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最終章 悪役令嬢は・・・
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早朝のダイナスの港には3隻の大型船が停泊していた。
「行先を調べてくる」
ディーンがそう言って、船着き場の方へと向かう。
「気を付けてください」
私とグローシアは港の倉庫の横で身を潜めていた。
(絶対にジョー達を見つけるんだ)
数時間前、真夜中に船でダイナスに着いた私達は、倉庫の事務所に潜り込んで朝を待った。
(最近、やたらと不法侵入してるなぁ・・・)
少々良心が痛んだが、背に腹はである。
驚いたのはあの真面目でお堅いディーンが、泥棒まがいの事をしているのに思いのほか堂々としている事だ。
ゲームの設定からするとあり得ない!
(真面目で正義感が強いって人が、2回も鍵を壊してるって凄くないか?)
躊躇がなさ過ぎて、逆に私の方が心配になってるぐらいだ。
(ディーンも変わったなぁ・・・)
でも、出会った頃の彼よりもずっとカッコいい・・・。
数分後、ディーンは難しい顔をして戻ってきた。
「昨日のうちに出発した船は無いそうだ。もしジョー達が国外に行こうとしているなら、この3隻のどれかに乗り込んでいる可能性は高い。2隻はかなり遠方の国に行く船だった。到着するのに1カ月はかかる距離だ。残る1隻は隣国のセルナク行き。最近セルナクとは緊張状態が続いているから、この船を最後にしばらくセルナク行きは無くなるそうだが・・・」
「出航は何時頃なのでしょう?」
「遠方国行きは両方とも今日の朝のうち。セルナク行きも昼前には出発すると聞いた」
(セルナク・・・エメラインの国)
「どうする?。あまり時間が無いが・・・」
ディーンの声音にも焦りが混じる。私は少しの間考えてから決心した。
「セルナク行きに乗り込んで二人を探しましょう」
「だが、遠方国行きの方が先に出る。そっちに乗ってたらどうする?」
心配そうに聞くディーンに私は首を振った。
「いいえ、闇の組織はセルナクと関わっています。トラヴィス殿下の暗殺を闇の組織に依頼したのはセルナクだと思うので・・・」
「エメライン王女の事で?」
私は頷いた。
「今のセルナク国ならアンファエルン皇国に仇なす為に、闇の組織と手を組んでもおかしく無いです。モーガン先生が闇の組織の幹部だとしたら喜んで匿うでしょう」
「分かった。ではセルナク行きの船に潜入しよう。グローシア頼めるか?」
「承知しました」
グローシアが姿と気配を隠す魔術を発動させる。そして私がグローシアの魔力をサポートする事で私達三人に魔術が施された。
「行きましょう」
声をひそめて、私達は三人ひとかたまりになって、こっそりと船の中に乗り込んだ。
(思ったよりも結構大きい・・・)
隣国とは言え、外国行きの船はかなり大きい。もしジョー達が船内の個室に入っていたら、探すのに時間がかかりそうだ。
(まずいな・・・出航までに探せるかな?)
だけどその心配は杞憂に終わった。
何故なら甲板の上を周りを見ながら歩いていたら、難なく船長らしき男性と話ているモーガン先生、そして先生に付き従う様に片膝をついているジョーとケイシーを見つけたからだ。
(な・・・何アレ!?。まるでお付きの家来じゃん!)
私達は声を出さない様にして慎重に彼らの元に近づいた。
船長とモーガン先生の話す声が聞こえる。
「サグレメッサ殿、相変わらず凄い精神魔術ですな。この二人は皇国の貴族の子供でしょう?セルナクに連れて行くのですか?」
「ええ、そこそこの人質にはなってくれそうだからね。本当はもう少しアンファエルン学園に残って皇国を荒らしたかったのだけど、リーツがへまをしたわ」
モーガン先生は妖艶に笑った。
(リーツ?。リーツって・・・もしかして黒フード!?。あいつ、そんな名前だったんだ。・・・それにしてもこの船の船長、モーガン先生とぐるなの?)
「だけど、多くの学園の生徒達を精神魔術下において来たんでしょ?」
「ええ、気付かれないようにね。半数の生徒は時が来れば皇国を攻撃するようになるわ。時限爆弾のようにね」
(は、はぁ!?。何それ、どう言う事!?)
