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18話
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ようやく目的地に着きナナシに下ろしてもらう。
着地をして伸びをしながら辺りを見回すと相変わらず拠点とは思えない光景が広がっている。草木が1本も生えておらず大地は真っ黒で焼き尽くされていた。ハオの居る場所はどこでもこうなる。
「ゼギウスか、久しいな。俺と戦いに来たのか?」
焼き尽くされた大地の一角、大きな岩かと思われていたそれは立ち上がりこちらに振り返る。その者は己の身をも焼き尽くしたかのよう黒色の肌に赤い瞳、捻じれた角が2本生えていた。ハオだ。
「ドラルを殺したのはお前か?」
「懐かしいな。一騎打ちでは話にもならなかったが最期の自爆は見事だった。俺でなければ死んでいただろう。それに免じて娘には手を出さなかったがまだ生きているか?」
「あぁ、生きてるぞ。俺の腰掛先だ」
「それは感謝せねばな。そのおかげでゼギウスと再び相見えようとは……始めるぞ!」
会話もそこそこ、もう抑えられなくなったのかハオが襲い掛かってくる。
全身から炎を溢れさせ握った拳から放たれる一撃を大剣で受け止める。その熱で大剣の鞘は溶けその熱は肌に届く。
「戦闘狂はこれだから面倒くせぇ」
受け止めた大剣でハオを押し返すと大剣を2つに分けて双剣にする。
「やはりいいな!俺の攻撃を受け止められる者がいるというのは!」
興奮度合いに応じて溢れる炎は増えハオの体からどんどん炎が広がっていく。これが熱いのなんの面倒くせぇ。
「《愚鈍なる世界》《全開》」
出し惜しみをしている余裕もなくスキルを使うがハオに変わった様子はない。
「そんな遊びをしに来た訳じゃないだろ!もっと本気を出せ!」
「これでも十分本気だ、アホ」
「この程度では俺を満足させられると思うな!もっと、もっとだ!」
殴り掛かってくるハオの拳を2本の剣をクロスさせて受け止める。が、一撃で終わる訳もなく絶え間なく攻撃が続く。その度に衝撃で地面が抉れる。
ハオはまだまだ全力じゃないのか速度、威力は上がっていき、剣では受け止めきれない。地面を削りながら滑り剣を指して勢いを弱める。
あー、もう帰りてぇ。やっぱり安請け合いするんじゃなかったな。
「《浮遊》《二重》」
接近戦では分が悪いと判断して2本の剣を宙に浮かせて、手の動きに合わせて剣を動かす。
左右からタイミングをずらして攻撃する。が、当然のように先の剣は弾かれ、後の剣は軌道を変えてハオの横腹に刺さった。
しかし、ハオは何ともないように刺さった剣を放置して近づいてくる。
「茶番だな」
「どうせ長い戦いになるんだ。少しは遊びを入れないとやってられねぇよ」
「長く続くかどうかはゼギウスがどれだけ耐えれるかであって、お前に遊びを入れる余裕はない」
そりゃごもっとも。と、思いながら刺さっている剣に向かって蹴りを入れる。より深く刺さるが、それでもハオは何ともないようで足を掴まれ燃やされた。
しかし、それは想定済みで掴まれた足を軸に半回転してハオの顔面を蹴り飛ばす。それで何とか逃れて先に弾かれた剣を回収する。
「本気を出さないのなら死ね。《炎獄》」
別に本気を出していない訳ではないがハオにはそう映っているようだ。ハオがそうスキルを唱えると周囲の景色が変わった。
視界の端々から炎の柱が生えていき炎の監獄が建築される。その中に囚われ体を炎で焼かれていく。
「普段やらねぇことはやるもんじゃねぇな」
流石に炎の中は暑く汗すら掻けない。その様子をハオは外から眺めているだけのつもりのようだ。
