けないと授業に遅れてしまいそうで・・・、わたくしは只でさえ、1カ月遅れで入学していますもの。これ以上、休みたくはないのです。」
「あら、アリアナ様なら絶対大丈夫ですわ!」
ジョージアが勢いよくそう言うと、
「そうそう、授業中の先生の質問に、答えられなかったことが無いじゃないですか。」
レティシアも、優雅に笑いながらそう言う。
この二人ってタイプが全く違ってて対照的だけど、気が合うみたいで仲がいい。そして、二人を上手くまとめているのがミリアだ。
(ミリアは社会人になったら、良い上司になりそうなタイプだよな~。)
そんな事を考えてたら、
「アリアナ様は、頭も良いんですね。」
と、リリーが感心したように言うので、慌ててしまった。
「頭が良いわけではないですよ。ガリ勉しているだけなのです。それに・・・『頭も』って言い方はおかしいですよ。他に取り柄が無いですもの。」
「「「「何を仰るんですか!?」」」」
4人の声が勢い良く、きっちり揃ったので、思わずのけ反ってしまう。
「アリアナ様はお可愛らしいです!」
「そう!、それにお優しいですし!」
「しかも努力家で!」
「公爵令嬢様なのに、まったく偉ぶったところなくて!」
ミリア、ジョージア、レティシア、リリーが身を乗り出して、食い気味でそう言うので、ますますのけ反ってしまった。
「あ、ありがとう・・・皆様」
皆の目ががぎらぎらしてて、ちょっと怖い・・・。話を変えよう。
「そ、そうそう、先ほど仰ってた、中間テスト!」
この学校は2学期制で、4回のテストの結果と実技の成績で2年のクラスが決まる。
「もう、あと10日後ですよね。どんな問題が出るのでしょう?」
そう言った私にミリアが、
「ほとんどの先生は、例年とさほど変わらない問題らしいですよ。アリアナ様はクラーク様がいらっしゃるから、去年の過去問はお持ちですよね?」
(過去問!?)
「い、いいえ!持っていないです。お兄様に聞いてみないと。」
「きっと、クラーク様なら、アリアナ様の為に保存していると思いますよ。でも・・・、もし宜しければ、アリアナ様、私達とご一緒に勉強しませんか?私は兄弟が多いので、兄や姉から過去問をたくさん貰ってるので。」
おお!友達と一緒に勉強!憧れの学園ライフだわ。
「良いのですか!?助かります!ありがとうございます。」
「いえいえ、アリアナ様と一緒に勉強できれば、私達も色々教えて頂けますし嬉しいですわ。・・・それから、その・・・。」
ミリアはちょっとためらいながら、
「その・・・宜しければ、リリーさんも一緒に勉強しませんか?」
「えっ!?私も?」
「ええ、お嫌かしら・・・?」
「い、いいえ!嬉しいです!宜しくお願いします。」
リリーも、ミリアも頬をうっすら紅潮させている。
ふふっ、良かった。なんだか、皆友達になれたみたいで。
私は、1週間学校を休んだ。
眠っていて会えなかったのだが、熱があった間、ミリア達や、リリー、クリフやノエルもお見舞いに来てくれたらしい。兄のクラークは、私にそのような友達が出来ていたことに驚き、感動し、そして喜んでくれた。
4日目の日曜日の朝には熱は下がり、月曜日に学校に行こうとしたのだが、過保護な兄や使用人達に反対され、寮のリビングで自習する事になった。
勉強しながら、なんとなくピクニックの時の事を思い返していた。
(「ドキドキハプニングピクニック」のイベント・・・ヒロインの為のものなのに、なんで、私が湖に落ちるのよ・・・。)
ピクニックで湖に落ちた時、どうやら私は婚約者のディーンに助けられたらしい。私とリリーが、あのいけ好かない女生徒達と言い争っていた時、どうやらディーンとパーシヴァルもボートに乗って、私達を(というかリリーを)追いかけてきていたらしいのだ。
(なんてしつこい!そんなに、リリーが心配なのかしら?やっぱり私がまだ意地悪すると思っているのね・・・こわっ。)
不覚にも気を失った私を、ディーンが岸についてからも運んでくれたらしい。これはリリーが兄に伝えてくれたことだ。
「あ~あ、もう!ディーンには絶対近づきたくなかったのに・・・。」
