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逃げ場のない夜
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何だよアイツ!一緒に住むとか、ありえないだろ!
とりあえず、この募集に電話してみるか
「はい〇〇クラブです」
「あのー、募集見て連絡したんですけど」
「あー、そう。きみいくつ?」
「21です」
「身長、体重は?」
「165、58です」
「今までの女性経験は?」
「……?」
「あのー?経験人数。」
「……すみません、ありません。」
「あー、えー?マジか。そうなのね。うんうん、それはそれでいいかも。そうゆうの貴重だし」
「じゃ、サイズはどれくらい?」
「……すみません!やっぱいいです」
電話を切った。なんだこれは?アイツの言った通り、ヤバい店なのか?情報誌に普通に載ってるものなのか?
唯一の30万のアテが外れた。頭を抱えているうちに、仕事の時間が迫ってきた。仕事に行けば、くたくたに疲れて帰って来て寝て、1日があっという間に過ぎてしまう。
――――こんなどん底の人生になるとは思ってもいなかった。
10代の頃はダンスに明け暮れていた。本気でプロになるため、毎日仲間と練習した。時にはスタジオで、時には夜の美術館の駐車場や公園で。
オーディションで仲間の1人がスカウトされ、抜けて行った。仲間だった凌も俺も最後まで諦めなかった。中学から始めたダンスは磨きがかかり息もピッタリだった。
時には朝まで夢を語り合い、お互い励まし合って過ごした。
俺は凌が好きだった。元々、男が好きだったのかわからない。好きになったのが凌だった。近すぎたのかもしれない。
就職をせず、バイトとダンスの日々を送って、お互いに親友と疑わなかった。
ダンスのオーディションの1次審査を通過した日、その喜びから2人で抱き合い喜んだ。あと2つ通過すれば、夢が叶う手前まで行ける!
「やっぱ、快と俺ってサイコーのペアじゃね?」
屈託のない笑顔でほっぺを擦り付けてきた。
もう、限界だった。凌も俺の事好きなんだと錯覚してしまったのかもしれない。
「あのな俺、凌の事が好きだ」
「俺も快が1番だ!!」
ほっぺを離して、近い俺の顔を見た凌はピタリと止まった。俺の顔が真顔だったからだ。
「快?」
「友達としてじゃないんだ」
「……は?」
「俺は凌を性的に見ている。その類の好きって事だ」
凌が離れた
「快、マジかよ……俺、そうゆう……」
言葉に詰まっている凌を見て、取り返しのつかない事を言ってしまったと確信した。
「ちょっとごめん、俺帰るわ」
凌はそのまま帰ってしまった。
後日、2次審査は受けた。でも、あの日以来合ってないのだからボロボロだった。凌は目を合わせる事なく去って行ってしまった。
その姿を見て声を殺して泣いた。凌、伝えてごめん。こんな俺でごめんな。楽しかった日々も全て消えて無くなってしまったかのようで、暫くは立ち直れなかった。
もう、ここには居れない。どうでもいいやと親にも自分はゲイであるごとをカミングアウトし、家を出た。とにかく遠くに行きたかった。
行き当たりばったりで、このボロアパートに転がり、土木工事の仕事についた。仕事はキツくてちょうど良かった。何も考えず疲れて寝るだけだったから。やっと、ここでやって行こうと決めたのに、アパート取り壊しって、何だよ!
経験の人数って何だよ!俺も快が1番だって何だよ!!
頭ぐちゃぐちゃのまま仕事へ向かった。
――――今日も冷たい雨がずっと降っていた。
現場では皆黙々と作業をしている。
やる事は大体決まっている。ショベルカーのバケットが忙しなく動いている。ダンプトラックに土を積む作業だ。
現場の地面が雨でぬかるんでいる。
思いがけない所が傾いていて足を取られた。そのまま転倒してしまった。そこへ、ダンプへ土を運んでいるバケットが近づいて来る。運転席からは転んでいる俺は死角に入っていて見えない。
「危なーい!!」
作業員が叫ぶと同時にバケットは止まった。が、反動で積んでいた石や土が快の頭上へ落ちてきた。
バラバラ!ゴツゴツ!ヘルメットに当たる音。逃げようとした瞬間、ヘルメットほどの大きな岩が快の脚に落ちた。「うぅ!」動けない快を作業員が助け出す。
そのまま救急車で運ばれてしまった。
「何やってんだ俺……」
治療を終えて家に着いたのは午前2時を回っていた。会社からの計らいで病院から家までのタクシーは手配してくれたが、付き添いは誰もいなかった。玄関までタクシーの運転手が補助を手伝ってくれた。
幸い、骨折はなかったが、ひどい打撲という事で包帯と松葉杖姿になってしまった。全治3週間と告げられた。
八方塞がり。
今、この言葉がぴったりな俺。
とりあえず、この募集に電話してみるか
「はい〇〇クラブです」
「あのー、募集見て連絡したんですけど」
「あー、そう。きみいくつ?」
「21です」
「身長、体重は?」
「165、58です」
「今までの女性経験は?」
「……?」
「あのー?経験人数。」
「……すみません、ありません。」
「あー、えー?マジか。そうなのね。うんうん、それはそれでいいかも。そうゆうの貴重だし」
「じゃ、サイズはどれくらい?」
「……すみません!やっぱいいです」
電話を切った。なんだこれは?アイツの言った通り、ヤバい店なのか?情報誌に普通に載ってるものなのか?