俺には飽きて自ら手を下すまでもないってか。いい御身分で。
今のところ作戦通りに進んでいる。わざわざハオを本気にさせる必要はなく見限られたなら見限られたでその油断を利用して勝ちを狙う。
だが、まずはこの監獄を突破するか中で安定させなくてはならない。この監獄内は《自動防御》だけで防ぎきれず《障壁》も張っている。それに加え、この監獄内は魔力を削られ続ける。
それを解決するための布石は打ってある。ハオに刺した剣だ。その剣と今手元にある剣は連動していてハオの魔力を吸い取れる。
「ゼギウス、お前との戦いは楽しいと期待していたんだがな…力を出し惜しみ小細工するからそうなる」
そうハオは近づきながら刺さっている剣を抜き言葉を続ける。
「慢心は油断を生み、楽に勝とうとするから俺に負ける。以前会った時の方が無欲で強かったぞ。さらば俺を楽しませた数少ない者よ。これ以上、俺を失望させる前に終わらせる」
どうやらハオは本当に終わらせる気のようで、監獄が狭くなっていく。監獄が狭くなるにつれ密度と魔力濃度が濃くなり防ぐのに使う魔力が多くなる。
丁度人1人、俺がギリギリ収まるくらいの大きさになると耐久戦が始まった。耐久戦と言ってもハオの魔力が尽きることはなく、俺がどれだけ耐えられるかという勝ち目のないものだ。
意識を集中させ、本気で守ることだけに集中する。《炎獄》は内部からの破壊も難しいが外から内部に影響を及ばせることもできない。それは以前の戦いで分かっていることで、だから耐えることだけに集中できる。
俺の魔力が減っていくこと以外、特に変化がないまま2日が経つと変化が訪れる。
「ゼーギーウースー!いい加減出てこないと怒るよー!」
この変化のない戦いに飽きたようでナナシがそう大声を上げる。
こっちにも戦いの計画があるというのに勝手なものだ。それでもこれ以上ゆっくりと戦うとナナシが参戦しかねない。
「何だお前は。俺とゼギウスの戦いの邪魔をするな」
「邪魔はしないよ?でもゼギウスがゆっくり戦ってるの退屈なんだもん」
「なんだと?」
ハオとナナシは今にも1戦始まりそうな勢いだ。それを見守るのも楽できていい気もするが流石にハオは俺が倒さなきゃいけない気がする。
「《絶炎》」
そうスキルを唱えると監獄は跡形もなく消えた。
「あのなぁ、ナナシ、俺には俺の都合があるんだよ」
「でも退屈なんだもん。頭使った戦いじゃなくて力と力の戦いが見たい」
我が儘な奴だ。まったく誰に似たんだか…
2日ぶりの開けた場所に伸びをしているとハオが全身から炎を溢れさせ苛立ちを露わにして近づいてくる。
「何故無事でいる?捉えたはずだが?」
「前に戦った時の事覚えてないのか?お互いに決定打が打てねぇから引き分けたんだぞ。当然、俺の攻撃が足りなかったのもあるが、お前の攻撃も足りなかったんだよ」
「そうか!やはりゼギウスはそうでなくてはな!」
苛立ちから一転、今度は嬉しそうな表情を浮かべる。その嬉しさのまま向かってくるハオの拳を拳で衝突させて防ぐ。衝突の激しい衝撃が辺りを抉り破壊していった。
一見、互角のように打ち合っているがハオが加減しているだけで互角ではない。これだから戦闘狂とか脳筋は嫌になる。何でも力で解決すればいいと思ってやがる。
「《炎王》」
ハオがそうスキルを唱えると無造作に溢れていた全身の炎が防具のように体を武装された。
その武装された拳からハオは正拳突きのように拳を繰り出す。その拳から放たれた炎は監獄よりも熱く髪を少し燃やした。
あー、これは想定外だな。
「《障壁》《全開》」
今残っている魔力を全て使って全力で防御するがそう長くは持ちそうもない。ナナシのせいで予定が狂ったが、寧ろ早まっていいかもしれない。
その分加減は効かないが、それはナナシの責任だ。
