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17話
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再びゼギウスを抱えて飛ぶこと数時間、ゼギウスは暢気に眠っている。
まったく人にものを頼んでおきながら寝るとはいい身分だ。でも、久しぶりにゼギウスに会えて嬉しいな。母様はこれを分かって私に傲慢の始末を任せたのかな?
そんな風に楽しく飛んでいると「キュエェェェェェエ!」という鳴き声がすると、その声の方から魔弾が飛んでくる。それは私の触れる前に消えた。
ゼギウスじゃないけど本当に面倒くさい。この空を自分の物とでも思っているのだろうか。ただ見逃してあげているだけなのにバカだなー。
「身の程知らずは嫌いだよ《爆ぜて》」
そう即席のスキルを唱えると声のした場所で爆発が起きた。
身の程知らずにはその罪を教えてあげないとね。ゼギウスはそういったところに寛容だけど私は許してあげない。
「ふわぁ~あ、あ?ナナシが何かやったのか?」
今の音でゼギウスが起きたようだ。普段ならこの程度の音じゃ起きないのに起きたということは相当気が立っている。
ゼギウスは本気でハオと戦うつもりのようだ。楽しみだなー。
「ちょっと身の程知らずに攻撃されたから仕返ししたの」
「ちゃんと加減したか?」
「うん。ちゃんとその言いつけは守ったよ」
「ならいい」
ゼギウスが傍に居る時はどんな攻撃をされても本気で反撃しないように厳しく言いつけられている。それを破ろうものなら母様に言いつけるっていつも脅されていた。
あれ?じゃあ本気で反撃すればゼギウスが庭に来てくれるってことだよね?それなら今度本気で反撃してみよっかなー。でも母様に怒られるのは嫌だなー。
そんなことを考えながら飛んでいると美味しそうな魔物が視界に入る。少し寄り道しようっと。
「ゼギウス、お腹空いたから少しきゅうけーい」
「その分後で速度上げろよ」
「はーい」
頼んでいる側なのにこの我が儘さ、このゼギウスらしいところにどこか嬉しさを覚える。
地上に下りて美味しそうに見えた魔物を狩りに行くと変な声が聞こえてくる。
「ここは儂等の聖域だ、踏み入るでない」
声のした方に行くとただの森が広がっているだけだ。てっきり城でもあるのかと思っていたのに。あっ、城があったら空からでも見えるか。
「んー?私に命令できるほど強いのかな?」
「なら試すといい」
どうやら相当自信があるようだ。そういった自惚れを見ると捻り潰したくなる。
「うん!《滅雷》」
この辺り一帯、声の主が聖域と言ったと思わしき場所に雷を落とす。
雷が落ち辺り一帯を焼き尽くす…はずだった。しかし、雷は木々や地面、この場にあるありとあらゆる物に落ちて捉えたにも関わらず当たっていないかのように変化がない。
これなら自信があったのも頷ける。だけど面倒くさい。
私の3割くらいとはいえ、ちゃんとしたスキルを防ぐということはゼギウスでもない限り複数の防御スキルの合わせ技だ。それも常に発動しているようだから複数人が発動している。
その人数は少なくとも数千かな?そうなると破るのは面倒だ。
「高度な防御スキルだね。いくつ組み合わせてるの?」
「数万とだけ答えておこう。これで通じぬと分かったであろう。儂等の聖域から離れよ」
やはり数千人規模で編み上げているようだ。1人じゃ何もできないのに偉そうに。
命令されているようで凄くムカつくけどこの防御を突破するのには時間が掛かる。ゼギウスが居ればスキルとスキルの継ぎ目、脆いところを一点集中で攻撃できるけど絶対に今は協力してくれない。何ならスキルを使ったことに気づかれれば怒られる。
だから諦めるしかないけど癪だからもう1度だけ攻撃する。
「《滅雷》今日のところは帰るけど次はないよ」
さっきと同じ力加減でも今度は一転集中で撃つと空間にヒビが入った。が、それはすぐに修復された。
