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1.マルガリータはもう飲めない
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「目を、目をあけてくれ!マルガリータ!」
遠くで男の人の声がする。
(マルガリータ?マルガリータ…)
そうよ、昨日は飲みすぎた。
彼が別れたいって言ってきて。
私の後輩と付き合い始めて、私は振られたんだった。
それで、自棄酒。
カクテルなんか知らないから、知ってる名前で選んだの。
『マルガリータ』
白くて、キレイで、塩の味が私の涙のようだったわ。
何杯飲んだのかも分からないわ。
ただ、今は、頭が割れるように痛いの。
大きな声を出さないで。
「あ…頭が割れるように痛いわ…」
「マルガリータ!」
「お嬢様!」
お嬢様って、誰のこと?
私はもう29歳なのよ。
30歳までに結婚したかった。
結婚資金を貯める為に「今は節約したい」だなんて。
デートもプレゼントも何もなかったの。
けれど、彼の言葉を信じていたの。
いつも私の家に来て、私の作った料理を食べて、私が契約しているサブスクの動画を観て。
それだけ。
腕時計が欲しいって、誕生日にねだられて、ボーナスのほとんどを使った。
ありがとう。お前は何が欲しい?考えておいて、なんて言われて、舞い上がってたな。
初めてのプレゼント。
でも、誕生日の前に捨てられた。
そうか…振られたんじゃない。捨てられたんだ。
「お嬢様!目を覚まして下さいませ!」
「マルガリータ!目をあけてくれ!」
「…マルガリータはもう飲めないわ…」
遠くで男の人の声がする。
(マルガリータ?マルガリータ…)
そうよ、昨日は飲みすぎた。
彼が別れたいって言ってきて。
私の後輩と付き合い始めて、私は振られたんだった。
それで、自棄酒。
カクテルなんか知らないから、知ってる名前で選んだの。
『マルガリータ』
白くて、キレイで、塩の味が私の涙のようだったわ。
何杯飲んだのかも分からないわ。
ただ、今は、頭が割れるように痛いの。
大きな声を出さないで。
「あ…頭が割れるように痛いわ…」
「マルガリータ!」
「お嬢様!」
お嬢様って、誰のこと?
私はもう29歳なのよ。
30歳までに結婚したかった。
結婚資金を貯める為に「今は節約したい」だなんて。
デートもプレゼントも何もなかったの。
けれど、彼の言葉を信じていたの。
いつも私の家に来て、私の作った料理を食べて、私が契約しているサブスクの動画を観て。
それだけ。
腕時計が欲しいって、誕生日にねだられて、ボーナスのほとんどを使った。
ありがとう。お前は何が欲しい?考えておいて、なんて言われて、舞い上がってたな。
初めてのプレゼント。
でも、誕生日の前に捨てられた。
そうか…振られたんじゃない。捨てられたんだ。
「お嬢様!目を覚まして下さいませ!」
「マルガリータ!目をあけてくれ!」
「…マルガリータはもう飲めないわ…」
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