「悪いなハオ、今回はストッパーが居るから全力を出せる《解放》」
魔力が尽きるのと同時にそうスキルを唱える。そのスキルを唱えた直後、意識がどこかへ沈んでいった。
着地をして伸びをしながら辺りを見回すと相変わらず拠点とは思えない光景が広がっている。草木が1本も生えておらず大地は真っ黒で焼き尽くされていた。ハオの居る場所はどこでもこうなる。
「ゼギウスか、久しいな。俺と戦いに来たのか?」
焼き尽くされた大地の一角、大きな岩かと思われていたそれは立ち上がりこちらに振り返る。その者は己の身をも焼き尽くしたかのよう黒色の肌に赤い瞳、捻じれた角が2本生えていた。ハオだ。
「ドラルを殺したのはお前か?」
「懐かしいな。一騎打ちでは話にもならなかったが最期の自爆は見事だった。俺でなければ死んでいただろう。それに免じて娘には手を出さなかったがまだ生きているか?」
「あぁ、生きてるぞ。俺の腰掛先だ」
「それは感謝せねばな。そのおかげでゼギウスと再び相見えようとは……始めるぞ!」
会話もそこそこ、もう抑えられなくなったのかハオが襲い掛かってくる。
全身から炎を溢れさせ握った拳から放たれる一撃を大剣で受け止める。その熱で大剣の鞘は溶けその熱は肌に届く。
「戦闘狂はこれだから面倒くせぇ」
受け止めた大剣でハオを押し返すと大剣を2つに分けて双剣にする。
「やはりいいな!俺の攻撃を受け止められる者がいるというのは!」
興奮度合いに応じて溢れる炎は増えハオの体からどんどん炎が広がっていく。これが熱いのなんの面倒くせぇ。
「《愚鈍なる世界》《全開》」
出し惜しみをしている余裕もなくスキルを使うがハオに変わった様子はない。
「そんな遊びをしに来た訳じゃないだろ!もっと本気を出せ!」
「これでも十分本気だ、アホ」
「この程度では俺を満足させられると思うな!もっと、もっとだ!」
殴り掛かってくるハオの拳を2本の剣をクロスさせて受け止める。が、一撃で終わる訳もなく絶え間なく攻撃が続く。その度に衝撃で地面が抉れる。
ハオはまだまだ全力じゃないのか速度、威力は上がっていき、剣では受け止めきれない。地面を削りながら滑り剣を指して勢いを弱める。
あー、もう帰りてぇ。やっぱり安請け合いするんじゃなかったな。
「《浮遊》《二重》」
接近戦では分が悪いと判断して2本の剣を宙に浮かせて、手の動きに合わせて剣を動かす。
左右からタイミングをずらして攻撃する。が、当然のように先の剣は弾かれ、後の剣は軌道を変えてハオの横腹に刺さった。
しかし、ハオは何ともないように刺さった剣を放置して近づいてくる。
「茶番だな」
「どうせ長い戦いになるんだ。少しは遊びを入れないとやってられねぇよ」
「長く続くかどうかはゼギウスがどれだけ耐えれるかであって、お前に遊びを入れる余裕はない」
そりゃごもっとも。と、思いながら刺さっている剣に向かって蹴りを入れる。より深く刺さるが、それでもハオは何ともないようで足を掴まれ燃やされた。
しかし、それは想定済みで掴まれた足を軸に半回転してハオの顔面を蹴り飛ばす。それで何とか逃れて先に弾かれた剣を回収する。
「本気を出さないのなら死ね。《炎獄》」
別に本気を出していない訳ではないがハオにはそう映っているようだ。ハオがそうスキルを唱えると周囲の景色が変わった。
視界の端々から炎の柱が生えていき炎の監獄が建築される。その中に囚われ体を炎で焼かれていく。
「普段やらねぇことはやるもんじゃねぇな」
流石に炎の中は暑く汗すら掻けない。その様子をハオは外から眺めているだけのつもりのようだ。
俺には飽きて自ら手を下すまでもないってか。いい御身分で。
今のところ作戦通りに進んでいる。わざわざハオを本気にさせる必要はなく見限られたなら見限られたでその油断を利用して勝ちを狙う。