唯一の30万のアテが外れた。頭を抱えているうちに、仕事の時間が迫ってきた。仕事に行けば、くたくたに疲れて帰って来て寝て、1日があっという間に過ぎてしまう。
――――こんなどん底の人生になるとは思ってもいなかった。
10代の頃はダンスに明け暮れていた。本気でプロになるため、毎日仲間と練習した。時にはスタジオで、時には夜の美術館の駐車場や公園で。
オーディションで仲間の1人がスカウトされ、抜けて行った。仲間だった凌も俺も最後まで諦めなかった。中学から始めたダンスは磨きがかかり息もピッタリだった。
時には朝まで夢を語り合い、お互い励まし合って過ごした。
俺は凌が好きだった。元々、男が好きだったのかわからない。好きになったのが凌だった。近すぎたのかもしれない。
就職をせず、バイトとダンスの日々を送って、お互いに親友と疑わなかった。
ダンスのオーディションの1次審査を通過した日、その喜びから2人で抱き合い喜んだ。あと2つ通過すれば、夢が叶う手前まで行ける!
「やっぱ、快と俺ってサイコーのペアじゃね?」
屈託のない笑顔でほっぺを擦り付けてきた。
もう、限界だった。凌も俺の事好きなんだと錯覚してしまったのかもしれない。
「あのな俺、凌の事が好きだ」
「俺も快が1番だ!!」
ほっぺを離して、近い俺の顔を見た凌はピタリと止まった。俺の顔が真顔だったからだ。
「快?」
「友達としてじゃないんだ」
「……は?」
「俺は凌を性的に見ている。その類の好きって事だ」
凌が離れた
「快、マジかよ……俺、そうゆう……」
言葉に詰まっている凌を見て、取り返しのつかない事を言ってしまったと確信した。
「ちょっとごめん、俺帰るわ」
凌はそのまま帰ってしまった。
後日、2次審査は受けた。でも、あの日以来合ってないのだからボロボロだった。凌は目を合わせる事なく去って行ってしまった。
その姿を見て声を殺して泣いた。凌、伝えてごめん。こんな俺でごめんな。楽しかった日々も全て消えて無くなってしまったかのようで、暫くは立ち直れなかった。
もう、ここには居れない。どうでもいいやと親にも自分はゲイであるごとをカミングアウトし、家を出た。とにかく遠くに行きたかった。
行き当たりばったりで、このボロアパートに転がり、土木工事の仕事についた。仕事はキツくてちょうど良かった。何も考えず疲れて寝るだけだったから。やっと、ここでやって行こうと決めたのに、アパート取り壊しって、何だよ!
経験の人数って何だよ!俺も快が1番だって何だよ!!
頭ぐちゃぐちゃのまま仕事へ向かった。
――――今日も冷たい雨がずっと降っていた。
現場では皆黙々と作業をしている。
やる事は大体決まっている。ショベルカーのバケットが忙しなく動いている。ダンプトラックに土を積む作業だ。
現場の地面が雨でぬかるんでいる。
思いがけない所が傾いていて足を取られた。そのまま転倒してしまった。そこへ、ダンプへ土を運んでいるバケットが近づいて来る。運転席からは転んでいる俺は死角に入っていて見えない。
「危なーい!!」
作業員が叫ぶと同時にバケットは止まった。が、反動で積んでいた石や土が快の頭上へ落ちてきた。
バラバラ!ゴツゴツ!ヘルメットに当たる音。逃げようとした瞬間、ヘルメットほどの大きな岩が快の脚に落ちた。「うぅ!」動けない快を作業員が助け出す。
そのまま救急車で運ばれてしまった。
「何やってんだ俺……」
治療を終えて家に着いたのは午前2時を回っていた。会社からの計らいで病院から家までのタクシーは手配してくれたが、付き添いは誰もいなかった。玄関までタクシーの運転手が補助を手伝ってくれた。
幸い、骨折はなかったが、ひどい打撲という事で包帯と松葉杖姿になってしまった。全治3週間と告げられた。
八方塞がり。
今、この言葉がぴったりな俺。
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