やはり的確な場所を狙わないと無駄なようだ。この場所は覚えたから今度ゼギウスが居ないときに来て潰そう。力の差は教えてあげないとね。
気を取り直して美味しそうな魔物を大量に狩って抱えきれないほど持つとゼギウスの居る場所に持ち帰る。
「これ焼いてー」
ゼギウスに向かって放り投げると既に焼く場所が用意されていて空中で魔物に串を刺すと焼き始める。流石ゼギウスと私、息ピッタリ。
そうハイタッチでもしようと近づくと頭を叩かれる。
「アホ、まともなスキルを使うな」
どうやら気づかれていたようだ。別に本気を出したわけじゃないのに酷い。と不貞腐れたような目でゼギウスを見る。
「ゼギウスのバーカ!」
「あ?もう焼かねぇぞ?」
「ごめんなさい。焼いてください」
素直に謝ると、ゼギウスは再び魔物を焼き始める。素直が1番。
どういう訳かゼギウスが焼くと凄く美味しい。特別何かをやっているようには見えないし本人は不味いと言うから一般には美味しくはないのだろうけど私には美味しく感じる。
「ほれ」とゼギウスに焼いた肉を渡され齧りつく。
うん。やっぱり他の何よりもゼギウスが焼いた肉が美味い。
「さっきの場所って魔王でもいるの?」
どうせ潰すからあまり興味はないけど一応聞いておく。魔王なら潰した後で報告しないと怒られる。
「ナナシの攻撃防いだなら賢王だろ。居場所不明ってなってたがこの辺りに居たんだな」
「強いの?」
「ただのスキルの探究者だ。世界の理に近いものを作ろうとしてるんだったか?だから庭に近いものを作ろうとしてるんだろ」
「へぇ、それは潰さないとね」
庭の再現はできないと分かっているが真似しようとしているのは気に入らない。
そう改めて賢王を潰すと決めると今度はゼギウスから聞かれる。
「あとどれくらいで着く計算だ?」
「うーん、ゼギウスに任せるよ?今は少しゆっくり飛んでるから速くも遅くもできるよ」
「なら飯食い終わったら最速で行け」
「はーい。じゃあいっぱい食べないとね」
そうゼギウスの焼く肉を次々と食べ、次の魔物を狩りに行く。それを何回か繰り返すとこの辺りには魔物が居なくなった。
まだ食べたいけど居ないものは仕方がない。最速で運んで帰りにいっぱい焼いてもらおう。
そうゼギウスを抱えて飛び立つ。
本当は全力で飛ぶのは温存しておきたかった。ゼギウスをハオのところに運んでから傲慢を始末しに行く時に使いたかった。そうすればゼギウスの戦いを長く見える。
だけど、母様にもゼギウスのお願いは最優先で叶えてと言われているからこっちを優先にしないと。でも、ゼギウスの戦いは見たいから傲慢は後回しにしよう。傲慢くらいいつでも潰せる。
それにしてもゼギウスは少し焦っているように見える。確かにドラルは弱いし七罪が1人居てもその戦力は私たちから見れば小さい。それでもゼギウスが居ない間の防衛くらいはできるはずだ。それもできないようなら魔王としても七罪としてもいらない。
そもそも、そんなことはドラルの城を出る前から分かっていたはずだ。
他にゼギウスが焦りそうな理由……あ、傲慢の始末が決まったからか。私が行くのが遅いと他の奴等が動くと考えているのかな?でも、だったら最初からそう言うよね。
難しいことを考えるのは嫌いだ。全部力でねじ伏せるのが簡単だから。
だけどゼギウスは集中していて邪魔できない。もう、いつ戦いが始まってもおかしくないくらいに集中している。どうしてハオ程度にそこまでするのかは分からないが、ゼギウスは実戦から離れて長いから慎重に考えているのだろう。
いっそのこと私がハオを倒そうかとも思ったけど久しぶりにゼギウスが戦うところが見えるのだから勿体ない。あわよくばゼギウスがハオと戦い終わった後に少しゼギウスと戦いたい。
もしかしたらゼギウスと戦えるかもしれないと思ったら楽しみで飛ぶ速度が上がる。そのまま丸1日飛び続けるとハオの居る場所に着いた。
まったく人にものを頼んでおきながら寝るとはいい身分だ。でも、久しぶりにゼギウスに会えて嬉しいな。母様はこれを分かって私に傲慢の始末を任せたのかな?