だが、まずはこの監獄を突破するか中で安定させなくてはならない。この監獄内は《自動防御》だけで防ぎきれず《障壁》も張っている。それに加え、この監獄内は魔力を削られ続ける。
それを解決するための布石は打ってある。ハオに刺した剣だ。その剣と今手元にある剣は連動していてハオの魔力を吸い取れる。
「ゼギウス、お前との戦いは楽しいと期待していたんだがな…力を出し惜しみ小細工するからそうなる」
そうハオは近づきながら刺さっている剣を抜き言葉を続ける。
「慢心は油断を生み、楽に勝とうとするから俺に負ける。以前会った時の方が無欲で強かったぞ。さらば俺を楽しませた数少ない者よ。これ以上、俺を失望させる前に終わらせる」
どうやらハオは本当に終わらせる気のようで、監獄が狭くなっていく。監獄が狭くなるにつれ密度と魔力濃度が濃くなり防ぐのに使う魔力が多くなる。
丁度人1人、俺がギリギリ収まるくらいの大きさになると耐久戦が始まった。耐久戦と言ってもハオの魔力が尽きることはなく、俺がどれだけ耐えられるかという勝ち目のないものだ。
意識を集中させ、本気で守ることだけに集中する。《炎獄》は内部からの破壊も難しいが外から内部に影響を及ばせることもできない。それは以前の戦いで分かっていることで、だから耐えることだけに集中できる。
俺の魔力が減っていくこと以外、特に変化がないまま2日が経つと変化が訪れる。
「ゼーギーウースー!いい加減出てこないと怒るよー!」
この変化のない戦いに飽きたようでナナシがそう大声を上げる。
こっちにも戦いの計画があるというのに勝手なものだ。それでもこれ以上ゆっくりと戦うとナナシが参戦しかねない。
「何だお前は。俺とゼギウスの戦いの邪魔をするな」
「邪魔はしないよ?でもゼギウスがゆっくり戦ってるの退屈なんだもん」
「なんだと?」
ハオとナナシは今にも1戦始まりそうな勢いだ。それを見守るのも楽できていい気もするが流石にハオは俺が倒さなきゃいけない気がする。
「《絶炎》」
そうスキルを唱えると監獄は跡形もなく消えた。
「あのなぁ、ナナシ、俺には俺の都合があるんだよ」
「でも退屈なんだもん。頭使った戦いじゃなくて力と力の戦いが見たい」
我が儘な奴だ。まったく誰に似たんだか…
2日ぶりの開けた場所に伸びをしているとハオが全身から炎を溢れさせ苛立ちを露わにして近づいてくる。
「何故無事でいる?捉えたはずだが?」
「前に戦った時の事覚えてないのか?お互いに決定打が打てねぇから引き分けたんだぞ。当然、俺の攻撃が足りなかったのもあるが、お前の攻撃も足りなかったんだよ」
「そうか!やはりゼギウスはそうでなくてはな!」
苛立ちから一転、今度は嬉しそうな表情を浮かべる。その嬉しさのまま向かってくるハオの拳を拳で衝突させて防ぐ。衝突の激しい衝撃が辺りを抉り破壊していった。
一見、互角のように打ち合っているがハオが加減しているだけで互角ではない。これだから戦闘狂とか脳筋は嫌になる。何でも力で解決すればいいと思ってやがる。
「《炎王》」
ハオがそうスキルを唱えると無造作に溢れていた全身の炎が防具のように体を武装された。
その武装された拳からハオは正拳突きのように拳を繰り出す。その拳から放たれた炎は監獄よりも熱く髪を少し燃やした。
あー、これは想定外だな。
「《障壁》《全開》」
今残っている魔力を全て使って全力で防御するがそう長くは持ちそうもない。ナナシのせいで予定が狂ったが、寧ろ早まっていいかもしれない。
その分加減は効かないが、それはナナシの責任だ。
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