そしてそれだけではない。
(私は目立った。絶対目立ってしまった。)
「勉強以外では目立たないって、決めてたのに・・・。」
私が小声でぶつぶつ言っていると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「誰かしら?」
そういえば、もう学校の授業が終わっている時間だ。
「アリアナ様、ご友人がお見舞いにいらっしゃいましたが、いかがいたしますか?」
メイドのマリアがそう聞いてきたので
「ありがとう、こちらにお通しして頂戴。」
そう言って、私は勉強道具を机の上から片付け始めた。
「アリアナ様、お加減はいかがですか?」
「もう、起きられても大丈夫なのですか?」
そう言いながら、ミリア、ジョージア、レティシア、そしてリリーが入ってきた。
「皆様、ありがとう!もうすっかり熱は下がりました。お兄様が心配して学校に行かせてもらえないだけなのです。」
「あまり、無理はなさらない方が良いですわ。もうすぐ中間テストが始まりますし、ちゃんと養生なされた方が良いですわ。」
ミリアの声に、皆うんうんとうなづいている。
「でも、学校に行けないと授業に遅れてしまいそうで・・・、わたくしは只でさえ、1カ月遅れで入学していますもの。これ以上、休みたくはないのです。」
「あら、アリアナ様なら絶対大丈夫ですわ!」
ジョージアが勢いよくそう言うと、
「そうそう、授業中の先生の質問に、答えられなかったことが無いじゃないですか。」
レティシアも、優雅に笑いながらそう言う。
この二人ってタイプが全く違ってて対照的だけど、気が合うみたいで仲がいい。そして、二人を上手くまとめているのがミリアだ。
(ミリアは社会人になったら、良い上司になりそうなタイプだよな~。)
そんな事を考えてたら、
「アリアナ様は、頭も良いんですね。」
と、リリーが感心したように言うので、慌ててしまった。
「頭が良いわけではないですよ。ガリ勉しているだけなのです。それに・・・『頭も』って言い方はおかしいですよ。他に取り柄が無いですもの。」
「「「「何を仰るんですか!?」」」」
4人の声が勢い良く、きっちり揃ったので、思わずのけ反ってしまう。
「アリアナ様はお可愛らしいです!」
「そう!、それにお優しいですし!」
「しかも努力家で!」
「公爵令嬢様なのに、まったく偉ぶったところなくて!」
ミリア、ジョージア、レティシア、リリーが身を乗り出して、食い気味でそう言うので、ますますのけ反ってしまった。
「あ、ありがとう・・・皆様」
皆の目ががぎらぎらしてて、ちょっと怖い・・・。話を変えよう。
「そ、そうそう、先ほど仰ってた、中間テスト!」
この学校は2学期制で、4回のテストの結果と実技の成績で2年のクラスが決まる。
「もう、あと10日後ですよね。どんな問題が出るのでしょう?」
そう言った私にミリアが、
「ほとんどの先生は、例年とさほど変わらない問題らしいですよ。アリアナ様はクラーク様がいらっしゃるから、去年の過去問はお持ちですよね?」
(過去問!?)
「い、いいえ!持っていないです。お兄様に聞いてみないと。」
「きっと、クラーク様なら、アリアナ様の為に保存していると思いますよ。でも・・・、もし宜しければ、アリアナ様、私達とご一緒に勉強しませんか?私は兄弟が多いので、兄や姉から過去問をたくさん貰ってるので。」
おお!友達と一緒に勉強!憧れの学園ライフだわ。
「良いのですか!?助かります!ありがとうございます。」
「いえいえ、アリアナ様と一緒に勉強できれば、私達も色々教えて頂けますし嬉しいですわ。・・・それから、その・・・。」
ミリアはちょっとためらいながら、
「その・・・宜しければ、リリーさんも一緒に勉強しませんか?」
「えっ!?私も?」
「ええ、お嫌かしら・・・?」
「い、いいえ!嬉しいです!宜しくお願いします。」
リリーも、ミリアも頬をうっすら紅潮させている。
ふふっ、良かった。なんだか、皆友達になれたみたいで。
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