そんな風に楽しく飛んでいると「キュエェェェェェエ!」という鳴き声がすると、その声の方から魔弾が飛んでくる。それは私の触れる前に消えた。
ゼギウスじゃないけど本当に面倒くさい。この空を自分の物とでも思っているのだろうか。ただ見逃してあげているだけなのにバカだなー。
「身の程知らずは嫌いだよ《爆ぜて》」
そう即席のスキルを唱えると声のした場所で爆発が起きた。
身の程知らずにはその罪を教えてあげないとね。ゼギウスはそういったところに寛容だけど私は許してあげない。
「ふわぁ~あ、あ?ナナシが何かやったのか?」
今の音でゼギウスが起きたようだ。普段ならこの程度の音じゃ起きないのに起きたということは相当気が立っている。
ゼギウスは本気でハオと戦うつもりのようだ。楽しみだなー。
「ちょっと身の程知らずに攻撃されたから仕返ししたの」
「ちゃんと加減したか?」
「うん。ちゃんとその言いつけは守ったよ」
「ならいい」
ゼギウスが傍に居る時はどんな攻撃をされても本気で反撃しないように厳しく言いつけられている。それを破ろうものなら母様に言いつけるっていつも脅されていた。
あれ?じゃあ本気で反撃すればゼギウスが庭に来てくれるってことだよね?それなら今度本気で反撃してみよっかなー。でも母様に怒られるのは嫌だなー。
そんなことを考えながら飛んでいると美味しそうな魔物が視界に入る。少し寄り道しようっと。
「ゼギウス、お腹空いたから少しきゅうけーい」
「その分後で速度上げろよ」
「はーい」
頼んでいる側なのにこの我が儘さ、このゼギウスらしいところにどこか嬉しさを覚える。
地上に下りて美味しそうに見えた魔物を狩りに行くと変な声が聞こえてくる。
「ここは儂等の聖域だ、踏み入るでない」
声のした方に行くとただの森が広がっているだけだ。てっきり城でもあるのかと思っていたのに。あっ、城があったら空からでも見えるか。
「んー?私に命令できるほど強いのかな?」
「なら試すといい」
どうやら相当自信があるようだ。そういった自惚れを見ると捻り潰したくなる。
「うん!《滅雷》」
この辺り一帯、声の主が聖域と言ったと思わしき場所に雷を落とす。
雷が落ち辺り一帯を焼き尽くす…はずだった。しかし、雷は木々や地面、この場にあるありとあらゆる物に落ちて捉えたにも関わらず当たっていないかのように変化がない。
これなら自信があったのも頷ける。だけど面倒くさい。
私の3割くらいとはいえ、ちゃんとしたスキルを防ぐということはゼギウスでもない限り複数の防御スキルの合わせ技だ。それも常に発動しているようだから複数人が発動している。
その人数は少なくとも数千かな?そうなると破るのは面倒だ。
「高度な防御スキルだね。いくつ組み合わせてるの?」
「数万とだけ答えておこう。これで通じぬと分かったであろう。儂等の聖域から離れよ」
やはり数千人規模で編み上げているようだ。1人じゃ何もできないのに偉そうに。
命令されているようで凄くムカつくけどこの防御を突破するのには時間が掛かる。ゼギウスが居ればスキルとスキルの継ぎ目、脆いところを一点集中で攻撃できるけど絶対に今は協力してくれない。何ならスキルを使ったことに気づかれれば怒られる。
だから諦めるしかないけど癪だからもう1度だけ攻撃する。
「《滅雷》今日のところは帰るけど次はないよ」
さっきと同じ力加減でも今度は一転集中で撃つと空間にヒビが入った。が、それはすぐに修復された。
やはり的確な場所を狙わないと無駄なようだ。この場所は覚えたから今度ゼギウスが居ないときに来て潰そう。力の差は教えてあげないとね。