私達は顔を見合わせた。ディーンもグローシアも戸惑っている。
「それだけじゃ無くてよ。学園の教師達。省庁の職員。それに入院していた病院の職員や医師達もね・・・ふふふ。リーツもあちこちで精神魔術をかけているはずだから、数はもっと増えるわ。そして起爆剤はセルナクのアンファエルン皇国への宣戦布告。皇国の中には我知らず、国を裏切る者が多発すると言う仕掛けよ」
サーっと血の気が引く思いだった。
セルナクはやっぱり皇国に戦争をしかけようとしている。そしてモーガン先生と黒フード・・・リーツと言う男を使って、とんでもない罠を仕掛けようとしてるのだ。
「行先を調べてくる」
ディーンがそう言って、船着き場の方へと向かう。
「気を付けてください」
私とグローシアは港の倉庫の横で身を潜めていた。
(絶対にジョー達を見つけるんだ)
数時間前、真夜中に船でダイナスに着いた私達は、倉庫の事務所に潜り込んで朝を待った。
(最近、やたらと不法侵入してるなぁ・・・)
少々良心が痛んだが、背に腹はである。
驚いたのはあの真面目でお堅いディーンが、泥棒まがいの事をしているのに思いのほか堂々としている事だ。
ゲームの設定からするとあり得ない!
(真面目で正義感が強いって人が、2回も鍵を壊してるって凄くないか?)
躊躇がなさ過ぎて、逆に私の方が心配になってるぐらいだ。
(ディーンも変わったなぁ・・・)
でも、出会った頃の彼よりもずっとカッコいい・・・。
数分後、ディーンは難しい顔をして戻ってきた。
「昨日のうちに出発した船は無いそうだ。もしジョー達が国外に行こうとしているなら、この3隻のどれかに乗り込んでいる可能性は高い。2隻はかなり遠方の国に行く船だった。到着するのに1カ月はかかる距離だ。残る1隻は隣国のセルナク行き。最近セルナクとは緊張状態が続いているから、この船を最後にしばらくセルナク行きは無くなるそうだが・・・」
「出航は何時頃なのでしょう?」
「遠方国行きは両方とも今日の朝のうち。セルナク行きも昼前には出発すると聞いた」
(セルナク・・・エメラインの国)
「どうする?。あまり時間が無いが・・・」
ディーンの声音にも焦りが混じる。私は少しの間考えてから決心した。
「セルナク行きに乗り込んで二人を探しましょう」
「だが、遠方国行きの方が先に出る。そっちに乗ってたらどうする?」
心配そうに聞くディーンに私は首を振った。
「いいえ、闇の組織はセルナクと関わっています。トラヴィス殿下の暗殺を闇の組織に依頼したのはセルナクだと思うので・・・」
「エメライン王女の事で?」
私は頷いた。
「今のセルナク国ならアンファエルン皇国に仇なす為に、闇の組織と手を組んでもおかしく無いです。モーガン先生が闇の組織の幹部だとしたら喜んで匿うでしょう」
「分かった。ではセルナク行きの船に潜入しよう。グローシア頼めるか?」
「承知しました」
グローシアが姿と気配を隠す魔術を発動させる。そして私がグローシアの魔力をサポートする事で私達三人に魔術が施された。
「行きましょう」
声をひそめて、私達は三人ひとかたまりになって、こっそりと船の中に乗り込んだ。
(思ったよりも結構大きい・・・)
隣国とは言え、外国行きの船はかなり大きい。もしジョー達が船内の個室に入っていたら、探すのに時間がかかりそうだ。
(まずいな・・・出航までに探せるかな?)
だけどその心配は杞憂に終わった。
何故なら甲板の上を周りを見ながら歩いていたら、難なく船長らしき男性と話ているモーガン先生、そして先生に付き従う様に片膝をついているジョーとケイシーを見つけたからだ。
(な・・・何アレ!?。まるでお付きの家来じゃん!)
私達は声を出さない様にして慎重に彼らの元に近づいた。
船長とモーガン先生の話す声が聞こえる。
「サグレメッサ殿、相変わらず凄い精神魔術ですな。この二人は皇国の貴族の子供でしょう?セルナクに連れて行くのですか?」
「ええ、そこそこの人質にはなってくれそうだからね。本当はもう少しアンファエルン学園に残って皇国を荒らしたかったのだけど、リーツがへまをしたわ」
モーガン先生は妖艶に笑った。
(リーツ?。リーツって・・・もしかして黒フード!?。あいつ、そんな名前だったんだ。・・・それにしてもこの船の船長、モーガン先生とぐるなの?)
「だけど、多くの学園の生徒達を精神魔術下において来たんでしょ?」
「ええ、気付かれないようにね。半数の生徒は時が来れば皇国を攻撃するようになるわ。時限爆弾のようにね」
(は、はぁ!?。何それ、どう言う事!?)
私達は顔を見合わせた。ディーンもグローシアも戸惑っている。
「それだけじゃ無くてよ。学園の教師達。省庁の職員。それに入院していた病院の職員や医師達もね・・・ふふふ。リーツもあちこちで精神魔術をかけているはずだから、数はもっと増えるわ。そして起爆剤はセルナクのアンファエルン皇国への宣戦布告。皇国の中には我知らず、国を裏切る者が多発すると言う仕掛けよ」
サーっと血の気が引く思いだった。
セルナクはやっぱり皇国に戦争をしかけようとしている。そしてモーガン先生と黒フード・・・リーツと言う男を使って、とんでもない罠を仕掛けようとしてるのだ。
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