気を取り直して美味しそうな魔物を大量に狩って抱えきれないほど持つとゼギウスの居る場所に持ち帰る。
「これ焼いてー」
ゼギウスに向かって放り投げると既に焼く場所が用意されていて空中で魔物に串を刺すと焼き始める。流石ゼギウスと私、息ピッタリ。
そうハイタッチでもしようと近づくと頭を叩かれる。
「アホ、まともなスキルを使うな」
どうやら気づかれていたようだ。別に本気を出したわけじゃないのに酷い。と不貞腐れたような目でゼギウスを見る。
「ゼギウスのバーカ!」
「あ?もう焼かねぇぞ?」
「ごめんなさい。焼いてください」
素直に謝ると、ゼギウスは再び魔物を焼き始める。素直が1番。
どういう訳かゼギウスが焼くと凄く美味しい。特別何かをやっているようには見えないし本人は不味いと言うから一般には美味しくはないのだろうけど私には美味しく感じる。
「ほれ」とゼギウスに焼いた肉を渡され齧りつく。
うん。やっぱり他の何よりもゼギウスが焼いた肉が美味い。
「さっきの場所って魔王でもいるの?」
どうせ潰すからあまり興味はないけど一応聞いておく。魔王なら潰した後で報告しないと怒られる。
「ナナシの攻撃防いだなら賢王だろ。居場所不明ってなってたがこの辺りに居たんだな」
「強いの?」
「ただのスキルの探究者だ。世界の理に近いものを作ろうとしてるんだったか?だから庭に近いものを作ろうとしてるんだろ」
「へぇ、それは潰さないとね」
庭の再現はできないと分かっているが真似しようとしているのは気に入らない。
そう改めて賢王を潰すと決めると今度はゼギウスから聞かれる。
「あとどれくらいで着く計算だ?」
「うーん、ゼギウスに任せるよ?今は少しゆっくり飛んでるから速くも遅くもできるよ」
「なら飯食い終わったら最速で行け」
「はーい。じゃあいっぱい食べないとね」
そうゼギウスの焼く肉を次々と食べ、次の魔物を狩りに行く。それを何回か繰り返すとこの辺りには魔物が居なくなった。
まだ食べたいけど居ないものは仕方がない。最速で運んで帰りにいっぱい焼いてもらおう。
そうゼギウスを抱えて飛び立つ。
本当は全力で飛ぶのは温存しておきたかった。ゼギウスをハオのところに運んでから傲慢を始末しに行く時に使いたかった。そうすればゼギウスの戦いを長く見える。
だけど、母様にもゼギウスのお願いは最優先で叶えてと言われているからこっちを優先にしないと。でも、ゼギウスの戦いは見たいから傲慢は後回しにしよう。傲慢くらいいつでも潰せる。
それにしてもゼギウスは少し焦っているように見える。確かにドラルは弱いし七罪が1人居てもその戦力は私たちから見れば小さい。それでもゼギウスが居ない間の防衛くらいはできるはずだ。それもできないようなら魔王としても七罪としてもいらない。
そもそも、そんなことはドラルの城を出る前から分かっていたはずだ。
他にゼギウスが焦りそうな理由……あ、傲慢の始末が決まったからか。私が行くのが遅いと他の奴等が動くと考えているのかな?でも、だったら最初からそう言うよね。
難しいことを考えるのは嫌いだ。全部力でねじ伏せるのが簡単だから。
だけどゼギウスは集中していて邪魔できない。もう、いつ戦いが始まってもおかしくないくらいに集中している。どうしてハオ程度にそこまでするのかは分からないが、ゼギウスは実戦から離れて長いから慎重に考えているのだろう。
いっそのこと私がハオを倒そうかとも思ったけど久しぶりにゼギウスが戦うところが見えるのだから勿体ない。あわよくばゼギウスがハオと戦い終わった後に少しゼギウスと戦いたい。
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